グローバル平和都市連帯の取組

ページ番号1033502  更新日 2025年3月11日

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グローバル平和都市連帯

 「グローバル平和都市連帯」は、韓国政府が「済州平和の島」を宣言した済州特別自治道において主導的に取り組まれているヨーロッパの平和都市等と連携・協力して構成する都市間ネットワークです。

 2021年に韓国の済州特別自治道、ドイツのオスナブリュック市、フランスのベルダン市の3者が「グローバル平和都市連帯合意」を締結しスタートさせました。沖縄県は2023年に加入し、2024年5月に開催された済州フォーラムでのグローバル平和都市連帯セッションに登壇する等、取り組んでおります。 

 沖縄県では、会員各都市との連携強化の一環として、会員都市の平和行政の取組等を相互にウェブ上で紹介することとしました。今回、オスナブリュック市の概要及び平和行政の取組について紹介いたします。今回の相互紹介で沖縄県の平和行政の取組が多くのオスナブリュックの方々に届くことを期待するとともに、オスナブリュック市の取組についても関心を寄せていただけたらと思います。

「平和都市」オスナブリュック市

概要

 中世初期の西暦780年に設けられた司教区の周辺にオスナブリュック市は生まれました。その古い街に加え11世紀には新たな街が出現しました。幾世紀もの間、二つの都市は、境界となる壁を設け各々に行政運営を行い、1307年に統合されました。現在人口約17万人のオスナブリュック市は、1648年にウェストファリア平和条約が交渉され締結された主要な地の一つとして知られています。

 オスナブリュック市は、今では、豊かな中間層とともに力強い経済、多様な産業を誇っています。この十数年間で、活力ある大学の拠点として発展し、起業の成功促進の場となっています。総合大学や単科大学は、若く革新的な会社を立ち上げる学生たちを積極的に支援しており、オスナブリュック市の魅力を更に高めています。
 

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 オスナブリュック市のマーケットプレイス及び市庁舎 © Angela von Brill

ウェストファリア平和条約

 平和都市オスナブリュックの今日のアイデンティティや取組は、かつての歴史に深く根差しています。17世紀前半、戦争に巻き込まれた中央ヨーロッパは想像しがたい苦しみに見舞われました。1618年に宗教紛争として始まった三十年戦争は、ドイツやヨーロッパ中の神聖ローマ帝国の支配をめぐる争いに発展しました。

 1643年から1648年にかけオスナブリュックと近隣都市のミュンスターにおいて講和会議が行われ、長期にわたる交渉を経て、ついに、ウェストファリア平和条約として知られる待望の平和を成し遂げました。この条約は、ヨーロッパ各国のコミュニティの基礎となり、今日においても国際関係に影響し続ける国際法の原理を確立したのです。

 一方の勝利というよりむしろ、対話と歩み寄りを通して達成されたこの歴史的な平和合意に関して、例年、「オスナブリュック平和の日」である10月25日を中心に数々の祝賀行事が実施されます。圧巻なのは、第四学年の生徒たちの木馬への乗馬です。木馬に乗って市内をパレードし、平和宣言に敬意を表し、市庁舎前で実施される子どもたちの賑やかな平和祭で最高潮に達します。


 

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木馬乗り~市庁舎前で行われる子どもたちの平和祭~ © Friso Gentsch

平和文化

 オスナブリュックは第二次世界大戦後、その歴史的経緯に立ち止まり、姉妹都市提携を通した戦後ヨーロッパの和解促進を目指しました。今日まで60年以上もの間、オスナブリュック市は、世界11都市と姉妹都市や友好関係を維持しています。
1980年代半ば以降、「オスナブリュック平和トーク」は著名な人物の参加が特徴となっており、平和の文化に大きく貢献しています。市と大学が協力し運営されるこのイベントでは、平和の促進と保存に力を入れています。

