沖縄県結果報告書の概要
調査結果の概要
T 海面漁業 U 内水面漁業 漁業センサスについて
T 海面漁業
「T」海面漁業の生産構造
1 漁業経営体
(1)総経営体数・漁業層別経営体数
平成10年の漁業経営体数は3,604経営体で、平成5年(前回センサス)の3,745経営体に比べ141経営体(3.8%)減少した。
昭和58年の4,492経営体をピークにそれ以後は減少しているが、前回(△11.6%)、前々回(△5.7%)に比べ減少率は小幅にとどまった。
漁業層別にみると、大規模漁業層は昭和48年で9経営体、昭和53年で2経営体その後のセンサスで皆無となったほか、中小漁業層・沿岸漁業層(海面養殖層を除く)の各層とも減少傾向にある。一方、海面養殖層は昭和48年の4経営体から平成5年の443経営体へと大幅に増加したのち、平成10年は443経営体で同数となった。
(2)経営組織別経営体数
漁業経営体を経営組織別にみると、総数3,604経営体のうち、個人経営体が3,542経営体(構成比98.28%)、会社経営体が23経営体(同0.64%)、漁業協同組合が9経営体(同0.25%)、共同経営体が27経営体(同0.75%)、官公庁・学校・試験場が3経営体(同0.08%)となっており、個人経営体が大部分を占めている。
平成5年に比べ、会社が1経営体、漁業協同組合が4経営体、共同経営が10経営体、官公庁・学校・試験場が1経営体それぞれ増加したが、個人が157経営体減少したため、全体として141経営体(3.8%)減少した。
第1表 経営組織別経営体数
区 分 | 総 数 | 個 人 | 会 社 | 漁業共同組合 | 共同経営 | 官公庁学校 試験場 |
平成10年 (構成比%) | 3,604 (100.0) | 3,542 (98.28) | 23 (0.64) | 9 (0.25) | 27 (0.75) | 3 (0.08) |
平成5年 (構成比%) | 3,745 (100.0) | 3,699 (98.77) | 22 (0.59) | 5 (0.13) | 17 (0.46) | 2 (0.05) |
対前回増減数 | △ 141 | △ 157 | 1 | 4 | 10 | 1 |
対前回増減率(%) | △ 3.8 | △ 4.2 | 4.5 | 80.0 | 58.8 | 50.0 |
(3)経営体階層別経営体数
漁業経営体を、使用した漁船の規模や主として営んだ漁業種類等の階層別にみたのが図2である。
調査期日前1年間の漁船使用状況でみると、漁船非使用の経営体は217経営体、無動力船のみ使用の経営体は29経営体、動力船使用の経営体は2,823経営体で、平成5年に比べ、それぞれ30経営体(12.1%)、16経営体(35.6%)、88経営体(3.0%)減少した。
なお、動力船使用規模別にみると、1〜3トン未満が1,128経営体と最も多く、次いで1トン未満が883経営体、3〜5トン未満が541経営体、5トン以上が271経営体となっている。
定置網の経営体は92経営体で、その内訳は、大型定置網の経営体が10経営体、小型定置網の経営体が82経営体で、平成5年に比べ大型定置網が4経営体(28.6%)、小型定置網が2経営体(2.4%)それぞれ減少した。
海面養殖の経営体は443経営体で、平成5年と比べ変動はない。
海面養殖を養殖種類別にみると、まだい養殖33経営体(構成比7.4%)、その他の魚類養殖8経営体(同1.8%)、のり類養殖32経営体(同7.2%)、真珠養殖2経営体(同0.5%)、真珠母貝養殖1経営体(同0.2%)、その他の養殖367経営体(同82.8%)となっている。
平成5年に比べ、まだい養殖、その他の魚類養殖、のり類養殖の経営体が増加した反面、くるまえび、もずく等を含むその他の養殖が減少した。
(4)主とする漁業種類別経営体数
主とする漁業種類別にみると、経営体数の最も多いものは、その他の釣の1,168経営体(構成比32.4%)で、次いでその他の漁業695経営体(同19.3%)、いか釣383経営体(同10.6%)、その他の養殖367経営体(同10.2%)、その他の刺網325経営体(同9.0%)の順となっており、この5業態で全経営体の81.5%を占めている。
いか釣が増加している一方、その他の刺網、その他のはえ縄、遠洋・近海かつお一本釣、小型定置網、その他の漁業が減少している。
(5)漁獲金額別経営体数
