[ 農 家 調 査 ]



(1)総農家数


 平成11年12月1日現在の沖縄県の総農家数は 27,088戸で、5年前の前回センサスに比べ4,500戸(14.2%)の減少となった。このうち販売農家数は 20,088戸で総農家に占める割合は74.2%、自給的農家は 7,000戸で25.8% となっている。また、前回センサスと比較して販売農家では 16.3%、自給的農家では 7.8%減少した。

表1 総農家数の推移

年 次総農家数販売農家数自給的農家数
総農家数増減数増減率(%)構成比総農家数増減数構成比総農家数増減数構成比
平 1227,088△ 4,500△ 14.2100.020,088△ 16.374.27,000△ 7.825.8
平 731,588△ 6,924△ 18.0100.023,996△ 18.276.07,592△ 17.124.0
平 238,512△ 5,802△ 13.1100.029,351△ 11.976.29,161△ 3.523.8
昭 60(44,314)(△509)(△1.1)
昭 55(44,823)(△3195)(△6.7)
注:1 昭和60年以前の( )内は、旧定義(経営耕地面積が東日本10ha以上、西日本5ha以上又はそれ未満でも、農産物販売金額が一定金額以上)による農家数、増減数及び増減率である。
  2 販売農家、自給的農家の区分は、平成2年のセンサスが始めてである。




(2)経営耕地面積規模別農家数


 販売農家を経営耕地規模別にみると、農家数が減少しているにもかかわらず 4.0ha以上で増加しており、規模の大きい農家が増加する傾向が続いている。しかし 15.0ha以上では減少となった。規模別構成割合でみると、耕地面積 0.3ha〜3.0haの農家は前々回センサス(平成2年)では87.8%、前回は 86.0%、今回は 83.7%と販売農家数に占める割合が徐々に減少している。

表2 経営耕地面積規模別農家数(販売農家)

年 次 例外
規定
0.3〜
1.0
1.0〜
2.0
2.0〜
3.0
3.0〜
4.0
4.0〜
5.0
5.0〜
7.5
7.5〜
10.0
10.0〜
15.0
15.0ha
以上

平 1220,08899610,4094,5601,85587950154217211658
平 723,9961,16113,2025,3112,13593045646415811465
平 229,3511,66217,3386,2362,19184640637713010362


平12/7△ 16.3△ 14.2△ 21.2△ 14.1△ 13.1△ 5.59.916.88.91.8△ 10.8
平7/2△ 18.0△ 30.1△ 23.8△ 14.8△ 2.59.912.323.121.510.74.8


平 12100.05.051.822.79.24.42.52.70.90.60.3
平 7100.04.855.022.18.93.91.91.90.70.50.3
平 2100.05.759.121.27.52.91.41.30.40.40.2




(3)農産物販売金額規模別農家数


 農家を過去1年間の農産物販売金額別にみると、300万円未満の階層ではいずれも減少し、300万円以上の農家数は増加傾向にある。しかし 3,000万円以上では減少している。
 また、販売農家総数に占める構成比をみると、300万円未満の農家は 82.4%を占め、300万円以上の階層は 17.6%となっている。まだまだ 販売金額 300万円未満農家が多いことを示している。

表3 農産物販売金額規模別農家数(販売農家)

年 次 50万円
未満
販売なし50〜
100
100〜
300
300〜
500
500〜
700
700〜
1,000
1,000〜
1,500
1,500〜
3,000
3,000万円
以上

平 1220,0882543,2446,3196,7401,494702457366411101
平 723,9964284,3018,0667,9031,398663480357287113
平 229,3513814,0629,61011,9081,68067146028120197


平12/7△ 16.3△ 40.7△ 24.6△ 21.7△ 14.76.95.9△ 4.82.543.2△ 10.6
平7/2△ 18.212.35.9△ 16.1△ 33.6△ 16.8△ 1.24.327.042.816.5


平 12100.01.316.131.533.67.43.52.31.82.00.5
平 7100.01.817.933.632.95.82.82.01.51.20.5
平 2100.01.313.832.740.65.72.31.61.00.70.3




(4)農産物販売金額1位の部門別農家数


 販売農家を販売金額の最も多い農産物(部門)で区分すると、さとうきび等の工芸農作物を1位とする農家が全体の 63.0%を占め、次いで花き・花木を1位とする農家が 9.4%、露地野菜の農家が6.8%、果樹類の農家が 6.1%であった。肉用牛を1位とする農家は 5.9%であるが前回比 31.0%の増加となっている。

表4 農産物販売金額1位の部門別農家数

区 分 計 稲 作麦 類雑 穀
いも類
豆 類
工 芸
農作物
施 設
園 芸
露 地
野 菜
施 設
野 菜
果樹類花 き
花 木

平 1219,834269217612,488-1,3427961,2141,865
平 723,568321-20015,463-1,5779751,4822,048
平 228,970288-7521,5821,3521,648-1,297-


