沖縄県福祉サービス第三者評価事業評価結果 浦添市母子生活支援施設浦和寮

ページ番号1006896  更新日 2024年1月11日

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基本情報

  1. 事業所名:浦添市母子生活支援施設浦和寮
  2. 経営主体:一般社団法人まちづくりうらそえ
  3. 所在地:沖縄県浦添市屋富祖2-5-14

第三者評価結果の概要

総評

特に評価の高い点

1.支援の基本である母親と子どもの個別の課題に対する専門的支援を行い、必要に応じて母親への日常生活の支援を行っている。

社会福祉士等の資格を有する母子支援員と保育士や教員免許の有資格者である少年指導員が、母親と子どもの個別支援計画を作成している。課題を抱えている母親には、必要に応じて主治医や心理士等につなぎ、母親が相談できる支援をし、同行支援する場合もある。不登校児には、心理カウンセラーの資格を有する個別対応職員が子どもに寄り添って支援している。生活経験の乏しい母親には、母子支援員が日常生活(食事作り、入浴、洗濯、掃除等)全般の指導をしている。部屋の片づけが気になる場合は、毎月の防災点検等の安全点検時に、部屋の整理整頓の支援を行い、金銭管理が難しい場合は家計簿を一緒につける等で自立に向けた支援をしている。借金がある場合は、自己破産手続きを弁護士と相談し、母親の病気や残業時は、保育園や学校への送迎を行い、若年の母親には、ミルクの作り方や夜泣きの対応方法等を教えている。子どもの発達について不安を抱えている場合は、安心して子どもと関われるように情報を提供し、助言を行い、必要に応じて市の保健相談センターや障害児通所支援事業所と連携して支援している。母親が施設を自分の居場所として感じられるよう、母親同士の話し合いの時間を毎月の定例会の後に設けて交流の機会とし、施設内で月1回、ペアレントトレーニングを開催している。

関連項目:55.57.58.59

2.母親や子どもの家族関係の悩みや不安に対する相談・支援、及び配慮が必要な母親と子どもに対する支援を行い、必要に応じて関係機関と連携している。

母親の悩みや不安には主に母子支援員が対応している。母親から暴言を受ける子どもには、母子支援員と保育士、少年指導員、個別対応職員が介入し、必要に応じて、市の子ども家庭課や保育園、小学校などの関係機関と連携し問題解決を図っている。障害や精神疾患等、配慮が必要な母親と子どもへの支援としては、障害者手帳や障害者年金、生活保護等の情報を提供し、活用を促している。当施設へ入居したことで知的障害があることがわかり、療育手帳を取得した母親の事例がある。ADHD等で何らかの遅れのある子どもには、療育手帳の取得の支援をしている。公的機関や就労先への事務手続きの同行や代弁の支援、保育園や学校への入園や入学の手続きの支援をし、不登校児の対応では関係機関と連携している。精神疾患等があり配慮が必要な母親や子どもには、主治医と連携して通院に同行する等の支援を行い、保育園や学校からの文書の整理や公的手続き文書の記入方法等を教え、関係機関の職員との相談方法やコミュニケーションの取り方についても支援している。
関連項目:69、70

3.理念、基本方針を明文化して職員や母親と子どもに周知し、施設経営をとりまく環境と経営状況を把握・分析し、経営課題を明確にして具体的に取り組んでいる。

今年度、理念や基本方針を見直して明文化し、職員行動指針も策定されている。理念は、施設の使命や目指す方向や考え方を読み取ることができ、基本方針はわかりやすい内容に見直して掲示している。理念、基本方針と全国母子生活支援施設協議会倫理綱領が事業計画に記載され、職員には職務会で配布し、説明している。母親には、わかりやすく作成した「利用者のしおり」に掲載して、入所時等に説明している。社会福祉事業全体の動向は、全国母子生活支援施設協議会が年4回、発行する「全母協通信」で把握し、地域の福祉計画の策定動向と内容は、浦添市第4次てだこ親子プラン等から把握している。地域の課題としては、若年出産やショートステイの増加等、母親や子どもの支援のニーズを把握している。経営課題として、職員の事務負担や情報の共有、情報のデータ化、個人情報の保存等を明らかにして、昨年度から取り組んでいる。改善課題は、理事会で協議して共有され、職務会で職員に周知している。システム導入については、職員参画により意見をまとめ、今年度から起動させて情報の共有やデータ化、個人の支援記録の保管にクラウドを活用する等、課題の改善に取り組んでいる。
関連項目:1、2、3