漁獲金額別に経営体をみると、200〜500万円が最も多く873経営体(構成比24.2%)、次いで100〜200万円が781経営体(同21.7%)、50〜100万円が683経営体(19.0%)の順となっており、この3業態で全経営体の64.9%を占めている。500万円以上が511経営体(同14.2%)ある一方、30万円未満の経営体が510経営体(同14.2%)あった。
平成5年と比べ、30万円未満、1000〜2000万円、2000〜5000万円で経営体数が増加した他はすべての階層で減少した。
(6)1経営体平均漁獲金額
1経営体平均の漁獲金額は、昭和58年に一度減少したが総体的に右肩上がりに増加しており、特に昭和53年(68.2%)と平成5年(47.5%)の増加が顕著である。
1経営体平均の漁獲金額を漁業層別にみると、海面養殖層で増加傾向にある反面中小漁業層が激減した。
2 漁船
(1)漁船総隻数
海面漁業経営体が過去1年間に使用し、調査日現在保有している漁船の総隻数は3,668隻で、昭和58年の4,317隻をピークにそれ以後減少した。平成5年に比べ総隻数で108隻(2.9%)減少したが、最も減少率の著しいものは無動力船で23隻(27.7%)減少、次いで動力船が228隻(7.7%)減少した。
一方、船外機付船は143隻(20.0%)増加し、その結果漁船の種類別構成割合は、無動力船60隻1.6%、船外機付船857隻23.4%、動力船2,751隻75.0%となった。
(2)トン数規模別動力船隻数
動力船についてトン数規模別にみると、1〜3トンが1,466隻(構成比53.3%)と最も多く、次いで3〜5トンが599隻(同21.8%)、1トン未満が433隻(同15.7%)となっている。平成5年に比べ3トン未満及び20トン規模以上で減少傾向にあり、3〜20トン規模で増加した。
第2表 トン数規模別動力船隻数
トン数規模 | 計 | 1トン未満 | 1〜3 | 3〜5 | 5〜10 | 10〜20 | 20〜30 | 30〜50 | 50〜100 | 100〜200 | 200〜500 | 500〜1,000 | 1,000〜3,000 | 3,000以上 |
平成10年 | 2,751 | 433 | 1,466 | 599 | 154 | 95 | - | 1 | - | 1 | 2 | - | - | - |
平成5年 | 2,979 | 642 | 1,687 | 147 | 85 | 82 | 2 | 2 | 9 | - | 3 | - | - | - |
増減率 | △ 7.7 | △ 32.6 | △ 13.1 | 28.3 | 81.2 | 15.9 | 皆減 | △ 50.0 | 皆減 | 皆増 | △ 33.3 | - | - | - |
3 個人経営体
(1)専兼業別個人経営体数
漁業経営体のうち、個人経営体数は3,542経営体で平成5年に比べ157経営体(4.2%)減少した。
個人経営体を専業兼業別にみると3,542経営体のうち、専業が1,095経営体(構成比30.9%)、兼業が2,447経営体(同69.1%)となっている。平成5年に比べ、専業が182経営体(19.9%)の増加、兼業が339経営体(12.2%)の減少となっており、専業率は昭和63年に1度減少した他は増加傾向にある。
兼業の内訳は、第1種兼業が1,158経営体、第2種兼業が1,289経営体で、第2種兼業の割合が高く、この傾向は昭和48年以降変わらない。
(2) 後継者の有無別個人経営体数
個人経営体のうち、自営漁業の後継者のいる経営体は197経営体で、全個人経営体に占める割合は5.6%となり、平成5年の7.6%よりさらに減少した。
4 漁業従事者世帯
(1) 専兼業別漁業従事者世帯数
漁業従事者世帯数は昭和48年以降減少してきたが、平成10年は738世帯で平成5年の729世帯に比べ9世帯(1.2%)の増加となった。
専・兼業別構成比の推移をみると、昭和48年以降「漁業雇われのみ」は増加、「漁業雇われが主」「漁業雇われが従」は一時的に増加がみられるものの全般に減少傾向にあり、構成比はそれぞれ42.0%、40.1%、17.9%となった。
(2) 主とする漁業種類別漁業従事者世帯数
主として従事した漁業種類別にみると、738世帯中遠洋・近海まぐろはえ縄が120世帯(16.3%)と最も多く、次いで沿岸まぐろはえ縄116世帯(15.7%)、遠洋・近海かつお一本釣90世帯(12.2%)、その他の漁業84世帯(11.4%)、その他の養殖84世帯(11.4%)となっており、この5業態で全漁業従事者世帯の66.9%を占めている。
「U」海面漁業の就業構造
1 漁業就業者
(1)沿岸、沖合・遠洋漁業就業者数
漁業就業者数は4,719人で、平成5年に比べ292人(5.8%)減少した。
