沖縄県福祉サービス第三者評価事業評価結果 児童養護施設なごみ

ページ番号1006883  更新日 2024年1月11日

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基本情報

  1. 事業所名:児童養護施設なごみ
  2. 経営主体:社会福祉法人 ひんぷん会
  3. 所在地:沖縄県名護市字辺野古1009番地7

第三者評価結果の概要

総評

特に評価の高い点

1.子どもを尊重した養育・支援の実施についての基本姿勢が明示され、施設内で共通の理解をもつための取組が行われている

理念や基本方針に子どもの尊重を明示し、倫理綱領は掲示して毎月の全体会議の前に読み合わせを行っている。個々のマニュアルには、子どもを尊重した養育・支援の実施に関する基本姿勢が反映され、病院受診時や特別教育の支援の申請は子どもと保護者に説明し、同意を得ている。職員はCAPによるワークショップやスーパーバイズ研修等を受講し、各寮でのOJT研修の一環として子どもの人権についての勉強会も実施している。子ども会議を毎月実施し、担当職員は年2回、子どもと1対1で権利ノートの読み合わせをしている。年1回、「児童養護施設における人権擁護のためのチェックリスト」により人権擁護のチェックを実施し、担当職員が集計し、参与(スーパーバイザー)が協力して分析・評価している。その結果は全体会議で参与が報告し、「NOと答えている職員に、各主任児童指導員が周知させる」等の対応をしている。
関連項目:28,29

2.子どもに対し、自他の権利について正しい理解を促す取組を実施している

子どもの権利についての説明は、「権利ノート」を活用している。「権利ノート」は入所時に説明すると共に、年2回定期的に説明する機会がある。説明に際しては、寮毎に1対1で、低年齢児には絵本を活用し、高年齢児には「権利ノート」を読み合わせる等により実施している。子どもの意向への配慮として、「こども会議」を子どもの意見表明の保証の場としている。子どもが意見や苦情を述べやすい環境として「意見箱」を設置し、意見への対応として第三者委員からの回答も出されている。職員研修は「どならない子育て支援」等を実施している。職員が子どもと個別にふれ合う場として、こども園等
への送迎時や誕生日の外食、買い物等で個別にふれ合う機会を持っている。帰りの早い幼児にはスキンシップを心がけ、夜間は低年齢児の就寝後に高年齢児の話を聞いている。子ども間のトラブルは状況によっては仲裁に入るが、相手の人格を尊重しながら子ども同士で解決できるよう見守る支援もしている。外出や体調の悪い子どもがいる場合は当番を交代し、食事中に他の子どもの面倒を見る等、子ども同士の思いやりの支援がみられる。毎年、養護施設スポーツ大会や老人施設訪問で、同年齢や異年齢交流を図っているが、コロナ禍のため活動を中止している。
関連項目:47

3.心理的ケアが必要な子ども対する心理的な支援や性教育を計画的に行っている

心理療法担当職員を中心に「心理療法実施要項」に沿って、オリエンテーションやアセスメント、遊戯療法、来談者中心療法を実施し、自立支援計画に基づく心理的ケアプログラムに沿って心理療法が実施されている。児童の状況に応じて面接頻度を検討し、初回面接では「何でも話してよい時間であること」や「困ったこと、悩んでいること、嫌なことを話す時間で、それを解決できないか一緒に考える時間であること」を児童の年齢や理解度によって個々に対応し、子どもが相談しやすい環境作りに努めている。療育センターや精神科での受診が必要な児童についても対応している。必要に応じて個々に対応しており、子どもが相談しやすい環境作りに努めている。療育センターや精神科での受診をしている子どもに関しては児童票に記録している。心理的なケアに関してはスーパービジョンも行っている。また性教育に関するマニュアルを整備し、「幼児・小学生用」と「小学校高学年女子~高校女子用」、「小学校高学年男子~高校男子用」の3種の性教育プログラムを作成している。実施にあたっては、心理療法担当職員が女児を担当し、被虐待児個別対応職員が男児を対応して、個別や集団でのグループ学習会を設けて性教育を実施している。ケース担当者会議には心理療法担当職員や関係職員が参加して、職員間で情報を共有し統一した対応に努めている。全職員が定期的にスーパーバイズ研修を受講して心理的支援の向上に取り組んでいる。児童相談所と連携し、対象となる子どもの保護者等への定期的な助言・援助も行っている。
関連項目:62、65

