リサイクル実施指針
目次(※5~7.3まではリサイクル実施指針2に掲載)
- はじめに
- 1特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進に関する基本的方向
- 1.1基本理念.
- 1.2特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進に係る関係者の役割
- 1.3特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進に関する基本的方向
- 2発生抑制の方策
- 2.1発生抑制の必要性
- 2.2発生抑制に係る関係者の役割
- 3特定建設資材廃棄物の再資源化等の方策及び目標設定
- 3.1再資源化等率に関する目標の設定等
- 3.2特定建設資材廃棄物の再資源化等の方策
- 4再生建設資材の利用拡大等の方策
- 4.1再生建設資材の利用についての考え方
- 4.2再生建設資材の利用に係る関係者の役割
- 4.3再生建設資材の公共事業での率先利用
- 5特定建設資材の分別解体及び再資源化に関する知識の普及等
- 6特定建設資材の分別解体及び再資源化に関するその他の重要事項
- 6.1特定建設資材の分別解体及び再資源化に要する費用の適正な負担
- 6.2各種情報の提供等
- 6.3有害物質等の発生の抑制等
- 6.4県と国等、市町村との連携協力
- 7特定建設資材の分別解体及び再資源化の適正な実施の確保等に関する事項
- 7.1特定建設資材の分別解体及び再資源化の適正な実施の確保
- 7.2離島における特定建設資材の分別解体及び再資源化の確保
- 7.3指針の見直し等
はじめに
沖縄県は、平成12年5月31日に公布され、平成14年5月30日から完全施行となる、『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律』(平成12年法律第104号)(以下「建設リサイクル法」という。)の第3条に基づき、国が定める、『特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する基本方針』(平成13年1月17日告示、以下「基本方針」という。)に即し、建設リサイクル法第4条により、『沖縄県における特定建設資材の分別解体及び再資源化の実施に関する指針』(以下「本指針」という。)を定めるものである。
基本方針の「特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等」は、以下「特定建設資材の分別解体及び再資源化」という。沖縄県では、昭和47年5月の本土復帰以来、各地で住宅・社会資本が整備拡充されてきたが、30年を経過した今日では、多くの建造物の更新等に伴う建設資材廃棄物の増大により、産業廃棄物最終処分場が逼迫しつつあるほか、不法投棄の横行や野外焼却等、建設資材廃棄物をめぐる問題が表面化している。
このような状況を踏まえて、沖縄県(以下「県」という。)は、県内における建設資材廃棄物処理の実態を把握するため、平成12年度に県と市町村の建設関係行政部署及び廃棄物処理業等の関係者に対してアンケートやヒアリングを実施し、その成果を、建設資材廃棄物の動向や処理施設の稼動状況等に関する「建設リサイクル関連基礎調査」(以下「基礎調査」という。)としてとりまとめた。
調査の結果として、排出事業者における建設資材廃棄物の分別意識の不足、中間処理施設の偏在(コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊の破砕施設は沖縄本島中・南部と宮古島に集中し、再生アスファルトプラントが宮古、八重山地域にない)、建設発生木材の破砕施設以外の再資源化施設と焼却施設の極度の不足、さらに宮古、八重山地域での管理型最終処分場の確保等、島嶼県の地理的社会経済事情を背景とする、廃棄物処理施設の偏在や不足等の解消が本県の課題となっている。本指針は、沖縄県知事が、対象建設工事に係る特定建設資材の分別解体及び再資源化の適正な実施を確保するための措置(助言・勧告、命令、条例の制定等)に関して勘案材料を提供するものであり、また一方、建設工事に係る関係者が、県の目標とする平成22年度における特定建設資材の再資源化等率95%の達成を図るための、必要な事項を定めるものである。
1特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進に関する基本的方向
1.1基本理念
