「陸域における自然環境の保全に関する指針」の概要
目 次
1.自然環境の状況 現在のページ
  1.1 沖縄島の自然環境
  1.1.1 沖縄島における特定植物群落
  1.1.2 沖縄島における特異な地形・地質
  1.1.3 沖縄島における文化財の状況
  1.1.4 貴重な動物種の分布
  1.2 各々の地域における「すぐれた自然」の概況

 

1.自然環境の状況

 沖縄島は、地形的に山地性の北部と平坦な中南部に分かれており、自然植生も地形や地質等の質的な違いを反映して南北に2分され、北部地域にはリュウキュウアオキ−スダシイ群団等が、中南部地域では好石灰岩地生のリュウキュウガキ−ナガミボチョウジ群団が生育している。

 沖縄島北部地域の地形は、主に沖縄島の島軸(NE―SW)方向に走る山地を根幹に、それを囲む丘陵地、台地・段丘、および低地で構成されており、表層地質は名護層(中生界白亜系)と嘉陽層(新生界第三系)が主体であり、本部半島には主として本部層の石灰岩(古生界二畳系)と今帰仁層の石灰岩(中生界三畳系)が分布する。また、急峻な山地面に黄色土壌と岩屑性土壌が分布し、標高150m以下の丘陵地に赤色土壌や表層グライ系赤黄色土壌が分布する。

 自然植生は、主に粘板岩などの風化した土壌を土台に、シイ型の森林が発達しており、これは常緑広葉樹林ヤブツバキクラス域:オキナワシキミ−スダシイ群集にあてはまる。風衝性の強い山頂域にはオキナワテイショウソウ−マテバイシ群集が、谷部地形ではオキナワウラジロガシの優占した林分も見られる。これら山地部には、多数の固有種、固有亜種、希少種や本県を分布の北限あるいは南限とする種などが生息し、その多様性・特異性に富む生物相は世界的にも貴重な価値を持つものである。なかでも、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ等が「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により、国内希少野生動植物種に指定されているほか、国・県の天然記念物にも指定されるなど、固有種を含む数多くの貴重な野生生物が生息・生育し、学術評価の高い地域として国内外からも注目されている。

 沖縄島中南部地域の地形は、丘陵地、台地・段丘、および低地で構成され、表層地質は島尻層群(新生界第三系)のシルト質泥岩が主体となっており、その島尻層群を基盤にして琉球石灰岩(新生界第四系更新統)が分布している。また、島尻層群の泥岩層には緩傾斜の泥岩丘陵が形成されている。南部地域では未熟土壌及び灰色土壌と暗赤色土壌が分布している。


 中南部は古くから集落が発達し、耕地化が進んでいるため、自然植生は戦禍をまぬがれた御嶽林や断層崖に残る林分のみである。同じ常緑広葉樹林でも北部のシイ型の森林とは違い、リュウキュウガキ・ガジュマルなどで特徴づけられるリュウキュウガキーナガミボチョウジ群団域の植生であり、この植生は隆起サンゴ礁や泥岩等を基盤にもつ地域に共通の植生である。この地域には固有種は少なく、戦後急激に増えた帰化植物が最初に馴化した地域である。

 沖縄島における「特定植物群落」及び「特異な地形・地質」の分布状況は表1−1に示す通りである。沖縄島には、特定植物群落54群落(うち、国の天然記念物に指定されている群落7件、沖縄県の天然記念物に指定されている群落7件、市町村の天然記念物に指定されている群落2件)、特異な地形・地質125箇所(うち、国の天然記念物に指定されているもの2件、沖縄県の天然記念物に指定されているもの1件、市町村の天然記念物に指定されているもの2件)がある。

 また、史跡、名勝、天然記念物などの文化財の分布状況は表1−2に示すとおりである。沖縄島には、国指定の史跡23件、名勝2件、天然記念物8件、県指定の史跡25件、名勝7件、天然記念物15件、市町村指定の天然記念物33件があるほか、埋蔵文化財包蔵地が829件ある。

 「身近な自然」の分布状況は表1−3に示すとおりであり、御嶽林・拝所523箇所、巨樹・巨木林158件、野外レクリエーション地等142箇所、公園・緑地441箇所がある。


1.1 沖縄島の自然環境

1.1.1 沖縄島における特定植物群落
 
1.1.2 沖縄島における特異な地形・地質
 
1.1.3 沖縄島における文化財の状況
 ・所在地、地域を定めず指定されている天然記念物
 ・地域別
国頭村 大宜味村 東村 今帰仁村 本部町 名護市 恩納村
宜野座村 金武町 石川市 与那城町 勝連町 具志川市 沖縄市
読谷村 嘉手納町 北谷町 北中城村 中城村 宜野湾市 浦添市
西原町 那覇市 豊見城村 糸満市 南風原町 東風平町 与那原町
佐敷町 大里村 玉城村 具志頭村 知念村    

1.1.4 貴重な動物種の分布


自然環境の保全に関する指針 沖縄島編 各々の地域における「すぐれた自然」の概況(陸域)