沖縄県福祉サービス第三者評価事業評価結果 児童養護施設 漲水学園

ページ番号1006877  更新日 2024年1月11日

印刷大きな文字で印刷

基本情報

  1. 事業所名:児童養護施設 漲水学園
  2. 経営主体:社会福祉法人 沖縄県社会福祉事業団
  3. 所在地:宮古島市平良字西仲宗根745-5番地

第三者評価結果の概要

総評

特に評価の高い点

1.子どもが意見等を述べやすい体制を確保し、周知対応している

「法人の苦情対応要綱」が整備され、施設長を苦情解決責任者、管理課長と保育士2名を担当者として、第三者委員2名を設置し、苦情解決の体制を説明したポスターを玄関ホールに掲示している。子どもには「権利ノート」を活用して説明し、保護者には苦情解決の仕組みを記載した「入所のしおり」を配布している。男女各寮に「お話ボックス」(意見箱)を設置している。児童会議を開催し、毎年施設サービスアンケートと給食嗜好調査を実施して改善に取り組み、子どもが意見や苦情を述べやすい環境整備に配慮している。施設サービスアンケートの「浴室給湯器の温度が低い」等には、職員会議で検討し修繕等の対応がされている。「権利ノート」で説明を受けた子どもが、児相分室に電話や直接出向く等で相談したケースもある。対応内容等はホームページで公開している。子どもへのアンケートで「ここでの暮らしで『嫌だな』『困ったな』と思ったときに施設の外の大人の人にも話すことができることを知っていますか」の質問に7割の子どもが「はい」と回答し、「あなたには、自分の気持ちやあなたの考えを話しやすい大人の人がいますか」の質問には、8割が「はい」と回答している。関連項目:34,35,36

2.子どもに対して自他の権利について理解を促す取組を実施している

自他の権利についての正しい理解を促す取組として、「いいタッチ・わるいタッチ」の絵本を活用し、「男女の体の違い」や「自分と他人との距離感」等を教え、各寮に「わるいタッチ」を掲示し周知している。子どもの権利については、「権利ノート」を活用して説明している。「権利ノート」は、入所時に説明するとともに、毎年、職員と読み合わせをしている。低年齢児には、紙芝居や絵本を活用して年齢に配慮した工夫をしている。自傷行為のある子どもに「大切な体」の本を読み聞かせ、寄り添う支援に努めている。子ども間のトラブルには、双方から話を聞き「相手の立場になって考えるように」と助言している。職員は「子どもの権利を守るために叱らない支援」の研修を受講し、子どもたちへの穏やかな対応を心がけて支援している。各寮に幼児がおり、中高校生が抱っこして可愛がり、食事の面倒を見る等、子ども同士の思いやりの支援がみられる。併設の障害者福祉施設の利用者とも各種行事を合同で行う等、日常的に交流することで自他の権利について理解を深めている。
関連項目:46,47

3.子どもの暴力・不適応行動などの行動上の問題に対して、適切に対応している

子どもの行動上の問題に対しては、子ども同士での不適切な関わりがあった場合は、それぞれを別の場所に誘導し、人の嫌がることはしないよう説明している。職員への暴言等があった場合は、子どもが自室に戻り本人が落ち着くまで待つなどの配慮をしている。自己領域である本人の部屋が落ち着く場所となるように配慮している。暴言等により職員が特定の子どもに苦手意識を持つようであれば、ベテラン職員が中心となって対応の振り返りを行っている。児童相談所分室の相談員と連携し、子どもの行動について話し合う機会を持っている。心理療法担当が専任になったことにより、児童指導員等がその場で助言を得て対応できるようになっている。子どもの行動上の問題が起きた場合は、児童相談所や警察、専門医療機関等の参加による要保護児童地域対策協議会での協議を重ね、事態改善の方策を適切に対応している。
関連項目:62