(1)特定建設資材の分別解体及び再資源化の基本的な理念
県内の住宅・社会資本の整備及び更新等を円滑に実施するためには、建設工事に係る資材の有効利用と廃棄物の適正処理を図ると同時に、本県の豊かな自然環境を保全し持続的発展を図るゼロエミッションアイランドの実現を目指した、環境負荷の小さい資源循環型社会経済システムを構築する。このため県は、建設業の産業特性と建設工事の実態さらに島嶼性を踏まえつつ、建設廃棄物の発生抑制、建設資材の再使用及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進の観点に立ち、
- 建設資材の開発・製造
- 建築物等の設計
- 建設資材の選択
- 建設工事の施工
- 建設資材廃棄物の廃棄
等の各段階における必要な措置を、関係者の適切な役割分担の下で一体的に講ずるものとする。
(2)建設資材に係る資源循環等の考え方
建設資材に係る資源循環等の考え方については、『循環型社会形成推進基本法』を基本的枠組みとして、建設資材廃棄物の処理については、『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』(以下「廃棄物処理法」という。)、建設資材のリサイクルについては、『資源の有効な利用の促進に関する法律』(以下「資源有効利用促進法」という。)及び、特定建設資材については建設リサイクル法に基づくこととする。
建設資材の処理手順は、これらの法律に従い以下のことに努めるものとする。
- 建設資材廃棄物の発生抑制
- 建設工事に使用された建設資材の再使用
- 残存する建設資材廃棄物についての再生利用
- 技術的困難性や環境及び地域的制約等の観点から、やむを得ず焼却した場合における焼却熱の熱回収利用
- 廃棄物処理法に基づく適正な最終処分(但し、上記のいずれかの措置も適わない場合に限る。
資源循環等の考え方
- 発生抑制
- 再使用
- 再生利用(マテリアル・リサイクル)
- 熱回収利用(サーマル・リサイクル)
- 最終処分
1.2特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進に係る関係者の役割
関係者は、特定建設資材の分別解体及び再資源化を促進するため、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ、積極的に取り組む必要がある。
ア:建設資材の製造者
建設資材の製造に携わる者(以下「建設資材の製造者」という。)は、建設資材廃棄物の発生抑制並びに建設資材の分別解体及び再資源化の実施が容易になるように、以下のことに努める必要がある。
- 端材の発生が抑制される建設資材の開発及び製造
- 建設資材として使用される際の材質、品質等の表示
- 建設資材の分別解体及び再資源化が困難となる有害物質等を含まない素材の使用
イ:建築物等の設計者
建築物等の設計に携わる者(以下「建築物等の設計者」という。)は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに建設資材の分別解体及び再資源化の実施が効果的に行われるように、以下のことに努める必要がある。
- 端材の発生抑制、建設資材の分別解体等の実施が容易となる設計及びこれに要する費用の低減
- 建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となる建設資材の選択の工夫と、これに要する費用の低減(なお、分別解体及び再資源化が困難となる有害物質等を含む建設資材を選択しないようにする。)
ウ:発注者
対象建設工事の発注者(以下「発注者」という。)は、沖縄県知事(又は特定行政庁)に
- 工事の事前届出を行い、さらに工事請負契約書には
- 解体工事及び再資源化等に要する費用
- 分別解体等の方法
- 再資源化等をする施設の名称と所在地をそれぞれ明記しなければならない。
また、元請業者に対して、建設資材廃棄物の発生抑制並びに特定建設資材の分別解体及び再資源化の実施について、明確な指示を行うよう努める必要がある。
エ:自主施工者
対象建設工事を自ら施工する者(以下「自主施工者」という。)は、対象建設工事の事前届出及び特定建設資材の分別解体等を実施しなければならない。
オ:元請業者(受注者)
対象建設工事の受注者である元請業者(以下「受注者」という。)は、建設資材廃棄物の発生抑制並びに特定建設資材の分別解体及び再資源化に関して中心的な役割を担っていることを認識し、以下のことを実施しなければならない。
