平成22年第1回議会(2月定例会)で可決された意見書・決議
意見書5件
議決年月日 | 件名 | 議決の結果 | 備考 |
---|---|---|---|
平成22年2月10日 | JTA及びRACの航空路線確保等に関する意見書 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年2月24日 | 米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年3月25日 | 農林水産業予算の削減に反対する意見書 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年3月25日 | 那覇地域職業訓練センターの廃止問題に関する意見書 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年3月25日 | 米軍車両によるひき逃げ事件に関する意見書 | 原案可決 | 全会一致 |
決議5件
議決年月日 | 件名 | 議決の結果 | 備考 |
---|---|---|---|
平成22年2月10日 | (1)JTA及びRACの航空路線確保等に関する決議 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年2月10日 | (2)JTA及びRACの航空路線確保等に関する決議 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年3月19日 | 「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」(案)の中に施策を盛り込むことを求める決議 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年3月25日 | 那覇地域職業訓練センターの廃止問題に関する決議 | 原案可決 | 全会一致 |
平成22年3月25日 | 米軍車両によるひき逃げ事件に関する抗議決議 | 原案可決 | 全会一致 |
JTA及びRACの航空路線確保等に関する意見書
去る1月19日、日本航空は東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し、更正手続の開始決定を受けた。今後は、国や官民共同出資の企業再生支援機構が支援に当たり、事業再生計画を策定して再生を目指すことになる。これに伴い県内では、東京―沖縄間等の路線の廃止や県内業者との燃油など一般の商取引債権の放棄、ホテルを含む子会社事業の再編などのほか、日本航空の連結子会社である日本トランスオーシャン(JTA)と孫会社である琉球エアーコミューター(RAC)の株を売却して連結子会社から外す案や事業の譲渡、路線の廃止・減便、人員の大幅な削減などの影響が懸念されている。これに対し、JTAでは、同社株式の売却や事業譲渡などは事業再生計画にないこと、日航グループとしての位置づけは変わらないこと、路線の追加削減はないこと、本体である日本航空のような大幅な人員削減計画はないことなどを説明しており、当面の影響は最小限に抑えられた形になっていると説明している。しかしながら、企業再生支援機構の今後の動向によっては、このような懸念が現実のものとなる可能性が高く、県民は沖縄の将来にかかわる重大な事態として受けとめ、不安を募らせている。JTA及びRACが運航する路線は、本県の離島を結ぶ生活路線として不可欠なものであり、また県外から多くの観光客を県内に運ぶ重要な産業路線でもある。そのため、県及び県内企業は、これまで共同でJTAとRACの前身である南西航空や移行後のJTAとRACに対し出資を行うとともに、人的・物的なさまざまな支援を行い、県民及び観光客の足となる航空路線の維持・確保に努めてきたところであるが、日本航空の支援なしでは安全、安定的な運航ができないことは明らかである。よって、政府におかれては、県民の意向をお酌み取りいただき、日本航空がJTAの株を売却し経営から撤退しないよう取り計らうとともに、日本航空、JTA及びRACの県外及び県内の航空路線の維持・確保に努められるよう強く要請する。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。平成22年2月10日/沖縄県議会
(あて先)
- 内閣総理大臣
- 財務大臣
- 国土交通大臣
- 沖縄及び北方対策担当大臣
米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書
