沖縄県福祉サービス第三者評価事業評価結果 沖縄県立若夏学院

ページ番号1006918  更新日 2024年1月11日

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基本情報

  1. 事業所名:沖縄県立若夏学院
  2. 経営主体:沖縄県
  3. 所在地:沖縄県那覇市大名町3-112

第三者評価結果の概要

総評

特に評価の高い点

1.子どもの権利擁護、最善の利益に向けた支援に努めている。

子どもの権利擁護に関する取組については、全国児童自立支援協議会作成の「児童自立支援の基本における子どもの権利擁護」をマニュアルとして職員に周知して各寮に置き、新任職員には院長が講話している。寮担当者会議や寮長会議において子どもの状況把握や身体接触に関する留意点などが周知されている。各寮の反省会で日々の出来事や自他の権利等について話し、必要時には全員に話している。意見箱に入っている子どもの意見への回答を掲示し、毎週火曜日は、昼の折り返し時に子どもからの意見に対する他の子どもの権利についても話をしている。子どもには権利ノートで説明し、心理士による心理面接や寮担当職員の面接でも話をしている。心理士からは「私のことを教えて、自分の権利を守ろう、やってみよう」等、わかりやすい資料が提供されている。子ども自身が自らの生活を主体的に考え、営むことができる支援としては、分校の授業の一環としてスポーツ活動を取り入れ、子どもたちの希望を聞き、バレーボールやバスケットボールの大会が実施されている。学校では学習発表会の司会や挨拶を子どもが行い、クリスマス会や誕生会は各寮で実施して子どもが司会し、職員と一緒にダンスや歌、ゲームなどをしている。「テレビ視聴の時間延長や居室替え、洗濯物を干す場所を変えて」等の子どもの要望については振り返りの時間等で話し合われている。身だしなみ等の子どもの要望は寮内で話し合って取り組んでいる。洗濯物の片付けや整理整頓等が苦手な子ども、お箸が上手に使えない子どもには、イラストやポスターを活用して視覚的に教える等、発達段階に応じた生活習慣の支援を行っている。

関連項目:46,48,50

2.施設経営をとりまく経営状況を的確に把握・分析し、経営課題を明確にした取組を進めている。

施設経営をとりまく環境と経営状況の把握・分析については、5年間(平成28年度~令和2年度)の「入所児童にかかる統計資料」を作成し、学年別や相談別、入所理由別、地域別、保護者の状況や退所理由別等、10数項目の集計・分析を実施している。分析した結果から、子どもの状態は、被虐待児や障害・性の問題を抱えている子どもが増えていることを把握し、家庭環境は、無職や生活保護受給中の保護者が多い等が把握されている。経営課題を明確にした具体的な取組として、財務状況については庶務班長が8~9月に分析して県への予算要求をし、クーラーの使用等については職員に注意喚起している。今年度の重点課題として、3寮の児童数の減少に対する正職員3名の定数減への対応を明らかにしている。児童自立支援専門員の選考採用試験の継続と体育館や分校校舎の老朽化に伴う建て替え等、運営面等の課題も明確にしている。課題等については県の担当部署に文書で提示して説明している。児童自立支援の専門職としての採用が行われ、会計年度任用職員4名が配置され、各寮とも24時間2人以上での支援体制を整えている。正職員3名の定数減に対して、今年度は会計年度任用職員が配置されているが、院長は県に対して必要な人員配置と予算について説明し、要求している。