- 発注者に対する、工事の事前届出に係る事項の説明
- 工事請負契約書に解体工事及び再資源化等に要する費用、分別解体の方法及び再資源化等をする施設の名称と所在地の明記
- 特定建設資材の分別解体及び再資源化完了時における発注者への書面による報告及び保存
- 下請負人に対する、工事の事前届出に係る事項の告知及び再資源化等の実施についての明確な指示
カ:建設工事の施工者
建設工事を施工する者(以下「建設工事の施工者」という。)は、建設資材廃棄物の発生抑制並びに特定建設資材の分別解体及び再資源化を確実に実施するため、以下のことに努める必要がある。
- 施工方法の工夫
- 適切な建設資材の選択
- 施工技術の開発
キ:建設資材廃棄物の処理者
建設工事において発生する建設資材廃棄物について、自らその処理を行う事業者及びその排出事業者から委託を受けてその処理を行う者(以下「建設資材廃棄物の処理者」という。)は、マニフェスト制度に基づき建設資材廃棄物の処理を適正に実施しなければならない。
ク:国等
国の機関又は地方公共団体は、建設リサイクル法第11条に定める対象建設工事の通知の義務を適切に実施する必要がある。
ケ:県
県は、『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令』(以下「政令」という。)第8条の規定により、「分別解体等に関する事務の処理」を行う特定行政庁と連携を図りつつ、
- 特定建設資材の分別解体等に関する事務
- 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する事務
- 解体工事業の登録等に関する事務を行うこととする。
また、国の施策と相まって、建設資材廃棄物の発生抑制並びに特定建設資材の分別解体及び再資源化を促進するために必要な調査、研究開発、情報提供及び普及啓発等、必要な措置を講ずるよう努めることとする。
なお、県は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、平成8年度に土木建築部が設置した「土木建築部建設副産物対策連絡会議」(以下「連絡会議」という。)を中心として、「土木建築部建設リサイクルガイドライン」(平成10年度)(以下「ガイドライン」という。)に基づき、建設資材廃棄物の発生抑制並びに特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進を図るため、関係部局も含めた仕組みを講ずることとする。
コ:市町村
市町村は、国及び県の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。なお、市町村は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、平成10年度から実施している「各市町村建設副産物対策連絡会議」(以下「市町村連絡会議」という。)を中心として、「各市町村建設リサイクルガイドライン」(以下「市町村ガイドライン」という。)に基づき、建設資材廃棄物の発生抑制並びに特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進を図るものとする。また、特定行政庁は建設リサイクル法に基づく特定建設資材の分別解体等に関する事務を適切に処理する必要がある。
1.3特定建設資材の分別解体及び再資源化の促進に関する基本的方向
(1)特定建設資材の分別解体等の促進についての基本的方向
建築物等の解体工事にあたり、特定建設資材の分別解体等は一定の技術基準に従って適切に実施し、さらに特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することが再資源化等を促進する上で最も重要である。分別解体等の技術は、その対象となる建築物の種類や構造等により異なる場合があり、建設工事に従事する者の技能、施工技術及び建設機械の現状を踏まえ、建築物等の状況に応じた適切な施工方法により分別解体等が行われる必要がある。また、解体工事を施工する者は最新の知識の修得及び技術力の向上を図る必要があり、このような技術を有する者に関する情報提供、適切な施工の監視及び監督等を行う必要がある。
(2)特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進についての基本的方向