改善を求められる点

1.養育・支援の標準的な実施方法の定期的な検証・見直しが望まれる

養育・支援の標準的な実施方法(マニュアル)については、実習生受け入れやボランティア規程、感染症対応や新型コロナウイルス感染症対応マニュアル、支援計画票作成マニュアル等が作成されている。「法人の苦情対応要綱」の苦情対応の公開については、プライバシーへの配慮が記載され、支援計画票作成マニュアルには、子どもを尊重する姿勢として「子どもの意見を確認すること」と記載されている。マニュアルは、職員がいつでも確認できるよう職員室に設置し、新任職員には、新任職員研修時に施設長や管理課長から業務手順等について説明されている。マニュアルに基づいて実施されているかについては、毎年、正規職員を対象とした人事考課時に業務標準書(マニュアル)に沿って施設長と管理課長が評価・助言を行っている。マニュアルに基づいて実施されているかどうかの確認の実施、及び検証・見直しに関する時期やその方法を施設として定め、定期的に検証し、必要に応じて見直すことが望まれる。
関連項目:40,41

2.他者の性を尊重する心や性についての正しい知識を得る機会の確保が望まれる

子どもの年齢や発達状況に応じて、「いのちってスゴイ(赤ちゃんの誕生)」の絵本や紙芝居を見せながら、子ども同士の距離感や性について伝えている。小学校5年生の女子には、宿泊学習前に生理について説明するとともに、宿泊時には生理用品を準備して持たせるなど、性に関する疑問や不安に対応できるようにしている。性について正しい知識が持てるよう、児童指導員や保育士、心理療法担当と共同で年齢や発達状況に応じたカリキュラムを作成し、カリキュラムを活用した学習会等の実施が望まれる。
関連項目:61

3.福祉人材の確保、および人材育成の体制の整備が望まれる

必要な福祉人事の確保・定着については、第4期経営計画に将来あるべき姿と目的・考え方を明記している。福祉人材の確保及び定着に向けた取組の強化を掲げ、人材育成要綱を制定している。必要な福祉人材や人員体制については、児童福祉施設最低基準に基づく職種と員数が規定され、正規職員は国家資格取得者又は、5年以上の経験者を要件としている。職務に関連する資格取得のための実習は職務専念義務が免除されている。その中で福祉人材として心理療法担当の専任や個別対応職員の配置及び基幹職員の養成等、専門職員の福祉人材の確保についての取組が実施されている。今後の対応として、外部の心理専門員によるスーパービジョンを受ける体制の検討、及び現在管理課長が兼務している家庭支援専門相談員を専任にすることによる、職員の援助技術の向上及び施設全体の支援の質の向上が望まれる。
関連項目:14,19,64,68

第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント

第三者評価を受審し現在の施設運営状況を評価していただきました。
評価結果から、施設全体で取り組んできた児童支援において、子供の人権・人格を尊重した安心・安全で快適な生活環境を目指した支援の取り組みについて一定の評価をいただきました。子ども達へのアンケート結果では、職員が子どもの話を聞く機会を多く持っており相談しやすいと感じているとの回答が多かった点は、とても職員の自信に繋がります。
施設課題として「各種マニュアルは整備されているが、定期的な検証・見直しがされていない」「施設内で生活場面における個別の性教育は実施されているが、発達段階に応じた性教育の実施が望まれる」「職員体制において福祉祉人材の確保、および人材育成の体制の整備」のご指摘がありました。ご指摘の課題については、改善に向け施設全体での計画的な取り組みを進めます。
特に喫緊の課題として、福祉祉人材の確保の観点から、専門職の専任配置、外部心理士によるスーパービジョンの導入を進め、新任職員や中堅職員の援助技術の向上及び施設全体の支援と質の向上に取り組んでいきます。

第三者評価機関

特定非営利活動法人 介護と福祉の調査機関おきなわ

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 生活福祉部 福祉政策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2
電話:098-866-2164 ファクス:098-866-2569
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。