改善を求められる点

1.標準的な実施方法(マニュアル)にもとづいた支援の実施、及び標準的な実施方法の見直しをする仕組みの確立、マニュアルに沿った母親と子どもの権利擁護や職員等による不適切な関わり(権利侵害)の防止に向けた取組の徹底が望まれる。

危機管理や自立支援計画作成、入所受け入れや退所、アフターケアの手順、母親の就労に関すること等、支援全般にわたってマニュアルが作成されている。母親と子どものプライバシー保護マニュアルの冒頭に倫理綱領の人権侵害防止を掲げ、母と子への権利侵害を許しませんと明記している。
母親や子どもとの日常会話や個別面談、帰宅時の様子等を確認して支援しているが、権利擁護に関しては、マニュアルに基づいた支援が実施されているかどうかの確認、及び具体的な取組の徹底が望まれる。不適切な関わりの起こりやすい状況や場面については、具体例を示しながら研修等を実施し、職員による不適切な関りを行わないための支援技術の習得が望まれる。「職員からの不適切な関わりが発生した時(事故対応)マニュアル」は前法人の仕様となっており、マニュアルの見直しをする仕組みを確立し、早急な見直しが望まれる。
関連項目:40、41、46、47

2.運営の透明性を確保するための情報公開、及び公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が望まれる。

第三者評価の受審結果は県のホームページで公開され、苦情内容については苦情受付簿が整備され、第三者委員会を開催して是正・改善し、記録は保管されている。解決結果については定例会で母親に報告するとともに、個人情報を除いて1カ月程度施設内で掲示して公表している。職員は「福祉サービスに関する苦情処理解決セミナー」をオンラインで受講している。適正な経営・運営のための取組として、組織及び事務に関する規程や経理規程が整備され、職務分掌と権限・責任は職務分掌表に明記して職員に周知している。今年度から税理士事務所と契約して財務の月次報告がされている。
社会的擁護関係施設として、苦情・相談の体制や内容にもとづく改善・対応の状況、及び施設の理念や基本方針、支援の内容、事業計画、事業報告、予算、決算情報等の公開が望まれる。経理規程への取引等に関するルールの追記、及び内部監査の実施、税理士等の指摘事項にもとづく経営改善が望まれる。
関連項目:21、22、34

3.運営の透明性を確保するための情報公開、及び公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が望まれる。

事業計画は職務会で協議し、各担当職員の意向を踏まえて策定され見直しも行われている。事業計画策定後は職務会で職員に周知している。母親には年度の事業計画表を配布し、参加を促す観点から計画の主な内容は毎月の母親定例会で説明し、掲示もされている。子どもに対しては主に行事の説明となっている。
事業計画の実施状況の把握や評価に関する時期等についての手順の作成、及び事業計画の主な内容のわかりやすい資料を作成して母親や子どもがより理解しやすい工夫を行い、子ども会や母親定例会等で説明することが望まれる。
関連項目:6、7

第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント

今回、団体として初めて第三者評価を受けることになりました。職員全員が事前の準備から参加できたことで日々の業務を見直す機会となり、施設の強みや弱みについても再確認できました。職員からは「知らなかったことが多く、勉強になった」との声も多く聞かれました。実効性のあるマニュアル作成や定期的な見直しも含め、理念や基本方針が推進できるようにしたいと思いました。職員の志や専門職としての意識が高まったと感じました。課題解決に向けた意識改革や専門職としての意識の向上につながりました。

評価結果の詳細

第三者評価機関

特定非営利活動法人介護と福祉の調査機関おきなわ

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このページに関するお問い合わせ

沖縄県 生活福祉部 福祉政策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2
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