1.自然環境の状況
沖縄島は、地形的に山地性の北部と平坦な中南部に分かれており、自然植生も地形や地質等の質的な違いを反映して南北に2分され、北部地域にはリュウキュウアオキ−スダシイ群団等が、中南部地域では好石灰岩地生のリュウキュウガキ−ナガミボチョウジ群団が生育している。
沖縄島北部地域の地形は、主に沖縄島の島軸(NE―SW)方向に走る山地を根幹に、それを囲む丘陵地、台地・段丘、および低地で構成されており、表層地質は名護層(中生界白亜系)と嘉陽層(新生界第三系)が主体であり、本部半島には主として本部層の石灰岩(古生界二畳系)と今帰仁層の石灰岩(中生界三畳系)が分布する。また、急峻な山地面に黄色土壌と岩屑性土壌が分布し、標高150m以下の丘陵地に赤色土壌や表層グライ系赤黄色土壌が分布する。
自然植生は、主に粘板岩などの風化した土壌を土台に、シイ型の森林が発達しており、これは常緑広葉樹林ヤブツバキクラス域:オキナワシキミ−スダシイ群集にあてはまる。風衝性の強い山頂域にはオキナワテイショウソウ−マテバイシ群集が、谷部地形ではオキナワウラジロガシの優占した林分も見られる。これら山地部には、多数の固有種、固有亜種、希少種や本県を分布の北限あるいは南限とする種などが生息し、その多様性・特異性に富む生物相は世界的にも貴重な価値を持つものである。なかでも、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ等が「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により、国内希少野生動植物種に指定されているほか、国・県の天然記念物にも指定されるなど、固有種を含む数多くの貴重な野生生物が生息・生育し、学術評価の高い地域として国内外からも注目されている。
沖縄島中南部地域の地形は、丘陵地、台地・段丘、および低地で構成され、表層地質は島尻層群(新生界第三系)のシルト質泥岩が主体となっており、その島尻層群を基盤にして琉球石灰岩(新生界第四系更新統)が分布している。また、島尻層群の泥岩層には緩傾斜の泥岩丘陵が形成されている。南部地域では未熟土壌及び灰色土壌と暗赤色土壌が分布している。
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