感染症研究センター
令和5年4月1日、沖縄県衛生環境研究所内に感染症研究センターが設置されました。
感染症研究センター設置の背景
これまで、衛生環境研究所では県内で発生した感染症の病原体検査や、感染症情報の発信を行ってきました。新型コロナウイルス感染症の流行により、様々な課題が生じたことで、沖縄県ではこれまで以上に感染症への対策強化が必要と考えました。
そこで、感染症の早期探知やリスク評価、予防策等の検討を継続的に担う体制の整備、公衆衛生人材を育成する拠点の確保、沖縄県感染症ネットワーク(仮称)の構築等に取り組むため、新たな組織として衛生環境研究所内に「感染症研究センター」を設置することとなりました。
感染症研究センターの特徴
感染症の詳細を把握するため、これまで別々だった疫学情報分野と検査分野を統合し、相互連携を図っています。また、次世代シーケンサー(NGS)を用いた高度技術による病原体解析を実施しています。
更に、公衆衛生人材の育成のため、国立感染症研究所が令和5年度から一部の協力自治体において研修を展開するFETP(実地疫学専門家養成コース)拠点を、沖縄県と大阪府で本格的に運用を開始しており、「感染症研究センター」ではこの研修制度と連携しています。
今後の展望
沖縄県は国内でも特殊な地理的、地勢的な位置にあり、感染症の流行に対する公衆衛生の研究拠点となるポテンシャルを秘めています。「感染症研究センター」の強化を進め、感染症ネットワーク構築に向けて、国内外との交流を推進し、新たな病原体侵入による影響の分析、効果的な対策及び予防策を検討していきたいと考えています。
また、FETPを修了した疫学専門家による実践的な研修を行い、公衆衛生人材を育成していきます。
県内における感染症対策の推進に向けた今後の取り組みについてご期待下さい。
主な業務
感染症に関する
- 調査研究
- 試験検査
- 情報の収集・整理・活用
- 研修指導等
を行っています。
調査研究
現在実施中の調査研究
沖縄県におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の分子疫学解析(令和4年度~)
感染症法におけるVRE感染症は近年、全国的に増加傾向にあります。
本研究では、県内でのVREの広がり方を遺伝子解析により明らかにします。
沖縄県における麻疹及び風疹疑い症例を対象としたウイルス性発疹症を生じる病原体の探索(令和4年度~)
麻疹・風疹は、臨床所見のみからは、その他の発疹性ウイルスとの鑑別が困難です。
本邦が取り組む麻疹排除の維持や風疹排除に向けた、確実な検査診断の一助とするため、本県における麻疹及び風疹以外の発疹性ウイルスに関する知見を蓄積します。
沖縄県におけるA群溶血性レンサ球菌の系統解析(令和6年度~)
A群溶血性レンサ球菌が引き起こす感染症には、小児に多い咽頭炎と、高い致命率が特徴の劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)がある。
2010年代に英国で流行した病原性の高い系統(M1UK株)の集積が、2023年夏以降国内においても確認されている。
本研究では、STSS株と咽頭炎株の年間を通した系統解析を行い、県内のA群溶血性レンサ球菌をモニタリングしていく。
急性呼吸器疾患の検体中におけるRSVを含む呼吸器系ウイルスに関する研究(令和6年度~、国立感染症研究所との共同研究)
RSウイルス(RSV) は小児肺炎や新生児死亡の主要な原因であり、また近年では高齢者における重症例も目立っており、ワクチン開発が積極的に進められている。
世界保健機関(WHO)は、RSVワクチン開発の促進や予防施策の評価のため、世界インフルエンザ監視・対応システム(GISRS)の枠組みを利用して、RSVのグローバルサーベイランス活動を開始した。本活動においては、国際的な協力が強く求められている。
このサーベイランスは、現在の国内のサーベイランスシステムと異なる点が多いため、国際基準に合わせ、RSVを含めた呼吸器系ウイルスについて、将来的に国内において検査陽性率を算出できるようなシステムを構築することを目的とする。
過去に実施した調査研究
試験検査
食中毒の原因微生物検査
県内で発生した食中毒が疑われる事例について、原因となった微生物(細菌、ウイルス、寄生虫)や原因食品、感染経路を特定するための検査を行っています。