建設資材廃棄物に係る現状及び課題を踏まえると、対象建設工事のみならず対象建設工事以外の建設工事に伴って発生した特定建設資材廃棄物についても、工事現場の状況等を勘案しつつ、工事現場において特定建設資材の分別解体等を行い、これに伴って発生した特定建設資材廃棄物の再資源化等を実施する必要がある。また、分別解体等が困難であるため混合された状態で排出された建設資材廃棄物については、できる限り特定建設資材廃棄物を選別できる処理施設に搬出し、再資源化等を促進することが望ましい。なお、再資源化等を促進するためには、技術開発、関係者間の連携及び必要な施設整備等を推進することにより、特定建設資材の分別解体及び再資源化に要する費用を低減することが重要である。また、受注者はマニフェスト制度を遵守し、再資源化が完了したことを確認する必要がある。
(3)県における建設工事及び特定建設資材廃棄物をとりまく状況
1)地理的特性
本県は、九州の南から台湾の間に連なる南西諸島の中の、東西1,000km、南北400kmの広大な海域を有する琉球諸島に属し、大小160の島々(0.01平方km以上)から成り立っている島嶼県である。また、琉球諸島は、沖縄諸島、先島諸島、尖閣諸島及び大東諸島から構成され、そのうち有人島は48島(架橋等により連結された島を含む)である。最も大きな島は、沖縄本島で、次に西表島、石垣島、宮古島の順となっており、この4島で県土総面積2,269平方kmの約8割を占めている。さらに、県土総面積は国土総面積377,864平方kmの約0.6%で、47都道府県中44番目であるが、人口約130万人のうち、沖縄本島中・南部にその約8割が集中している。人口は、年々漸増する活力を有する一方で、人口密度の島嶼間格差が著しい社会状況となっている。地形の特性としては、山地は、高い山として石垣島の於茂登岳の526mや沖縄本島北部の与那覇岳の503mしかなく、沖積平野も発達していないため、丘陵地や台地・段丘が県土の大部分を占めている。河川は、大小合わせて300余あるが、島嶼面積が小さく地形の特性から河川延長が短くなっている。大東諸島を除くほとんどの島の周囲には、サンゴ礁のリーフが発達している。
2)建設工事をめぐる状況
ア建設業及び解体工事業の状況
県内の建設業者は、平成12年度末までに建設業法に基づく建設業の許可を受けた者が5,541社となっており、そのうち、解体工事業を営むことのできる業種の許可を有している者は、土木工事業が3,413社、建築工事業が2,319社、とび・土工工事業が3,560社となっている。また、建設リサイクル法に基づく解体工事業の登録を受けた業者数は、平成14年3月末で16社となっている。
イ建設工事の実施状況
県内の建設工事は、景気停滞の影響などにより減少傾向にある。建築工事の棟数は、平成12年度の市町村税概況(沖縄県企画開発部市町村課)によると、新築建築物の棟数が約6千5百棟、除却件数が約7千棟となっている。また、土木工事の件数は、平成12年度の公共工事着工統計及び民間土木工事着工統計によると、公共工事と民間工事を合わせて、約3千件となっている。
3)特定建設資材廃棄物の発生の現状と今後の見込み
県内の特定建設資材廃棄物の発生量は、平成12年度に国が実施した「建設副産物実態調査」(以下「センサス」という。)の結果によると、コンクリート塊が約51万トン、建設発生木材が約4万トン、アスファルト・コンクリート塊が約26万トンとなっている。また再資源化等率は、コンクリート塊及びアスファルト・コンクリート塊については約95%になっているが、建設発生木材は約58%である。なお、平成12年度に県が行った基礎調査の結果により、公共事業から発生する特定建設資材廃棄物の大きな部分を占めるアスファルト・コンクリート塊の量は、将来もほぼ横這いで推移するものと考えられ、再資源化を推進する仕組みを定着させる必要がある。これに対して、建築物解体工事からの発生比率が高いコンクリート塊及び建設発生木材については、昭和47年から始まった沖縄振興開発計画を契機として建築された多くの建築物が、今後、更新期をむかえることから、これらの発生量は継続的に漸増していくものと考えられ、全県的に再資源化等を推進する必要がある。
4)特定建設資材廃棄物の処理施設及び最終処分場等の状況
「基礎調査」(沖縄県土木建築部)の結果より、県内の平成12年度における廃棄物処理法第15条の許可を受けた産業廃棄物処理施設のうち、特定建設資材廃棄物の処理施設の立地状況をみると、コンクリート塊及びアスファルト・コンクリート塊の破砕処理を行う施設は沖縄本島に24施設、宮古地域に11施設、八重山地域に3施設となっており、建設発生木材の破砕処理を行う施設が沖縄本島に3施設、宮古地域に2施設、八重山地域に2施設と少なく、さらに焼却施設は沖縄本島に1施設のみとなっている。