平12/7△ 15.8△ 16.2-△ 12.0△ 19.2-△ 14.9△ 18.4△ 18.1△ 8.9
平7/2△ 18.611.5-166.7△ 28.4-△ 4.3-14.3-


平 121001.40.00.963.0-6.84.06.19.4
平 71001.4-0.865.6-6.74.16.38.7
平 21001.0-0.374.5-5.7-4.5-
区 分その他
の作物
酪 農肉用牛養豚養鶏その他
の畜産
養 蚕

平 12781151,17621459382
平 747146898268833822
平 21,2201596674681363939


平12/766.0△ 21.231.0△ 20.1△ 28.90.0△ 90.9
平7/2△ 96.1△ 8.234.6△ 42.7△ 39.0△ 2.6△ 43.6


平 120.40.65.91.10.30.20.0
平 70.20.63.81.10.40.20.1
平 24.20.52.31.60.50.10.1




(5)主副業別農家数(販売農家)


 主副業別農家数をみると、主業農家は 7,640戸( 構成比38.0%)、準主業農家は4,528戸( 同22.5%)、副業的農家は 7,920戸( 同39.4%)となっている。65歳未満の農業専従者がいる主業農家は前回比で 21.9%減少、準主業農家では 47.0%減少した。

表5 主副業別農家数(販売農家)

区 分  計   主業農家  準主業農家 副業的農家
65才未満の
農業専従者
がいる
65才未満の
農業専従者
がいる

平 1220,0887,6406,4884,5281,8567,920
平 723,9969,3108,3076,7003,5017,986
平 229,35111,79410,5099,5474,9708,010


平12/7△ 16.3△ 17.9△ 21.9△ 32.4△ 47.0△ 0.8
平7/2△ 18.2△ 21.1△ 21.0△ 29.8△ 29.6△ 0.3


平 12100.038.0-22.5-39.4
平 7100.038.8-27.9-33.3
平 2100.040.2-32.5-27.3




(6)専兼業別農家数


 販売農家を専兼業別にみると、専業農家は 7,939戸で前回と比較すると 593戸(△7.0%)減少した。うち男子生産年齢人口がいる農家は 3,761戸で 939戸(△20.0%)減少し、この結果専業農家の2戸に1戸( 47.4%)は男子生産年齢人口がいない農家となった。
 一方、兼業農家も 12,149戸で 3,315戸(△21.4%)減少した。うち、農業収入を主とする第1種兼業農家は 4,570戸で、732戸(△13.8%)減少し、農業外収入を主とする第2種兼業農家も2,583戸(△25.4%)減少した。

表6 専兼業別農家数(販売農家)

区 分  計   専業農家  兼業農家    
男子生産
年齢人口
がいる
第1種
兼業農家
 第2種
兼業農家
 
世帯主
農業主
世帯主
農業主

平 1220,0887,9393,76112,1494,5703,8487,5792,880
平 723,9968,5324,70015,4645,3024,72710,1623,762
平 229,3519,2555,64420,0966,4015,62913,6954,408


平12/7△ 16.3△ 7.0△ 20.0△ 21.4△ 13.8△ 18.6△ 25.4△ 23.4
平7/2△ 18.2△ 7.8△ 16.7△ 23.0△ 17.2△ 16.0△ 25.8△ 14.7


平 12100.039.5 18.760.522.719.237.714.3
平 7100.035.619.664.422.119.742.315.7
平 2100.031.519.268.521.819.246.715.0




(7)農家人口


 農家人口は総数で 94,427人であるが、その年齢別構成をみると 65歳以上が 29,362人で最も多く、農家人口に占める割合は前回の 25.1% から 31.1% と 6.0ポイント増加した。次いで 30〜49歳が 23.0%、50〜64歳が 20.1%となっている。
 また前回との比較では、全体としては 18.3%減少し、各年代階層で減少となっているが、65歳以上だけは逆に 1.3%増加している。(農家人口:農家の世帯員数)

表7 年齢別農家人口

区 分  計  14才以下15〜2930〜4950〜6465才以上

平 1294,4279,87814,47521,70019,01229,362
平 7115,53114,22018,99326,68126,65528,982
平 2151,53324,51528,42633,12035,82629,646
平 1249,6115,1027,76113,0349,82913,885
平 760,1187,27210,18116,09813,33013,237
平 277,98412,43515,42819,35217,53113,238
平 1244,8164,7766,7148,6669,18315,477
平 755,4136,9488,81210,58313,32515,745
平 273,54912,08012,99813,76818,29516,408


平 12△ 18.3△ 30.5△ 23.8△ 18.7△ 28.71.3
平 7△ 23.8△ 42.0△ 33.2△ 19.4△ 25.6△ 2.2


平 12100.010.515.323.020.131.1
平 7100.012.316.423.123.125.1
平 2100.016.218.821.923.619.6




