U 施策の展開方向 1 障害のある人もない人も共に支えあう環境づくり(共生社会の構築) (1)権利擁護に関する施策の総合的な推進  障害の有無にかかわらず、県民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことができる共生社会の実現に向けて、障害のある人に対する差別や偏見、権利利益の侵害をなくし、 人としての権利が保障されるよう、特に障害のある女性や障害のある児童に配慮しながら障害のある人の権利擁護を推進します。 @沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例に基づく施策の総合的推進  障害のある人もない人もすべての県民が等しく地域社会の一員としてあらゆる分野に参画できる社会の実現を目指して、障害のある人が安全・安心に暮らすことができるよう、「沖 縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(平成25年沖縄県条例第64号)」に基づき、障害のある人の権利擁護に関する施策を総合的に推進します。  そのため、障害のある人に対する理解の不足、誤解や偏見及び障害を理由とする差別等をなくしていくため、市町村等と連携協力して障害のある人の権利擁護を推進する体制を構築 します。  また、障害のある人の相談に携わる相談員の資質向上を図るため、障害のある人からの相談や障害のある人の権利擁護に関する相談研修を実施するとともに、県行政窓口等における 行政サービス向上のため県職員に対し障害のある人に対する理解を深めるための研修などを行ないます。  さらに、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)」との整合を図りながら、障害を理由とする差別等のものさしを県民に示し、すべての県民が日 常的な権利擁護のルールとして共有し、ともに支えあう社会づくりに取り組みます。 ◆障害を理由とする差別等の禁止などについての県民の関心と理解を高める広報 ◆市町村等と協力した障害のある人の権利擁護に関する相談体制の構築 ◆障害のある人の権利擁護に関する相談研修の実施 ◆行政サービス向上のための県職員に対する研修の実施 ◆障害を理由とした差別等の禁止 ◆窓口等におけるサービス向上のためのテキスト等の提供 A権利擁護システムの強化・推進  障害者の権利侵害に関する問題を処理する第三者機関の設置については、障害当事者の参画を確保します。また、成年後見制度など障害者の自立と社会経済活動における権利を擁護 する制度の利用促進を図ります。  福祉サービスに関する苦情については、事業者の苦情解決体制(苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員の配置)の整備と対応を促進し、事業者段階での解決が困難な場合は、 沖縄県社会福祉協議会の「福祉サービス運営適正化委員会」において解決に努めます。 ◆日常生活自立支援事業の推進体制の強化 ◆成年後見制度の利用促進 ◆障害者110番の充実 ◆福祉サービスに対する苦情解決体制の充実 B第三者評価等によるサービスの向上  個々の障害者のニーズに対応した福祉サービスの質の向上を図るため、第三者評価事業による客観的なサービス評価にもとづき、福祉サービス提供者のサービスの自己評価を進めます。 ◆第三者評価事業による外部評価及び自己評価の継続的な取組の推進 C障害者虐待防止の推進  障害者の尊厳を擁護する社会の実現に向け、障害者に対する虐待防止の推進に努めます。そのため、障害者虐待の予防及び早期発見、虐待を受けた障害者に対する保護並び虐待を受け た障害者や虐待を行った家族等へのカウンセリング、自立の支援等に取り組みます。  また、障害者虐待を行った障害福祉サービス事業所等に対し、障害者虐待が起こらないよう関係機関と連携し、研修等を行います。 ◆障害者虐待に係る通報義務の啓発広報活動 ◆障害者虐待の予防及び早期発見 ◆沖縄県障害者権利擁護センターや市町村障害者虐待防止センターの周知及び活用 ◆虐待を受けた障害者の保護と支援 ◆虐待を受けた障害者や虐待を行った家族等へのカウンセリング ◆自立支援を支援する専門的人材の確保及び資質の向上 ◆障害者虐待の防止に関するネットワーク会議の設置 D権利擁護機関の連携・ネットワークの形成  障害者の権利を擁護するため、学校、警察などの関係機関並びに民間団体等との連携強化、ネットワークの形成を図ります。 ◆障害者の権利擁護に関する関係機関並びに民間団体等との連携強化 E選挙に際しての配慮  選挙公報の発行に当たっては、市町村に対し、点字版や音声版の配布を行ないます。また、障害のある人が円滑に投票できるよう、障害特性に応じた情報提供を行なうとともに、投票 所の施設や設備について、必要な措置を講じるよう努めます。 ◆点字版や音声版の選挙公報の配布 ◆投票所のバリアフリー化の促進 (2)障害や障害者に対する理解を深める広報啓発等の強化  障害者が地域社会の一員として、安心していきいきと生活するには、住民の「心のバリア」が大きな障壁となります。これらを取り除き、障害者と地域住民が共生する社会を実現する ため、障害や障害者に対する理解を深める広報啓発活動や障害者理解を深める教育の実施並びに障害者と住民との交流機会の拡大を図ります。 @広報啓発活動等の推進  障害や障害者に対する理解を深めるため、障害者の活動状況等をテレビやラジオ、新聞などのマスメディアを通して広く県民に周知するとともに、障害者団体及び民間企業やNPOと 連携したイベントを開催するなど、計画的かつ効果的な広報啓発活動を推進します。 さらに、障害者が地域社会において安心していきいきと生活できるように、公共サービス従事者の障害や障害者に対する理解の促進を図ります。 ◆広報啓発活動の充実 ◆障害者週間に関する事業の実施 ◆精神保健福祉普及月間に関する事業の実施 ◆発達障害啓発週間に関する事業の実施 ◆難病、内部障害等に関する啓発を図るための取組 ◆公共サービス従事者の障害や障害者に対する理解の促進 ◆福祉マークなどシンボルマークの普及 A障害や障害者に対する理解を深める教育の推進  障害者に対して差別や偏見等のない社会をつくるため、幼児期から障害や障害者に対する理解を深める教育に努めます。  幼稚園、小中高等学校においても特別支援学校との交流を促し、障害や障害者への理解を深めるための教育を推進します。  おきなわ県政出前講座などにより、沖縄県における障害者施策について、県民の理解を深めるよう取り組みます。 ◆保育園等から学校教育における障害や障害者に対する理解を深める教育の充実 ◆学校における障害者理解促進のための「こころのバリアフリー化」の推進 ◆おきなわ県政出前講座の実施 Bボランティア、NPO、民間企業及び障害者団体等の共通理解と協力体制  障害者と地域住民が共生する社会を実現するためには、住民一人ひとりの「心のバリア」を取り除く必要があります。  ボランティア、NPO、民間企業及び障害者団体等それぞれの特性を活かしたネットワークの形成を図ることにより、住民と障害者との交流、共通理解を促します。  また、障害の種別を超えて障害者同士の相互理解を深めるとともに、障害者が障害者同士を支えあう協力体制の構築に努めます。  こうした地域で活動するボランティアなどの協力体制を確保するために、これら団体の活動支援に努めます。 ◆ボランティア、NPO、民間企業及び障害者団体等のネットワークの形成 ◆ボランティア、NPO、民間企業及び障害者団体等の活動支援 (3)相談支援の充実  障害者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう身近な市町村を中心に相談支援体制の整備を図ります。 @相談支援の充実  市町村など身近な地域における性別、年齢、障害の区分、障害の種類別や程度、ライフステージに応じた障害者に対する適切な支援の入り口として、相談支援体制の充実に努めます。  また、自立支援協議会の活性化や関係機関とのネットワークの強化を図ります。  さらに、相談支援専門員の資質向上を図るとともに、障害当事者やその家族、障害者団体によるピアカウンセリング等の充実、離島における相談支援体制の充実に向けた支援を行います。 ◆障害の区分及び障害の種類別等に応じた相談支援体制の充実 ◆障害保健福祉圏域における相談支援の充実 ◆自立支援協議会の活性化 ◆障害保健福祉圏域における地域ネットワーク構築の促進 ◆相談支援専門員等の養成・確保並びに資質の向上 ◆医療的ケアの必要な障害児(者)への相談員の対応力強化 ◆障害者団体等によるピアカウンセリング等の充実 ◆離島における相談支援体制の充実支援 (4)人間優先の福祉のまちづくり  障害者を含めたすべての人が安心して生活できるように、「沖縄県福祉のまちづくり条例(平成9年沖縄県条例第5号)」に基づき、公共施設、道路・公園、交通機関など公共空間の バリアフリー化を促進するとともに、生活の場となる住宅のバリアフリー化の啓発に努めます。  また、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)」の普及啓発を図るとともに、ユニバーサルデザインを推進し、障害者を含めすべての人が利用しやすい施設の改修並びに新規整備を促進するなど、人に優しい福祉のまちづくりに取り組みます。 @公共空間等の整備  障害者の社会活動を促すため、多くの人が利用する公共施設や民間施設などのバリアフリー化を進めます。また、バリアフリーを伴う施設の改修並びに新規整備に当たっては、障害者 を含めすべての人が利用しやすいユニバーサルデザインの普及に努めます。  さらに、スポーツ・レクリエーション活動及び文化芸術活動などを含め、障害者の様々な社会活動における障害者のニーズに対応した公共空間等の整備並びに適正利用を促進します。 ◆福祉のまちづくりの推進 ◆公共施設や民間施設のバリアフリー化の推進 ◆沖縄県ユニバーサルデザイン推進指針によるユニバーサルデザインの普及 ◆パーキングパーミット制度の導入の検討 ◆多目的トイレ、視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)等の公共空間等の適正利用の促進 ◆観光バリアフリーの推進 A住宅環境の整備  障害者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を送ることができるよう、個々の障害特性に適切に対応した住宅のバリアフリー化を促進するとともに、民間賃貸住宅における入居支 援に努めます。また、公営住宅については、障害者の入居優遇並びにバリアフリー対応の住宅整備に努めます。さらに、障害者の地域移行の促進のため、民間賃貸住宅等の活用も含めた グループホームの整備に努めます。 ◆民間住宅のバリアフリー化の支援 ◆民間賃貸住宅入居支援 ◆沖縄県居住支援協議会の運営 ◆公営住宅のバリアフリー化の推進 ◆公営住宅の入居優遇措置 ◆グループホームの整備促進 B移動、交通手段の整備  障害者の活動範囲を拡げ、社会参加を促すために、自家用自動車改造への助成や障害者が安心して利用できる公共交通機関のバリアフリー化の推進を図るとともに、低床バスの導入及 びコミュニティバスや福祉交通等の移動抵抗の小さい交通手段の導入により、障害者の移動手段の確保に努めます。  また、空港や港湾等のバリアフリー化を進めます。さらに、視覚障害者用信号機等の整備促進や歩道の障害物撤去など住民のマナー向上に努めるとともに、障害者が障害の特性に応じ て安心して安全に歩いて暮らせる環境づくりを推進します。 ◆自家用自動車改造への助成 ◆公共交通のバリアフリー化の推進 ◆低床バスの導入促進 ◆コミュニティバスや福祉交通等の導入支援 ◆空港及び港湾等のバリアフリー化の推進 ◆視覚障害者用信号機等の整備促進 ◆歩行空間等のバリアフリー化の推進 ◆エスコートゾーン・視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の整備促進 (5)防災等対策の推進  障害者が地域で安全・安心に暮らし続けることができるよう、災害の予防、発生時の対応、復旧・復興を含めた総合的な防災対策の推進並びに防犯対策の充実を図ります。 @防災対策の推進  災害時の緊急連絡や避難方法及び支援者の確保など、地域において個々の障害特性に応じた対策を促進します。また障害者の防災意識の向上により災害被害の軽減を促すため、啓発活 動及び避難訓練の実施に努めます。  また、障害特性等に配慮した情報伝達や地域の実情に応じた避難支援が行われるよう避難支援体制の整備に努めます。  さらに、災害時における心のケアに関する支援体制の整備に取り組みます。 ◆防災訓練及び避難訓練の実施 ◆災害時要援護者支援の促進 ◆福祉避難所の整備及び指定の促進 ◆全国瞬時警報システム及び市町村防災行政無線の整備促進 ◆災害時の対応を想定した関係機関等における連携強化 ◆災害時・災害後における心のケアに関する支援体制の整備 A防犯対策の推進  警察への緊急通信体制の強化とともに、防犯に関する相談対応並びに身近な犯罪や事故の発生状況、防犯上のノウハウ等の安全確保に必要な情報提供など、防犯対策の充実を図ります。 ◆防犯に対する相談対応 ◆防犯に関する情報提供 (6)情報のバリアフリー化の推進  障害者の積極的な社会参加並びにエンパワメントを図るため、情報リテラシー(情報活用能力)の向上並びにコミュニケーション支援の強化を図ります。 @情報活用の利便性の向上  ICT(情報通信技術)を活用した情報提供の充実を図るとともに、情報のバリアフリー化の推進に努めます。障害者のニーズに応じた情報内容及び伝達方法の充実を図るとともに、 特に情報の入手が困難な視覚障害者や聴覚障害者に対しては容易に情報を伝えることのできる情報伝達手段の充実に努めます。  また、自治体のホームページ等において、アクセシビリティ指針に基づいた情報のバリアフリーの促進に努めます。 ◆ICT(情報通信技術)を活用した情報提供の充実 ◆視聴覚障害者情報提供施設の充実 ◆点字広報、音声広報等の促進 ◆障害特性に配慮した情報の提供の促進 ◆情報伝達機器の利用の促進 ◆コミュニケーション手段の充実 ◆自治体における情報バリアフリーの促進 ◆店舗、施設等のバリアフリー情報の充実・提供 A意思疎通(コミュニケーション)支援の推進  意思疎通(コミュニケーション)支援を必要とする視聴覚障害者に対する、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修を促進するとともに、これらの派遣体制 の強化を図ります。 ◆手話通訳者の設置促進 ◆手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣促進 ◆盲ろう者向け通訳・介助員の研修への派遣 ◆手話通訳者等の養成研修の促進 ◆手話通訳者等の派遣体制の充実