感染症の病原体検査
県内で発生した感染症について、原因となった病原体(細菌、ウイルス、寄生虫)の解析や感染経路を解明するための検査を行っています。
感染症流行予測調査
県民からの協力で提供された血液を検査することにより、ワクチン接種で予防可能な疾病(麻疹、風疹、日本脳炎等)に対する県民の免疫状況を調査し、得られた情報を疾病予防対策に役立てています。
感染症に関する情報の収集・整理・活用
感染症発生動向調査
「沖縄県感染症情報センター」として、県内の医療機関より報告される感染症発生情報や、当所で検出された病原体情報を収集・整理し、保健所等の関係機関へ情報提供するとともにホームページ上で公開しています。
研修指導等
保健所等職員技術研修会
保健所所属臨床検査技師研修会
感染症のはなし
ウイルス
インフルエンザ
- 2019/20シーズンのインフルエンザウイルスの流行について―沖縄県(IASR Vol.41 p194-195: 2020年11月号)(外部リンク)
- 2017/18および2018/19シーズンのインフルエンザウイルスの流行について―沖縄県(IASR Vol.40 p186-188: 2019年11月号)(外部リンク)
新型コロナウイルス
手足口病
日本脳炎
麻しん
- 沖縄県における麻疹アウトブレイク―検査対応と得られた知見(IASR Vol.40 p54-55: 2019年4月号)(外部リンク)
- <速報>フィリピンからのB3型麻疹ウイルスによる輸入症例―沖縄県(IASR 2014年3月31日掲載)(外部リンク)
- 遺伝子型D8麻疹ウイルスの検出―沖縄県(IASR Vol.30 p299-300: 2009年11月号)(外部リンク)
- 2008年の麻疹発生状況―沖縄県(IASR Vol.30 p34-36: 2009年2月号)(外部リンク)
- <速報>2007年に沖縄県で検出された麻疹ウイルスの解析結果(IASR)(外部リンク)
- 2006年の麻疹流行状況-沖縄県(IASR Vol.28 p145-147: 2007年5月号)(外部リンク)
- 沖縄県はしか" 0" プロジェクトの進捗状況(IASR Vol.25 p64-66)(外部リンク)
無菌性髄膜炎
リケッチア
つつが虫病
- これだけは知っておきたい つつが虫病Q&A (PDF 226.6KB)
- 沖縄県におけるつつが虫病患者発生状況(2008~2016年)(IASR Vol.38 p120-121: 2017年6月号)(外部リンク)
- 沖縄県宮古島で初めて確認されたつつが虫病(IASR Vol.30 p17-18: 2009年1月号)(外部リンク)
細菌
Escherichia albertii
セレウス菌
腸管出血性大腸菌
レプトスピラ
- 2021年に沖縄県で発生したヒトのレプトスピラ症(IASR Vol.43 p118-119: 2022年5月号)(外部リンク)
- 沖縄県本島北部の河川で発生したレプトスピラ症集団感染事例(IASR Vol.38 p40-41: 2017年2月号)(外部リンク)
- 2016年に沖縄県で発生したレプトスピラ症(IASR Vol.38 p41-42: 2017年2月号)(外部リンク)
- 沖縄県におけるレプトスピラ症患者の発生状況, 2008~2015(IASR Vol.37 p105-106: 2016年6月号)(外部リンク)
- 2013年に沖縄県西表島で発生したレプトスピラ症(IASR Vol.35 p14-15: 2014年1月号)(外部リンク)
- 沖縄県におけるレプトスピラ症患者の発生状況、1988~2007年(IASR Vol.29 p10-12: 2008年1月号)(外部リンク)
- レプトスピラ症にご注意ください!
ポスター
リーフレット(両面印刷し、観音折りで使用してください。)
寄生虫
広東住血線虫
トキソプラズマ
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このページに関するお問い合わせ
沖縄県 保健医療介護部 衛生環境研究所
〒904-2241 沖縄県うるま市兼箇段17-1
電話:098-987-8211 ファクス:098-987-8210
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