米軍普天間飛行場は、沖縄本島中部の市街地に位置し、その周辺には住宅や学校等が密集しており、万一事故等が発生した場合は、その被害は多くの周辺住民や各種施設に及ぶことが想定され、極めて危険性が高い場所となっている。特に、平成16年8月13日に発生した沖縄国際大学構内への米軍海兵隊所属CH53D大型輸送機ヘリコプターの墜落事故は、一歩間違えば大惨事を引き起こしかねないもので、「世界一危険な飛行場」の存在を改めて内外に証明した。このため、県民は同飛行場の返還を強く要求し、これを受け日米両政府は、平成8年の日米特別行動委員会(SACO)合意及び平成18年の在日米軍再編協議で同飛行場の全面返還を合意したところであるが、13年経過した今なお実現を見ることはなく、その危険性は放置されたままである。ところで、県民は、去る大戦の悲惨な教訓から基地のない平和で安全な沖縄を希求しており、SACO合意の「普天間飛行場移設条件つき返還」は新たな基地の県内移設にほかならない。県民の意思はこれまで行われた住民投票や県民大会、各種世論調査などで明確に示されており、移設先とされた名護市辺野古沿岸域は国の天然記念物で、国際保護獣のジュゴンを初めとする希少生物をはぐくむ貴重な海域であり、また新たなサンゴ群落が見つかるなど世界にも類を見ない美しい海域であることが確認されている。また、宜野湾市民や県民は、最も危険な普天間飛行場を早期に全面返還し、政府の責任において跡地利用等課題解決を求めている。さらに、地元名護市長は、辺野古の海上及び陸上への基地建設に反対している。よって、本県議会は、県民の生命・財産・生活環境を守る立場から、日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念され、国外・県外に移設されるよう強く要請する。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。平成22年2月24日/沖縄県議会
(あて先)
- 内閣総理大臣
- 外務大臣
- 防衛大臣
- 沖縄及び北方対策担当大臣
- 内閣官房長官
農林水産業予算の削減に反対する意見書
沖縄県では、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画と沖縄振興計画により「亜熱帯性気候等の地域特性を生かした農林水産業の振興」を図るため、さまざまな施策を推進してきたが、依然として解決されない多くの課題及び問題を抱えている。このため、本県では、沖縄振興計画により、引き続き、おきなわブランドの確立、生産供給体制の強化、流通・販売・加工対策の強化、担い手の育成、技術の開発・普及、生産基盤整備の計画的な実施、環境と調和した農林水産業の推進などの諸施策を国の支援のもと、県、市町村、関係団体及び県民挙げて推進する考えであるが、推進に当たっては、これまで以上に政府による財政上の支援等が必要である。このような中、平成22年度の予算編成において、政府の新たな施策として戸別所得補償制度が導入され、農林水産業の抜本的な見直しが進められているところであるが、その一方で本県の農林水産業予算が約67億6000万円、対前年比で11.8%と大幅に減額された。このような急激な措置が行われると、多くの課題及び問題を抱えている本県の農林水産業にとって壊滅的な影響をこうむることが懸念され、農業関係者を初め県民は大きな衝撃と落胆を感じている。よって、政府におかれては、本県の農林水産業の振興を計画的に推進するため、平成22年度の本県の農林水産業予算を前年度と同額に見直されるよう強く要請する。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。平成22年3月25日/沖縄県議会
(あて先)
- 内閣総理大臣
- 財務大臣
- 農林水産大臣
- 沖縄及び北方対策担当大臣
那覇地域職業訓練センターの廃止問題に関する意見書
平成20年12月、政府は「雇用・能力開発機構の廃止について」を閣議決定し、これを踏まえて、平成21年12月に「地域職業訓練センターの今後の取り扱いについて」により平成22年度末でもって廃止する旨の一方的な通知を発した。言うまでもなく、那覇地域職業訓練センターは、技能の検定や職業訓練等を実施するとともに、中小企業の事業主等が雇用労働者に職業教育訓練や研修を行う場として活用されており、他の都道府県のような認定職業訓練施設や事業主等が職業訓練を行うことができる施設がほかにない本県においては、必要不可欠な施設である。特に、本県では新規学卒者や若年者等を中心とした、全国一高い失業率等の問題を抱えていることや、本県の経済界においては近年の世界的な同時不況により大きな影響をこうむっていることもあって、同センターの重要性は高まるばかりである。また、政府は、閉鎖に当たり、希望する自治体等に対しては建物を譲渡するとしているが、同センターは設立当初から県が独立行政法人雇用・能力開発機構から無償で管理運営委託を受け、沖縄県職業能力開発協会へ有償で再委託を行っており、その再委託費は本県の厳しい財政の中から捻出しているところである。よって、政府におかれては、那覇地域職業訓練センターの廃止の方針を撤回するとともに、今後の同センターの管理運営に必要な経費を負担するよう強く要請する。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。平成22年3月25日/沖縄県議会