関連項目:2,3

3.職員の質の向上に向けた体制を確立し、取組を行っている。

職員一人ひとりの育成に向けた取組としては、「期待する職員像」を明確にし、県の人事評価制度のもと目標管理が行われている。職員は主管課の目標(児童への支援充実、子育てセーフティーネットの充実、円滑な組織運営及び職員の資質向上)に沿って各自の業務内容ごとに目標(いつまでに、何を、どの水準まで)を設定して達成状況等について自己申告している。上司による年2回(期首・期末)の面接を通して進捗状況や目標達成度の評価・確認が実施され、処遇に反映されている。新任職員には、フレッシュマントレーナー養成研修を修了した職員や寮長、主査以上の職員が1年間、ОJTを実施している。新任や中堅職員等の階層別研修は全国研修に派遣し、事務職や心理担当、生活指導担当等の職種別研修は県内や九州の研修を受講させている。今年度はコロナ禍によりリモート研修の受講に変更している。外部研修の情報は寮長会議を経て寮担当者会議で職員に提供され、職員が公平に研修を受講できるよう、研修班と指導班長で受講者を決定している。スーパービジョンの体制としては、指導班長と3名の寮長がスーパーバイザーの役割を果たしている。院内研修では、心理専門職による性教育に関する研修が今年度2回、実施されている。

関連項目:17,18,19

改善を求められる点

1.支援の標準的な実施方法(マニュアル)の定期的な見直し、及び標準的な実施方法が実施されていることを確認する体制の確立が望まれる。

支援に関する標準的な実施方法について、日々の支援にあたっては「指導要領」が作成され、「危機管理対応マニュアル」や「被措置児童等虐待対応マニュアル」、「苦情解決要領」、「実習受入れに関する要綱」等の各種マニュアルが整備されている。「指導要領」や「苦情解決要領」、「実習受入れに関する要綱」等には子どもの尊重や権利擁護、プライバシー保護に関わる姿勢が明示されている。マニュアルの周知については、院長講話や研修等を通して実施されている。標準的な実施方法の見直しについて、「指導要領」は定期的に改訂して様式も見直している。指導要領の改訂は寮長会議で検討することが定められている。その他の各種マニュアルについては、平成29年度調査時点で作成されているが、見直しの確認ができなかった。マニュアルの見直しに関する時期や方法を定めるとともに、職員からの提案等が反映される仕組みを整備し、定期的な見直し、及びマニュアルにもとづいて実施されていることを確認する体制の確立が望まれる。

関連項目:40,41

2.子どもの満足の向上を目的とする仕組みを整備し、更なる取組が望まれる。

子どもの満足の向上を目的とする取組については、年2回、給食メニューの嗜好調査を実施している。「カレーがおいしい。沖縄そばをもっと出して。ステーキやまぐろ丼を出してほしい」等の要望があり、給食委員会で検討し、集計結果は県の栄養士に報告している。寮の担当職員は、週1回の個別面接を通して子どもの意向や思いを把握し、寮担当者会議で報告している。各寮に意見箱が設置され、投函された意見を検討した結果は各寮で公表している。テレビゲームは禁止されているが、「冬休みの間はさせてほしい」との要望で、時間を決めて認めたこともあり、具体的に取り組んでいる。分校には生徒会があり、生徒会主催のレク大会等を実施している。
子どもの日常生活についての満足を把握する手段として、子ども会等を結成し、子どもの満足に関する調査結果の検討会議に子どもの参画が望まれる。

関連項目:33

3.支援の質の向上への組織的・計画的な取組が望まれる。

支援の質の向上に向けた組織的な取組については、毎年自己評価を実施し、定期的に第三者評価を受審している。自己評価の担当者は寮長とし、評価結果を集計・分析して寮長会議で課題を抽出し、改善策を検討する体制がある。
評価結果にもとづく課題の改善策の実施については、課題を明文化して職員間での共有、及び改善実施計画を作成してPDCAサイクルにもとづく支援の質の向上に関する取組が望まれる。

関連項目:8,9

第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント

毎年、自己評価を実施しているが、どうしても仲間内で評価すると評価が甘くなりがちな点があることを改めて気づかされた。やはり、3年に一度しっかりと外部の第三者機関に評価していいただくことは必要であるし、施設サービスの質の向上を図る上でも有用な制度だと感じた。
今回、指摘のあった点については、職員全員で共有し、知恵を出し合い、改善に取り組んでいきたい。

評価結果の詳細

第三者評価機関

特定非営利活動法人 介護と福祉の調査機関おきなわ

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このページに関するお問い合わせ

沖縄県 生活福祉部 福祉政策課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2
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