漁業就業者を従事した漁業種類と乗り組んだ漁船のトン数によって沿岸、沖合・遠洋に区分してみると、沿岸漁業就業者数は4,265人(構成比90.4%)で、平成5年に比べ285人(6.3%)減少した。また、沖合・遠洋漁業就業者は454人(同9.6%)で平成5年に比べ7人(1.5%)減少した。全国の沖合・遠洋漁業就業者は減船等による漁業離職者が多く21.7%減少したのに比べ本県の減少率は小幅にとどまった。
第3表 沿岸、沖合・遠洋漁業別就業者
| 計 | 沿 岸 | 沖合・遠洋 |
平成10年 (構成比%) | 4,719 (100.0) | 4,265 (90.4) | 454 (9.6) |
平成5年 (構成比%) | 5,011 (100.0) | 4,550 (90.8) | 461 (9.2) |
対前回増減数 | △ 292 | △ 285 | △ 7 |
対前回増減率(%) | △ 5.8 | △ 6.3 | △ 1.5 |
(2)性別・男子年齢別漁業就業者数
漁業就業者4,719人を男女別に見ると、男子は4,565人(構成比96.7%)、女子は154人(同3.3%)で、平成5年に比べ男子は193人(4.1%)減少し女子は99人(39.1%)減少した。全国の女子の構成比16.8%に比べ本県の女子の漁業就業者は少ない。
男子年齢階層別にみると、60〜69歳が1,281人(構成比28.1%)と最も多く、次いで40〜49歳が1,076人(同23.6%)、50〜59歳が898人(同19.7%)、70歳以上が618人(同13.5%)となっており、60歳以上で全漁業就業者の41.6%を占めている。平成5年に比べ40〜49歳、60歳以上で増加した他は各年齢層で減少した。
(3)性別年齢別新規漁業就業者数
新規漁業就業者143人を男女別にみると、男子は122人(構成比85.3%)女子は21人(同14.7%)である。
男子を年齢階層別にみると20〜29歳が32人(構成比26.2%)と最も多く、次いで50〜59歳が26人(同21.3%)、40〜49歳が23人(同18.9%)で、60歳以上も17人(同13.9%)いた。
U 内水面漁業
「T」内水面養殖業経営体数
内水面養殖業経営体数は、うなぎ養殖経営体が平成5年に比べ、4経営体減少し全体で9経営体となった。
養殖の種類別にみると、うなぎ養殖が2経営体で、他の養殖経営体は平成5年と同数である。
第1表 内水面養殖種類別経営体数
区 分 | 計 | 食 用 | 観賞用 |
計 | テイラピア | こい | うなぎ | スッポン | その他 | 計 | 錦ごい |
平成10年 | 9 | 8 | 1 | 1 | 2 | 3 | 1 | 1 | 1 |
平成5年 | 13 | 12 | 1 | 1 | 6 | 3 | 1 | 1 | 1 |
対 差 | △ 4 | △ 4 | 0 | 0 | △ 4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
対比(%) | 69.2 | 66.7 | 100.0 | 100.0 | 33.3 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
「U」経営組織別経営体数
経営組織別でみると、会社で4経営体減少し、個人は平成5年と同数である。
第2表 経営組織別経営体数
区 分 | 総 数 | 個 人 | 会 社 | 共同経営 |
平成10年 | 9 | 4 | 5 | - |
平成5年 | 13 | 4 | 9 | - |
構成比(%) | 100.0 | 44.4 | 55.6 | - |
対 差 | △ 4 | 0 | △ 4 | - |
対比(%) | 69.2 | 100.0 | 55.6 | - |
[V] 家族・雇用者別従事者数
養殖業経営体における従事者は23人で、その内訳は家族7人、雇用者16人となっている。
これは、平成5年に比べ、総数で25人、家族2人、雇用者23人の減少となっており、減少数の9割が雇用者となっている。
第3表 家族・雇用者別従事者数
区 分 | 総 数 | 家 族 | 雇用者 |
平成10年 | 23 | 7 | 16 |
平成5年 | 48 | 9 | 39 |
構成比(%) | 100.0 | 30.4 | 69.6 |
対 差 | △ 25 | △ 2 | △ 23 |
対比(%) | 47.9 | 77.8 | 41.0 |
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