(あて先)
- 内閣総理大臣
- 財務大臣
- 厚生労働大臣
- 行政刷新担当大臣
- 沖縄及び北方対策担当大臣
米軍車両によるひき逃げ事件に関する意見書
去る3月16日、名護市辺野古の国道329号で、米軍車両が軽自動車に追突し、そのまま逃走するというひき逃げ事件が発生した。
幸い乗っていた親子3名に大事はなかったが負傷していることや、猛スピードで追突された軽自動車が大破していることから、一歩間違えば生命を奪われる危険性があった重大な事件である。
また、加害車両が追突後救護をしなかったことや、逆にスピードを上げて現場から逃げ去ったこと、容疑者が事故を起こす前に飲酒していたことを認めたことから、県民は、事件の根底に米兵のモラルの低さや、法令遵守の意識の欠如、綱紀の乱れなどがあるとして、憤りを覚えている。
さらに、米軍は当初、日米地位協定に違反して容疑者を逮捕したと公表したが、車両の窃盗容疑のみでの拘束に一方的に変更していること、私服で、しかも飲酒の容疑者がいとも簡単に軍用車両を基地外に持ち出していること、米軍が県警察に理由を示さずに容疑者のアルコール検査を依頼していること、これまで本県議会を初め県内のさまざまな団体は、米軍人・軍属などが引き起こすさまざまな事件・事故に対し、その都度厳重な抗議を行うとともに、綱紀の粛正など必要な改善を行うよう繰り返し求めてきたにもかかわらず一向に改善されていないこと、繰り返される事件は一個人の問題ではなく、軍隊という組織の規律の問題であることから、県民は米軍への不信感を募らせている。
本来、ひき逃げ事件は極めて悪質な事件であり、到底許すことはできない。ましてや、負傷者を放置して逃走した行為は到底看過することはできないもので、しかも同様な事件が相次いでいることを考えると、日米地位協定で規定する「殺人など凶悪事件」に十分該当する事件として日米両政府は真摯に対処すべきである。
よって、本県議会は、県民の生命、人権及び安全を守る立場から、米兵による今回のひき逃げ事件に対し厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに措置されるよう強く要請する。
- 米軍に対し早急に具体的な捜査協力依頼を行い、容疑者の事情聴取が可能となるよう取り計らうとともに、事件の真相究明を早急に行うこと。
- 米軍に対し、早急な犯罪通報や起訴前であっても身柄の引き渡しを行うよう要求すること。
- 米軍人・軍属等の綱紀粛正を徹底的に行うよう求めること。
- 被害者に対する謝罪と完全な補償を早急に行うこと。
- 起訴前の容疑者の身柄引渡しを初め日米地位協定の抜本的な見直しを早急に行うとともに、基地の整理・縮小を促進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年3月25日/沖縄県議会
(あて先)
- 内閣総理大臣
- 外務大臣
- 防衛大臣
- 沖縄及び北方対策担当大臣
(1)JTA及びRACの航空路線確保等に関する決議
去る1月19日、日本航空は東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し、更正手続の開始決定を受けた。
今後は、国や官民共同出資の企業再生支援機構が支援に当たり、事業再生計画を策定して再生を目指すことになる。
これに伴い県内では、東京―沖縄間等の路線の廃止や県内業者との燃油など一般の商取引債権の放棄、ホテルを含む子会社事業の再編などのほか、日本航空の連結子会社である日本トランスオーシャン(JTA)と孫会社である琉球エアーコミューター(RAC)の株を売却して連結子会社から外す案や事業の譲渡、路線の廃止・減便、人員の大幅な削減などの影響が懸念されている。
これに対し、JTAでは、同社株式の売却や事業譲渡などは事業再生計画にないこと、日航グループとしての位置づけは変わらないこと、路線の追加削減はないこと、本体である日本航空のような大幅な人員削減計画はないことなどを説明しており、当面の影響は最小限に抑えられた形になっていると説明している。
しかしながら、企業再生支援機構の今後の動向によっては、このような懸念が現実のものとなる可能性が高く、県民は沖縄の将来にかかわる重大な事態として受けとめ、不安を募らせている。
JTA及びRACが運航する路線は、本県の離島を結ぶ生活路線として不可欠なものであり、また県外から多くの観光客を県内に運ぶ重要な産業路線でもある。
そのため、県及び県内企業は、これまで共同でJTAとRACの前身である南西航空や移行後のJTAとRACに対し出資を行うとともに、人的・物的なさまざまな支援を行い、県民及び観光客の足となる航空路線の維持・確保に努めてきたところであるが、日本航空の支援なしでは安全、安定的な運航ができないことは明らかである。
よって、企業再生支援機構におかれては、県民の意向をお酌み取りいただき、日本航空がJTAの株を売却し経営から撤退しないよう取り計らうとともに、日本航空、JTA及びRACの県外及び県内の航空路線の維持・確保に努められるよう強く要請する。