また、安定型最終処分場は、沖縄本島に12施設、宮古島に2施設、八重山地域に2施設、管理型最終処分場は、沖縄本島に4施設が立地しているが、新たな最終処分場の確保は極めて困難になっており、既存の最終処分場の延命化に頼っている状況である。さらに、産業廃棄物最終処分場の島ごとの分布状況をみると、沖縄本島、宮古島、石垣島及び西表島に所在しその他の離島には、皆無である。
(4)対象建設工事の規模及び再資源化等の距離の基準
1)対象建設工事の規模に関する基準
県における対象建設工事の規模に関する基準は、政令第2条で定める規模とする。
工事の種類 |
規模の基準 |
---|---|
建築物に係る解体工事 | 当該建築物の床面積の合計が80平方m以上とする。 |
建築物に係る新築又は増築工事 | 当該建築物の床面積の合計が500平方m以上とする。 |
建築物に係る修繕・模様替工事 | 請負代金の額が1億円以上とする。 |
その他の工作物に関する工事 | 請負代金の額が500万円以上とする。 |
建築物は建築基準法の建築物。
※その他の工作物には土木系、建築系工作物を含む。
※請負代金の額は消費税を含む。
なお、県は、政令第2条で定める対象建設工事の規模の基準によっては、特定建設資材廃棄物をその再資源化等により減量することが十分でないと認める区域があるときは、建設リサイクル法第9条第4項に基づく条例を制定する。
2)指定建設資材廃棄物の再資源化施設までの距離に関する基準
県における指定建設資材廃棄物は、政令第4条で定める建設発生木材を対象とし、その再資源化施設までの距離の基準は、建設リサイクル法施行規則第3条で定める50kmとする。ただし、50kmの距離内に再資源化施設が存在しない場合には縮減に代えることができる。また、この距離基準とは別に、地理的条件、交通事情等により経済性の面で制約がある場合にも縮減に代えることができるが、その要件としては、運搬車両が通行する道路が未整備であり、かつ、縮減を行う施設までの運搬費用が再資源化を行う施設までの運搬費用より安い場合とする。
2発生抑制の方策
2.1発生抑制の必要性
建設資材廃棄物は、産業廃棄物に占める割合が高い一方で、減量することが困難なものが多い。このため、限られた資源を有効に活用する観点から、建設工事に使用される建設資材の再使用を図ると同時に、発生抑制を徹底して行うことが特に必要である。
2.2発生抑制に係る関係者の役割
関係者は、建設工事の実施にあたっては、建築物等の建設工事の計画・設計段階から建設資材廃棄物の発生抑制の取組を行うとともに、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ、その効果を高める必要がある。
ア建築物等の所有者
建築物等の所有者は、自ら所有する建築物等について適切な維持管理及び修繕を行い、建築物等の長期的使用に努める必要がある。とりわけ、本県は、台風等による塩害の影響を受けやすいことから、コンクリートの劣化や壁面の塗装などを定期的に管理する必要がある。
イ建設資材の製造者
建設資材の製造者は、工場等における建設資材のプレカット等を実施するとともに、その耐久性の向上並びに修繕が可能なものについては、その修繕の実施及びそのための体制の整備に努める必要がある。
ウ建築物等の設計者
建築物等の設計者は、以下のことに努める必要がある。
- 発注者からの建築物等の用途及び構造等に関する要求に対応しつつ、構造躯体等の耐久性の向上や維持管理及び修繕を容易にするなど、その長期的使用に資する設計
- 端材の発生抑制に資する施工方法の採用及び建設資材の選択
エ発注者
発注者は、以下のことに努める必要がある。
- 建築物等の用途及び構造その他の建築物等に要求される性能に応じ、かつ技術的及び経済的に可能な範囲で、長期的使用に配慮した発注
- 建設工事に使用された建設資材の再使用への配慮
オ建設工事の施工者
建設工事の施工者は、以下のことに努める必要がある。
- 端材の発生抑制に資する施工方法の採用及び建設資材の選択
- 端材の発生抑制、建設資材を再使用できる状態にする施工方法の採用及び耐久性の高い建築物等の建築
- 使用済みコンクリート型枠の再使用と、建築物等の長期的使用に資する施工技術の開発及び維持修繕体制の整備
カ県
県は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努めることとする。