 オスナブリュックは、世界的に有名な平和主義者の作家エーリヒ・マリア・レマルク氏の生誕の地でもあります。エーリヒ・マリア・レマルク平和センターは、レマルクの文学作品や人間主義的かつ平和主義の理想に沿う形で、彼の遺産を管理しています。常設展示においては彼の生涯を紹介し、戦争及び文化に関する特別展も行っています。また、市及びオスナブリュック大学は、平和や人間らしさ、人々の自由への貢献につながる取組を行うジャーナリスト個人に対し、二年に一度、エーリヒ・マリア・レマルク賞を贈っています。

 

 


 

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エーリヒ・マリア・レマルク1967年 © Erich Maria Remarque Peace Center

記憶の文化

 平和都市のアイデンティティにおいて記憶の文化は不可欠な要素です。この考え方は、単に歴史を回顧することではなく、根本的には、過去から学び現在そして未来に伝えることです。「つまずきの石(スタンブリングブロック)」は、長年、国家社会主義の犠牲者を痛ましく思い起こさせるものとなっています。これらの記念碑は、ユダヤ人、政治的反対派、オスナブリュック精神病棟の患者であるが故にナチスによって殺害された人たちが住んでいた住居の正面に置かれています。

 かつて国家社会主義支持労働者教育施設であった場所にある多数の展示は、第二次世界大戦時に発生した警察による暴力と強制労働を伝えるものです。約2,000名の外国人労働者及び戦争捕虜がオスナブリュックにおいて労働を強いられたのです。

 オスナブリュックは、ユダヤ系の画家、フェリックス・ヌスバウムの生誕の地でもあり、彼は、自らの作品を政治的抵抗に用い、多数の作品でホロコーストの恐怖を表現しました。彼の一連の作品の多くは、抵抗と戦争、そして平和のテーマを探求し続ける特別展を含め、フェリックス・ヌスバウム・ハウスで展示されています。
 

 

 


 

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国家社会主義の犠牲者を後世に伝える、いわゆるストルパーシュタイン「つまずきの石」

© Angela von Brill

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ユダヤ人パスポートを手にするフェリックス・ヌスバウムの自画像 

© Felix-Nussbaum-House Osnabrück

異文化・国際関係

 オスナブリュックには約150の国から50,000人以上の人たちが住んでおり、それぞれに移民の歴史があります。多様な文化や宗教はオスナブリュックの社会を豊かにしています。様々な文化協会と連携して毎年開催する文化の祭典をはじめとした数多くの事業は市における平和共存を支えています。

 また、人種的優越感に基づく政策に反対する例年の国際週間は、人種的優越感に基づく政策及び人種差別に力強い立場をとることを目指しており、全ての個人に敬意を表することを促しています。宗教をテーマにしたラウンドテーブル方式の意見交換は、不可欠な対話の場として役割を果たし、市の様々な宗教コミュニティ間の相互の知識や理解、平和共存を促進しています。

 オスナブリュック市が平和に力を入れるその他の事例としては、モーゲンランド・フェスティバルがあります。様々な紛争が起こっている中東に関し、その音楽や文化を紹介するものです。フェスティバルでは、しばしば敵対する様々な国出身のミュージシャンたちによる音楽を通した交流を促進しており、数々の音楽が調和しています。これは、東洋と西洋における平和理解の促進に大きく貢献しています。
 

 

 


 

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オスナブリュック・タミール協会の子どもダンスグループ © Angela von Brill

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文化の多様性を祝うオスナブリュック © Angela von Brill

貢献に協力する人たち

 オスナブリュックの多様な平和文化は、貢献に協力する多くの人たちによって支えられています。前述の各事業や行事の調整の多くを担当するオスナブリュック市文化部内にある平和文化室もその一つです。さらに、様々な団体、学校、大学、宗教コミュニティや多くの協会、専門家からなる広範な市民社会の取組が極めて重要な役割を果たしています。

 

連絡先
 オスナブリュック市文化部平和文化室(City of Osnabrück, Department of Culture, Office for Peace Culture)
 住所:Marienstr. 5-6, 49074 Osnabrück,
 電話番号:+49 541 323 2287
 friedenskultur@osnabrueck.de,
 www.instagram.com/friedenskulturosnabrueck/ 

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このページに関するお問い合わせ

沖縄県 知事公室 平和・地域外交推進課
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