上記のとおり決議する。
平成22年2月10日/沖縄県議会
株式会社企業再生支援機構/代表取締役社長あて
(2)JTA及びRACの航空路線確保等に関する決議
去る1月19日、日本航空は東京地方裁判所に会社更生法の適用を申請し、更正手続の開始決定を受けた。
今後は、国や官民共同出資の企業再生支援機構が支援に当たり、事業再生計画を策定して再生を目指すことになる。
これに伴い県内では、東京―沖縄間等の路線の廃止や県内業者との燃油など一般の商取引債権の放棄、ホテルを含む子会社事業の再編などのほか、日本航空の連結子会社である日本トランスオーシャン(JTA)と孫会社である琉球エアーコミューター(RAC)の株を売却して連結子会社から外す案や事業の譲渡、路線の廃止・減便、人員の大幅な削減などの影響が懸念されている。
これに対し、JTAでは、同社株式の売却や事業譲渡などは事業再生計画にないこと、日航グループとしての位置づけは変わらないこと、路線の追加削減はないこと、本体である日本航空のような大幅な人員削減計画はないことなどを説明しており、当面の影響は最小限に抑えられた形になっていると説明している。
しかしながら、企業再生支援機構の今後の動向によっては、このような懸念が現実のものとなる可能性が高く、県民は沖縄の将来にかかわる重大な事態として受けとめ、不安を募らせている。
JTA及びRACが運航する路線は、本県の離島を結ぶ生活路線として不可欠なものであり、また県外から多くの観光客を県内に運ぶ重要な産業路線でもある。
そのため、県及び県内企業は、これまで共同でJTAとRACの前身である南西航空や移行後のJTAとRACに対し出資を行うとともに、人的・物的なさまざまな支援を行い、県民及び観光客の足となる航空路線の維持・確保に努めてきたところであるが、日本航空の支援なしでは安全、安定的な運航ができないことは明らかである。
また、JTAの株が日本航空以外に譲渡された場合には、県民の要望等を斟酌しないことも考えられる。
よって、県におかれては、国、企業再生支援機構及び日本航空の今後の動向を注視するとともに、JTA及びRACの株が県外に流出することのないよう県内企業と連携した取り組みを行うよう強く要請する。
上記のとおり決議する。
平成22年2月10日/沖縄県議会
沖縄県知事あて
「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」(案)の中に施策を盛り込むことを求める決議
本県では、これまで3次にわたる沖縄振興開発計画と沖縄振興計画により総合的な施策を推進してきたが、依然として解決されない多くの問題を抱えている。
これまでの振興計画は、県によって素案は策定されたものの、国の主導で制約があり、県民の要望が満たされていないとの批判・反省がある。
これまでの振興計画においては、各面にわたる本土との格差是正や経済の自立発展に向けた取り組みがなされてきたが、依然として本土各県との格差が縮まらず、また本県の振興発展や県民生活に大きな負担となっている米軍基地の整理縮小が進まず、県民所得は全国の約70%、失業率は全国の約2倍と改善されていない現状にある。
このような中、県は、このたび県民全体で描く初めての長期構想として、2030年の「あるべき姿」「ありたい姿」などを盛り込んだ「沖縄21世紀ビジョン(仮称)」(案)を作成した。
同構想は、2030年までの20年間にわたり、本県の将来像となり得る大切な基本構想として位置づけられるべき重要なものであることから、策定に当たっては、多くの県民が参画し県民視点に立った企画立案が求められるものである。
よって、本県議会は、県民全体が参画し共有する基本構想とするため、「沖縄21世紀ビジョン(称)」(案)の中に、特に重要と思われる下記の施策を盛り込むことを強く要請する。
- 沖縄戦や戦後27年間の米軍占領下の時代について、苦難の歴史であったことを含めて明確に記述すること。
- 米軍基地の現状や過重な基地負担の状況等について、正確に記述するとともに、基地のない沖縄を目指すことを明記すること。
- 少子化対策を含む子供を取り巻く社会環境等の諸問題や教育、人材育成について、重要な項目として位置づけ、記述すること。
- 基地返還跡地の有効活用を重要な項目として位置づけ、本県の土地利用のあり方を明確にするとともに、鉄軌道の導入等総合的な交通体系の確立を明記すること。
- 戦後処理の一環である不発弾処理に係る諸課題等については、国の全面的責任で早期解決を図るよう明記すること。
- 尖閣諸島等国境離島、排他的経済水域等沖縄を取り巻く広大な海域について、重要な項目として位置づけ、表現すること。
- 目指すべき5つの将来像のそれぞれの「県民が望む将来の姿」や「基本的課題」を要約し、県民が20年後の沖縄の姿を具体的に思い描けるように工夫すること。
- 新たな沖縄振興計画と構想との関係、整合性等を明確にしておくこと。