キ市町村
市町村は、国及び県の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。特に、沖縄本島、宮古島、石垣島等の周辺離島に所在する町村においては、発生抑制に十分な配慮を行う。
3特定建設資材廃棄物の再資源化等の方策及び目標設定
3.1再資源化等率に関する目標の設定等
ア目標の設定
住宅・社会資本の整備及び更新を円滑に実施するためには、県民が資源循環型社会経済システム構築の担い手として、有用な建設資材廃棄物の再資源化等について積極的に取り組む必要がある。県は、再資源化施設の立地状況が地域によって異なることを勘案しつつ、今後10年を目途に特定建設資材廃棄物の再資源化等を重点的に推進することとし、再資源化施設の整備及び再生建設資材の市場の拡大等とともに、県民が率先して再生建設資材の十分な利用を図り、できるだけ速やかに、かつ着実に廃棄物の減量を実施するための統一目標を定める。
すなわち、平成22年度における特定建設資材廃棄物の再資源化等率の目標を、下表のとおり設定する。
特定建設資材廃棄物 |
平成22年度の再資源化等率 |
---|---|
コンクリート塊 | 95パーセント |
建設発生木材 | 95パーセント |
アスファルト・コンクリート塊 | 95パーセント |
イ特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施状況の把握
県は、センサス等の結果をもって、特定建設資材廃棄物の再資源化等率の概略的状況を把握することとする。
ウ目標の見直し
再資源化等率に関する目標については、センサス等の結果、特定建設資材廃棄物の再資源化施設等の立地状況及び社会経済情勢の変化等を踏まえて、適宜、必要な見直しを行うものとする。
3.2特定建設資材廃棄物の再資源化等の方策
特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するためには、
- 必要な再資源化施設の確保
- 再資源化等を促進するために必要となるコスト削減等に資する技術開発
- 再資源化により得られた再生材の利用促進
(2)具体的方策等
1)コンクリート塊
コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去及び粒度調整等を行うことにより、再生クラッシャーラン、再生コンクリート砂、再生粒度調整砕石及び再生コンクリート用骨材等(以下「再生骨材等」という。)として用途に応じた品質確保を図り、道路、港湾、空港、駐車場及び建築物等の敷地の舗装(以下「道路等の舗装」という。)の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材及びコンクリート用骨材等に利用することを促進する。
また、コンクリート塊の再資源化施設については、新たな施設の確保と併せて既存施設の効率的な稼動を推進するための措置を講ずるよう努める必要がある。なお、再生粒度調整砕石の製造施設については、沖縄本島中・南部地域と宮古島に集中していることから、市場の安定化を図るための必要な措置を講ずる必要がある。さらに、再生コンクリート用骨材の利用拡大のための技術開発等を図っていく必要がある。
2)建設発生木材
建設発生木材については、破砕、選別、混合物除去及びチップ化等を行うことにより、畜舎の敷材及び堆肥等として利用することを促進するとともに、住宅構造用建材、コンクリート型枠、再生木質マルチング材及び熱回収のための燃料等としての利用に関する技術開発や用途開発の動向を踏まえつつ、必要な再資源化施設の確保を図るための措置を講ずるよう努める必要がある。
3)アスファルト・コンクリート塊
アスファルト・コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去及び粒度調整等を行うことにより、再生加熱アスファルト安定処理混合物、表層基層用再生加熱アスファルト混合物として用途に応じた品質確保を図り、道路等の舗装の上層路盤材、基層用材料又は表層用材料に利用することを促進する。また、再生骨材等として、道路等の舗装の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材等に利用することを促進する。とりわけ、アスファルト・コンクリート塊の定常的な排出と、その再生利用が見込まれる宮古島、石垣島においては、再生アスファルトプラント等の再資源化施設の立地促進に努める。さらに、ガラス、ゴム、樹脂等が混入した加熱アスファルト混合物については、その再生利用に関する研究開発等を推進していく必要がある。
