沖縄県福祉サービス第三者評価事業評価結果 沖縄県立若夏学院

ページ番号1028897  更新日 2024年4月19日

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基本情報

  1. 事業所名:沖縄県立若夏学院
  2. 経営主体:沖縄県
  3. 所在地:那覇市首里大名町3-112

第三者評価結果の概要

総評

特に評価の高い点

1.子ども自身が自らの生活を主体的に考え、営むことができるよう支援している。

子どもの自主的・主体的な活動として、学習発表会や意見発表会等が行われ、午後の活動として、折り紙教室や生花等のマナー教育等の他、主体的なスポーツ活動が取り入れられ、野球やバトミントンは県外の試合にも参加している。休日の運動場の使い方も子どもの意見をもとに割り当てしている。学習発表会では、司会や挨拶を子どもが行い、子どもたちが自らやりたいラップダンスを全員で披露し、琉舞やピアノを習い始めた子どもが発表するなど、分校や寮、学院職員が指導や準備等一丸となって支援している。毎週火曜日は、子どもと個別に話し合う時間を設けて、子どもたちも「テレビ視聴の時間延長や居室替え」等、自分の思いや意見を伝える場として理解している。子どもの要望は寮内で話し合って、できることは取り組んでいる。家庭での経験不足や理解力が弱い子どもには、掃除の仕方や洗濯物の干し方、片付けや整理整頓等、職員が一緒に行ったり、イラストやポスター等も活用して視覚的に教えたりする等、発達段階に応じた生活習慣の支援を行っている。

2.食事をおいしく楽しく食べられるよう工夫し、栄養管理にも十分な配慮を行っている。

食事については、各寮においてリビングダイニングで3食共に食事指導やコミュニケーションを取りながら職員が子どもと一緒に摂っている。献立は、三食一汁二菜を基本に、昼食にはデザートが追加され、夕食後は牛乳とおやつも提供されバランスの良い食生活が身につくように支援されている。ソーキ汁や沖縄そば、チャンプルー類やクーブイリチーなど沖縄の食文化を伝えるメニューも取り入れている。厨房で調理された食事は寮に運ばれる直前まで、保温庫、冷蔵庫に保管し、適温提供に配慮されている。食事の量は児童の発達に合わせて配膳するが、苦手な献立は少量から挑戦させ無理強いしないように配慮している。病気の時は、体力が回復できるようおかゆ等を提供している。食に関心が持てるように畑では季節に応じた野菜を栽培している。献立によって食器を使い分け、生け花教室の作品を飾り、食事を美味しく食べられるように工夫している。栄養士の定期的な給食委員会の開催や嗜好アンケート調査や残食調査等を実施し、子どもたちの意見を取り入れている。厨房で調理された食事は子ども達が運び、配膳や片付けを当番で行っている。寮内に設置されているガスコンロや電子レンジを使用し簡単な調理技術が身に付くように支援している。

3.職員の質の向上に向けた体制が確立し、取り組みを行っている。

職員一人ひとりの育成に向けて、県の福祉分野の人材育成方針に「福祉分野の人材に求められる職員像」を明記し、県の人事評価制度に基づいて目標管理が行われている。職員は目標(児童への支援充実、学院の円滑な組織運営及び職員の資質向上)に沿って各自の業務内容ごとに目標(いつまでに、何を、どの水準まで)を設定して達成状況等について自己申告している。職員が設定した目標と達成状況及び評価については、上司による年2回(期首・期末)の面接を通して進捗状況や目標達成度の評価・確認が行われている。新任職員には、フレッシュマント レーナー養成研修を修了した職員(基本的に寮長や3年目以上の職員)が1年間、OJTを実施している。院内研修計画に基づいて毎月研修が実施されている。境界線についてや性教育(いのちの授業)を分校と連携して実施し、「職員と子どもの距離感について」等の院長講話や「新任職員の悩みや気づきからの意見交換を行う研修」を実施する等、研修内容やカリキュラムの評価、見直しも行っている。厚生労働省主催の国立施設での新任研修や中堅職員研修、全国及び九州の児童自立支援施設職員研修等に職員を派遣している。

改善を求められる点

1.標準的な実施方法について定期的に検証・見直しの実施が望まれる。

支援に関する標準的な実施方法については、児童の日常生活支援については「指導要領」が作成されている。苦情解決要領、被措置児童等虐待対応マニュアル、危機管理マニュアル、性教育実施要領、家族支援実施要領、実習受け入れに関する要綱等の各種マニュアルが整備されている。
現在作成されているマニュアルは、平成29年度に作成されているが、見直しが確認できなかった。中・長期計画 にマニュアルの見直し方針が記載さており、方針に沿った定期的な検証・見直しが望まれる。なお、子どもの尊重や権利擁護、プライバシー保護については、「指導要領」の支援方針等に追記するとともに、標準的な実施方法(指導要領)にもとづいて実施されているかを確認する仕組みの明文化も望まれる。

2.支援の質の向上に向けた組織的・計画的な取組が望まれる。

支援の質の向上に向けた組織的な取組については、毎年自己評価を実施し、定期的に第三者評価を受審している。自己評価の担当者は寮長で評価結果の集計・分析を実施し、寮長会議で検討委員会を開催し、課題を明示している。
明文化した課題について改善実施計画を作成し、計画の実施後は実施状況の評価にもとづき計画を見直すことが望まれる。

3.安心・安全な支援の実施のために組織的な取り組みが望まれる。

感染症の予防や発生時の対応については「危機管理・対応マニュアル」に「食中毒への対応」と「感染症への対応」について、発生時のフローチャートが具体的に記載され、職員に周知されている。職員は、子どもからの訴えや状況を把握し、子どもが発熱した場合や感染症が疑われる場合は、感染症マニュアルに基づいて適切に対応している。災害時の対応体制については「非常災害対策要綱」に基づいて、自衛消防隊の組織図が作成され、消防訓練計画をもとに年2回は消防署に届出を行い毎月訓練が実施されている。職員は常に子どもと同行し、一緒に避難し、安否確認の点呼を行う体制となっている。薬や非常食が備蓄され、備蓄リストが作成されている。
感染症対策の責任と役割を明確にした管理体制の要綱等の作成、及び対応マニュアルの定期的な見直しを行うとともに、予防や安全確保に関する研修会等の開催が望まれる。なお、災害時においても支援を継続するために、早急に「事業継続計画」(BCP)の作成が望まれる。

第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント

今回4回目の受審となります。この受審を通じて職員一人一人が改めて自らの支援のあり方や日々の業務内容について振り返る良い機会となりました。それと同時に、学院が社会に求められている役割やこれから施設が向かうべき方向性を再確認することができました。
課題として挙げられた点につきましては、改善に向けて計画的・組織的に取り組み、学院が子ども達にとって安心、安全な場所となるようさらなる支援の質の向上に向けて努力してまいります。

評価結果の詳細

第三者評価機関

特定非営利活動法人 介護と福祉の調査機関おきなわ

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このページに関するお問い合わせ

沖縄県 生活福祉部 福祉政策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2
電話:098-866-2164 ファクス:098-866-2569
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