(8)就業状態別世帯員数(販売農家)


 15歳以上の農家世帯員は 62,538人で、前回と比較すると 14,232人(△18.5%)減少した。これを就業状態別にみると、「自営農業だけに従事した人」と「自営農業が主の人」との合計いわゆる農業就業人口は 34,005人で、前回と比べ15.8%減少した。また、就業人口に占める割合は 54.4%で、前回と比べ 1.8ポイント増加している。

表8 就業状態別世帯員数(販売農家)

区 分  計  自営農業
だけに従事
(A)
自営農業とその他の仕事に従事その他の仕事だけに従事
(D)
仕事に従事しなかった農業就業人口
(A)+(B)
他産業就業人口
(C)+(D)
自営農業が主
(B)
その他の仕事が主
(C)

平 1262,53831,4362,56913,1666,1689,19934,00519,334
平 776,77037,2203,14316,8617,79611,75040,36324,657
平 295,78246,3933,79823,7168,55913,31650,19132,275


平12/7△ 18.5△ 15.5△ 18.3△ 21.9△ 20.9△ 21.7△ 15.8△ 21.6
平7/2△ 19.8△ 19.8△ 17.2△ 28.9△ 8.9△ 11.8△ 19.6△ 23.6


平 12100.050.34.121.19.914.754.430.9
平 7100.048.54.122.010.215.352.632.1
平 2100.048.44.024.88.913.952.433.7
注:平成2年は16歳以上の農家世帯員についての数値である。平成7年から15歳以上の世帯員を調査対象としているので対前回比較は注意すること。




(9)農業後継者の状況(販売農家)


 農業後継者がいる農家は 10,026戸(販売農家に占める割合は 49.9%)で、このうち同居農業後継者が主に農業に従事している農家は 1,700戸(同 8.5%)となっている。

表9 農業後継者の有無別農家数(販売農家)

区 分  計  同居農業後継者がいる同居農業後継者がいない 
小 計男の農業後継者がいる女の農業後継者がいる他出農業後継者がいる
農業が主その他の仕事が主仕事に従事しない農業が主その他の仕事が主仕事に従事しない

平 1220,0886,4771,6364,098457641655713,6113,549


平 12100.032.28.120.42.30.30.80.367.817.7
注:前回センサス(平成7年)までは、「あとつぎ予定者」の調査をおこなっていた。今回センサスから販売農家については「農業後継者」についての調査に改められた。
あとつぎ予定者:満15歳以上の世帯員のうち、次の代でその家の経済的責任者になる予定の者をいう。農業を継ぐ継がないは問わない。
農業後継者:満15歳以上の世帯員のうち、次の代でその家の農業経営を引き継ぐ者をいう。


(10)環境保全型農業への取組(販売農家)


 環境に配慮した農業に取り組んでいる農家数は 3,395戸で、販売農家に占める割合は 16.9%となっている。その取り組み内容をみると、化学肥料の窒素成分や農薬の投入回数を地域の慣行の半分以下としているものが多く、とりわけ堆肥による土づくりを行っている農家は 73.8%となっている。

表10 環境保全型農業への取り組み状況(販売農家)

区 分環境保全型農業に取り組んでいる農家数取組対象主位作目別化学肥料・農薬の使用
 稲 野 菜果 樹その他の作物化学肥料窒素成分農薬の投入回数
使用しない地域の慣行の半分以下地域の慣行の半分より多く慣行未満使用しない地域の慣行の半分以下地域の慣行の半分より多く慣行未満
実数
平成 12
3,395941,0424851,7746252,0087626552,003737
構成比100.02.830.714.352.318.459.122.419.359.021.7
区 分堆肥による土作り
しているしていない
実数
平成 12
2,505890
構成比73.826.2



(11)家畜のふん尿処理への取組


 畜産農家について、家畜ふん尿処理の取組内容をみると、施設を利用せず処理している農家は 3,162戸で、ふん尿処理を行っている農家の 86.7%を占めている。その内容は、耕地還元が70.8%、素堀だめ・野積みが 22.5%となっている。
 また、施設を利用している農家は 622戸で、ふん尿処理を行っている農家の 17.1%となっている。そのうち自家処理施設を使っている農家は 14.6%となっている。

表10 環境保全型農業への取り組み状況(販売農家)

ア 処理施設を利用しない場合
区 分家畜ふん尿処理を行っている農家処理施設を利用しない
(実戸数)
生ふん尿の耕地還元敷料等と交換素堀だめ・野積み
実 数3,6463,1622,58239819
構成比100.086.770.81.122.5

イ 処理施設を利用
区 分家畜ふん尿処理を行っている農家処理施設を利用
(実戸数)
自家処理施設を利用共同処理施設を利用
実 数3,64662253494
構成比100.017.114.62.6
注:複数回答あり