4)その他の建設資材廃棄物
プラスチック製品や石膏ボードなどの特定建設資材以外の建設資材についても、それが廃棄物となった場合に再資源化等が可能なものについては、工事現場の状況等を勘案の上できる限り分別解体等を実施し、その再資源化等を実施することが必要である。
また、その再資源化等についての経済性の面における制約が小さくなるよう、
- 分別解体等の実施
- 技術開発の推進
- 収集運搬方法の検討
- 効率的な収集運搬の実施
- 必要な施設の整備
等について関係者による積極的な取組が行われることが必要である。
5)最終処分
再資源化等が困難な建設資材廃棄物を最終処分する場合は、安定型処分品目(廃プラスチック類、金属くず、ゴムくず、ガラスくず及び陶磁器くず、がれき類)については管理型処分品目(安定型処分品目以外)が混入しないように分別した上で安定型最終処分場で処分し、管理型最終処分場で処分する量を減らすよう努める必要がある。なお、管理型最終処分場は、沖縄本島にしかなく埋立容量が逼迫している状況であり、新たに最終処分場を確保することも極めて困難な状況であるので、既存の最終処分場の延命化等を図るとともに、県民の生活環境の保全や県内における適正処理体制を確保する観点から、最終処分場の確保について検討していく必要がある。
4再生建設資材の利用拡大等の方策
4.1再生建設資材の利用についての考え方
建設資材廃棄物の再資源化を促進するためには、発生した建設資材の再使用とともに、再生建設資材を多面的に利用していくことが不可欠であることから、再生建設資材の需要の創出及び拡大に積極的に取り組む必要がある。再生建設資材の利用に当たっては、必要な品質が確保されていること並びに環境に対する安全性及び自然環境の保全に配慮することが重要である。
4.2再生建設資材の利用に係る関係者の役割
関係者は、建設工事の実施にあたっては、建設資材の製造段階から再生建設資材をできる限り利用するよう配慮するとともに、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ、その効果を高める必要がある。
ア建設資材の製造者
建設資材の製造者は、品質及び性能の確保に配慮しつつ、再生建設資材をできる限り多く含む建設資材の開発及び製造に努める必要がある。
イ建築物等の設計者
建築物等の設計者は、再生建設資材をできる限り利用した設計に努め、また、再生建設資材の利用について、発注者の理解を得るよう努める必要がある。
ウ発注者
発注者は、建設工事の発注に当たっては、再生建設資材をできる限り選択するよう努める必要がある。
エ建設工事の施工者
建設工事の施工者は、再生建設資材をできる限り利用するように努め、また、これを利用することについての発注者の理解を得るよう努める必要がある。
オ建設資材廃棄物の処理者
建設資材廃棄物の処理者は、再生建設資材の品質の安定及び安全性の確保に努める必要がある。
カ県
県は、国の施策と相まって、再生建設資材の利用促進のために必要となる調査、研究開発、情報提供及び普及啓発等に努めるほか、再生建設資材の品質を確保するための必要な措置を講ずるとともに、各関係者等に対し再生建設資材の利用を要請することに努めることとする。
キ市町村
市町村は、国及び県の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。
4.3再生建設資材の公共事業での率先利用
県内で施工する公共事業においては、国等による『環境物品等の調達の推進等に関する法律』や『資源有効利用促進法』の趣旨を踏まえ、民間の具体的な取組の先導的役割を担うことが重要であることから、再生建設資材を率先して利用するものとする。県は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、土木建築部が実施する連絡会議を中心として、ガイドライン等に基づき、再生建設資材の利用に努める取り組み等を関係部局で措置する必要がある。
市町村は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、市町村連絡会議を中心として、市町村ガイドラインに基づき再生建設資材の利用に努める必要がある。
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