「陸域における自然環境の保全に関する指針」の概要
目 次
1.自然環境の状況 現在のページ
  1.1 宮古・久米島の自然環境
  1.1.1 宮古・久米島における特定植物群落
  1.1.2 宮古・久米島における特異な地形・地質
  1.1.3 宮古・久米島における文化財の状況
  1.1.4 貴重な動物種の分布
  1.2 各々の地域における「すぐれた自然」の概況


1.自然環境の状況

 宮古島地域は、ほとんどが琉球石灰岩で構成される平たい低い島である。一部に基盤の島尻層群が露出して丘陵を作るが、大部分は石灰岩台地や段丘からなり、山地のない特徴的な島々である。宮古島は石灰岩台地からなり、北西−南東方向に走る石灰岩堤によって分断されている。この石灰岩堤は断層によって形成され、これを境に各台地面は変位を受けている。海岸の多くは急な海岸崖からなるため、低地は一部を除いて規模が小さく、離水性の低地が大部分を占めている。伊良部島・下地島は、宮古島同様石灰岩台地からのみ成り、伊良部島が高く古い段丘であり、下地島は低く新しい段丘である。来間島の地形は伊良部島とよく類似している。大神島は丘頂上は琉球石灰岩からなり、斜面は島尻層群からなる、急斜面の山のような丘の地形である。池間島の地形は宮古島の北半分とよく類似している。多良間島は琉球石灰岩からなる平たい低い島であり、断層運動が顕著でなかったため、丸形の島が形成されている。水納島も琉球石灰岩からなる平たい低い島であり、海岸べりは砂丘によってほぼ全島が取り巻かれている。
 久米島は、東南部の島尻集落付近に、中〜古生代の凝灰岩質の変成岩が局地的に分布するが、島の大部分は、新生代中新世〜鮮新世の火成岩および砂岩やシルト岩などの堆積岩から構成される山地と丘陵からなる。山地や丘陵は、北部の宇江城岳と南部の阿良岳を中心とする南北2つのブロックからなり、その境界は久米島断層によって境される。西部には更新世琉球石灰岩の海岸段丘が発達している。東部の比嘉付近には、3列の浜堤列を含む比較的広い低地が見られる。島の北西部から西部の海岸一帯には、完新世離水サンゴ礁が発達している。
 硫黄鳥島は、本県最北端に位置する、県唯一の活火山島であり、硫黄岳とグスク岳の2つの火山体からなる島である。

 宮古諸島のほとんどの地域は、サトウキビ畑等の耕作地として利用されており、残されている森林も概ねモクマオウや広葉樹二次林、またギンネムといった代償植生で占められ、自然植生は海岸付近や断崖、御嶽林に分布するのみである。自然植生としては、池間島の淡水湿地植生、宮古島の北西から南東方向に走る断層崖の尾根筋に生育するタブ群落等の風衝地植生、島尻のマングローブ林、伊良部島牧山のタブ林、白鳥岬の隆起サンゴ礁植生、西部の御嶽に生育するビロウ群落、伊良部島・下地島間のマングローブ林、下地島西海岸の隆起サンゴ礁植生、多良間島の御嶽林などがある。また、宮古島大野山林のリュウキュウマツ林は、下層にタブの幼木が生育しており、このまま人為的影響を受けずにいればタブ林へと遷移していくと考えられている。
 久米島の山地部は概ねシイ・カシ二次林やリュウキュウマツ植林で占められ、低地部はサトウキビ畑等の耕作地として利用されており、自然植生は海岸付近や山間部に残っているのみである。自然植生としては、大岳・宇江城岳のイタジイ林、阿良岳のイタジイ林、儀間川河口のマングローブ林、北海岸の隆起サンゴ礁植生などがある。

 宮古諸島にはミヤコキクガシラコウモリ、ミヤコヒバア、ミヤコニイニイなどの固有種のほか、リュウキュウキンバト、カラスバト、ズグロミゾゴイ、キシノウエトカゲ、オオナキオカヤドカリなどの貴重な生物が生息している。また、メダイチドリ、チュウシャクシギなどのシギ・チドリ類が宮古島の与那覇湾に、サシバが伊良部や宮古島、多良間島に飛来し、渡り鳥の中継地として重要な役割を果たしている。なお、ミヤココキクガシラコウモリは1970年代初期以来確認されておらず、絶滅した可能性が指摘されている。
 久米島にはキクザトサワヘビ、クメトカゲモドキ、クメジマミナミサワガニ、クメジマボタルなどの固有種のほか、アラモトサワガニ、タウナギなどの貴重な生物が生息している。特にキクザトサワヘビは、確認事例が少なく絶滅が懸念されており、宇江城岳及びその周辺地域が「絶滅のおそれのある野生生物の種の保存に関する法律」に基づく生息地等保護区に指定されている。

 宮古島・久米島地域における「特定植物群落」及び「特異な地形・地質」の分布状況は表1−1に示す通りである。宮古島地域には、特定植物群落19群落(うち、沖縄県の天然記念物に指定されている群落7件、市町村の天然記念物に指定されている群落3件)、特異な地形・地質56箇所がある。また、久米島地域には、特定植物群落7群落(うち、市町村の天然記念物に指定されている群落3件)、特異な地形・地質14箇所がある。なお、硫黄鳥島には、特定植物群落2群落、特異な地形・地質1箇所がある。

 史跡、名勝、天然記念物などの文化財の分布状況は表1−2に示すとおりである。宮古島地域には、国指定の史跡1件、県指定の史跡9件、天然記念物9件、市町村指定の天然記念物26件があるほか、埋蔵文化財包蔵地が93件ある。また、久米島地域には、国指定の史跡1件、県指定の史跡5件、天然記念物4件、市町村指定の天然記念物17件があるほか、埋蔵文化財包蔵地が36件ある。

 「身近な自然」の分布状況は表1−3に示すとおりであり、宮古島地域には、御嶽林・拝所 170箇所、巨樹・巨木林15件、野外リクリエーション地等14箇所、公園・緑地18箇所があり、久米島地域には、御嶽林・拝所41箇所、巨樹・巨木林11件、野外リクリエーション地等4箇所がある。

1.1 宮古・久米島の自然環境

1.1.1 宮古・久米島における特定植物群落
 
1.1.2 宮古・久米島における特異な地形・地質
 
1.1.3 宮古・久米島における文化財の状況
 ・所在地、地域を定めず指定されている天然記念物
 ・地域別
平良市 下地町 城辺町 上野村
伊良部町 多良間村 仲里村 具志川村

1.1.4 貴重な動物種の分布


自然環境の保全に関する指針 宮古・久米島編 各々の地域における「すぐれた自然」の概況(陸域)