- 社会的変化に対応できるようローリングシステムの導入を図り、一定期間経過後、ビジョンの見直し等の検討を図ることができる表現を明記すること。
上記のとおり決議する。
平成22年3月19日/沖縄県議会
沖縄県知事あて
那覇地域職業訓練センターの廃止問題に関する決議
平成20年12月、政府は「雇用・能力開発機構の廃止について」を閣議決定し、これを踏まえて、平成21年12月に「地域職業訓練センターの今後の取り扱いについて」により平成22年度末でもって廃止する旨の一方的な通知を発した。
いうまでもなく、那覇地域職業訓練センターは、技能の検定や職業訓練等を実施するとともに、中小企業の事業主等が雇用労働者に職業教育訓練や研修を行う場として活用されており、他の都道府県のような認定職業訓練施設や事業主等が職業訓練を行うことができる施設が他にない本県においては、必要不可欠な施設である。
特に、本県では新規学卒者や若年者等を中心とした、全国一高い失業率等の問題を抱えていることや、本県の零細な経済界においては近年の世界的な同時不況により大きな影響をこうむっていることもあって、同センターの重要性は高まるばかりである。
また、政府は、閉鎖に当たり、希望する自治体等に対しては建物を譲渡するとしているが、同センターは設立当初から県が独立行政法人雇用・能力開発機構から無償で管理運営委託を受け、沖縄県職業能力開発協会へ有償で再委託を行っており、その再委託費は本県の厳しい財政の中から捻出しているところである。
よって、独立行政法人雇用・能力開発機構におかれては、那覇地域職業訓練センターの廃止の方針を撤回するとともに、今後の同センターの管理運営に必要な経費を負担するよう強く要請する。
上記のとおり決議する。
平成22年3月25日/沖縄県議会
独立行政法人雇用・能力開発機構理事長あて
米軍車両によるひき逃げ事件に関する抗議決議
去る3月16日、名護市辺野古の国道329号で、米軍車両が軽自動車に追突し、そのまま逃走するというひき逃げ事件が発生した。
幸い乗っていた親子3名に大事はなかったが負傷していることや、猛スピードで追突された軽自動車が大破していることから、一歩間違えば生命を奪われる危険性があった重大な事件である。
また、加害車両が追突後救護をしなかったことや、逆にスピードを上げて現場から逃げ去ったこと、容疑者が事故を起こす前に飲酒していたことを認めたことから、県民は、事件の根底に米兵のモラルの低さや、法令遵守の意識の欠如、綱紀の乱れなどがあるとして、憤りを覚えている。
さらに、米軍は当初、日米地位協定に違反して容疑者を逮捕したと公表したが、車両の窃盗容疑のみでの拘束に一方的に変更していること、私服で、しかも飲酒の容疑者がいとも簡単に軍用車両を基地外に持ち出していること、米軍が県警察に理由を示さずに容疑者のアルコール検査を依頼していること、これまで本県議会を初め県内のさまざまな団体は、米軍人・軍属などが引き起こすさまざまな事件・事故に対し、その都度厳重な抗議を行うとともに、綱紀の粛正など必要な改善を行うよう繰り返し求めてきたにもかかわらず一向に改善されていないこと、繰り返される事件は一個人の問題ではなく、軍隊という組織の規律の問題であることから、県民は米軍への不信感を募らせている。
本来、ひき逃げ事件は極めて悪質な事件であり、到底許すことはできない。ましてや、負傷者を放置して逃走した行為は到底看過することはできないもので、しかも同様な事件が相次いでいることを考えると、日米地位協定で規定する「殺人など凶悪事件」に十分該当する事件として日米両政府は真摯に対処すべきである。
よって、本県議会は、県民の生命、人権及び安全を守る立場から、米兵による今回のひき逃げ事件に対し厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに措置されるよう強く要求する。
- 県警察等からの捜査協力に真摯に対応するとともに、容疑者の事情聴取に関し米軍で取り組める具体的な方策を検討して直ちに実施し、事件の真相究明を早急に行うこと。
- 県警察からの犯罪通報及び身柄引き渡し要求に対しては、真摯に対応し起訴前であっても身柄を引き渡すこと。
- 米軍人・軍属等の綱紀粛正を徹底的に行うこと。
- 被害者に対する謝罪と完全な補償を早急に行うこと。
- 起訴前の容疑者の身柄引渡しを初め日米地位協定の抜本的な見直しを早急に行うとともに、基地の整理・縮小を促進すること。
上記のとおり決議する。
平成22年3月25日/沖縄県議会
(あて先)
- 駐日米国大使
- 在日米軍司令官
- 在日米軍沖縄地域調整官
- 在沖米海軍艦隊活動司令官
- 在沖米国総領事
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〒900-8501 沖縄県那覇市泉崎1-2-3
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