改善を求められる点

1.中・長期計画に伴う収支計画の策定が望まれる

「乳児院・児童養護施設の高機能化及び多機能化・機能転換、小規模かつ地域分散化推進計画」により、6人規模の地域小規模児童養護施設が2019年度(令和元年度)に設置され、2029年度までに更に3か所の設置が計画されている。
策定されている地域分散化計画に基づいて設置予定年度ごとに、人員体制や設備整備等の数値目標、必要経費など具体的な内容を策定し、それに基づいた収支計画の作成も望まれる。
関連項目:4、5

2.職員の質の向上に向けて体制の確立が望まれる

必要な人員体制に関する基本的な考え方の明文化、及び必要な福祉人材の確保や人員体制についての具体的な計画を作成するとともに、策定されている「期待する職員像」の達成に向けて、職員一人ひとりに目標を設定させ、設定した目標について年2回、中間段階や期末に面接を行い、目標達成と取り組み状況の確認をする等の目標管理が望まれる。
関連項目:14、17

3.子どもの権利擁護について、規程・マニュアル等の整備が望まれる

社会的養護が子どもの最善の利益を目指して行われることについては、基本理念や倫理綱領を、毎月の全体会議において全職員で読み合わせをしている。職員は、「子ども理解や権利擁護」等の研修を受講し、日々の実践に繋げている。子どもの養育・支援は、毎月の寮会議やケース会議だけでなく、定期的に実施する個別の自立支援計画の評価の時に振り返り、検証している。権利侵害の防止と早期発見する具体的な取組として「児童養護施設における人権擁護のためのチェックリスト」(職員版)を使用して各職員が実施している。就業規則の服務規律に「政治的及び宗教的意図を持って教示、扇動する事を禁ずる」と明示して、子どもや保護者の思想や信教の自由を保障し、子どもの権利が損なわれないよう
配慮している。
子どもの権利擁護として「虐待防止要綱」が整備されているが、職員は権利擁護の代弁者(アドボケイト)としての、権利擁護の要件((1)子どもの意向への配慮、(2)権利についての説明配慮、(3)子どもが意見や苦情を述べやすい環境整備への配慮、(4)虐待防止等を含めたマニュアル)の整備が望まれる。
関連項目:46

第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント

今回の第三者評価受審を通して、運営や業務に関わる改善点を確認することが出来ました。改善点については、以下のように対応に努めたいと思います。
1. 地域分散化計画に関しては、地域小規模設置委員会の活動を継続し、人員体制や設備整備等の数値目標を設定していきたいと考えております。
2. 職員一人ひとりの目標に関しては、施設長と職員との面談を実施し、職員のスキルアップやモチベーション向上を図りたいと思います。
3. 子どもの権利擁護に関するマニュアルの整備に関しては、各マニュアルの点検や見直しを進めていきたいと考えております。
また職員の自己評価に関しては、職員一人ひとりが養育・支援や運営に関して現状や課題を確認することが出来ました。今後も子ども達の最善の利益のために、職員一丸となって、養育・支援・施設運営それぞれの質の向上を目指し、取り組んでいきたいと思います。今回の第三者評価受審を通して、職員が自身の養育を振り返り、課題を整理する大変貴重な機会となったことに、深く感謝申し上げます。

評価結果の詳細

第三者評価機関

特定非営利活動法人 介護と福祉の調査機関おきなわ

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沖縄県 生活福祉部 福祉政策課
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