政府方針(平成11年12月・閣議決定)

ページ番号1019241  更新日 2024年1月11日

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政府においては、沖縄県における米軍施設・区域の負担を軽減するため、「沖縄に関する特別行動委員会」(以下「SACO」という)最終報告の着実な実現に向けて、全力で取り組んできたところである。

SACO最終報告において大きな課題となっている普天間飛行場の移設・返還について、平成11年11月22日、沖縄県知事は移設候補地を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とする旨表明し、更に12月27日、名護市長から同飛行場代替施設に係る受け入れの表明が行われた。

こうした中で、沖縄県及び地元から、住民生活や自然環境への特別の配慮、移設先及び周辺地域の振興、沖縄県北部地域の振興及び駐留軍用地跡地の利用の促進等の要請が寄せられてきたところである。政府としては、こうした経緯及び要請に基づき、本件に係る12月17日の第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえつつ、今後下記の方針に基づき取り組むこととする。

Ⅰ 普天間飛行場代替施設について

普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という)については、軍民共用空港を念頭に整備を図ることとし、米軍とも緊密に協議しつつ、以下の諸点を踏まえて取り組むこととする。

1.基本計画の策定

建設地点を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」とし、今後、代替施設の工法及び具体的建設場所の検討を含めて基本計画の策定を行う。基本計画の策定に当たっては、移設先及び周辺地域(以下「地域」という)の住民生活に著しい影響を与えない施設計画となるよう取り組むものとする。

代替施設の工法及び具体的建設場所については、地域住民の意向を尊重すべく、沖縄県及び地元地方公共団体とよく相談を行い、最善の方法をもって対処することとする。

2.安全・環境対策

(1)基本方針

地域の住民生活及び自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うものとする。

(2)代替施設の機能及び規模

代替施設については、SACO最終報告における普天間飛行場移設に伴う機能及び民間飛行場としての機能の双方の確保を図る中で、安全性や自然環境に配慮した最小限の規模とする。

(3)環境影響評価の実施等

  1. 環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限に止めるための適切な対策を講じる。
  2. 必要に応じて、新たな代替環境の積極的醸成に努めることとし、そのために必要な研究機関等の設置に努める。

(4)代替施設の使用に関する協定の締結

地域の安全対策及び代替施設から発生する諸問題の対策等を講じるため、[1]飛行ルート、[2]飛行時間の設定、[3]騒音対策、 [3]航空機の夜間飛行及び夜間飛行訓練、廃弾処理等、名護市における既存施設・区域の使用に関する対策、[4]その他の環境問題、 [6]代替施設内への地方公共団体の立入りにつき、地方公共団体の意見が反映したものとなるよう、政府は誠意をもって米国政府と協議を行い、政府関係当局と名護市との間で協定を締結し、沖縄県が立ち会うものとする。

(5)協議機関等の設置

代替施設の基本計画の策定に当たっては、政府、沖縄県及び地元地方公共団体の間で協議機関を設置し、協議を行うこととする。

また、航空機騒音や航空機の運用に伴う事故防止等、生活環境や安全性、自然環境への影響等について、専門的な考察による客観的な分析・評価を行えるよう、政府において、適切な体制を確保することとする。

(6)実施体制の確立

代替施設の基本計画に基づく建設及びその後の運用段階においても、適切な協議機関等を設置し、地域の住民生活に著しい影響を及ぼさないよう取り組むこととする。また、協議機関においては、代替施設の使用に関する協定及び環境問題についての定期的なフォローアップを行うこととする。

3.使用期限問題

政府としては、代替施設の使用期限については、国際情勢もあり厳しい問題があるとの任認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。

4.関連事項

(1)米軍施設・区域の整理・統合・縮小への取組

沖縄県における米軍施設・区域の負担を軽減するため、県民の理解と協力を得ながら、SACO最終報告を踏まえ、さらなる米軍施設・区域の計画的、段階的な整理・統合・縮小に向けて取り組む。

(2)日米地位協定の改善

地位協定の運用改善について、誠意をもって取り組み、必要な改善に努める。

(3)名護市内の既存の米軍施設・区域に係る事項

  1. キャンプ・シュワブ内の廃弾処理については、市民生活への影響に配慮し、所要の対策について取り組む。
  2. 辺野古弾薬庫の危険区域の問題について取り組む。
  3. キャンプ・シュワブ内の兵站地区に現存するヘリポートの普天間飛行場代替施設への移設については、米国との話し合いに取り組む。

Ⅱ 地域の振興について

1.普天間飛行場移設先及び周辺地域の振興

代替施設の受け入れに伴い新たな負担を担うこととなる地域の振興については、平成11年12月17日の第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえ、今後、別紙1の方針により、確実な実施を図ることとする。

2.沖縄県北部地域の振興

沖縄県北部地域の振興については、上記第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえ、今後、別紙2の方針により、確実な実施を図ることとする。

3.駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等

沖縄における駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等については、上記第14回沖縄政策協議会の了解を踏まえ、今後、別紙3の方針により、確実な実施を図ることとする。

別紙3

駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針

沖縄県における米軍施設・区域の整理・統合・縮小を着実に推進するなかで、返還跡地の利用の促進及び円滑化は、沖縄の将来発展の視点と共に、駐留軍用地の地主をはじめとする住民生活安定の視点からも課題となってきている。また、米軍施設・区域の整理・統合・縮小に伴って、駐留軍従業員の雇用の安定確保が求められるところである。

こうしたなか、本問題の解決に向け、沖縄県知事から、「駐留軍用地跡地の利用の円滑な推進に関する要望書」が提出され、また、第十三回沖縄政策協議会においても、同じく関連要望がなされたところである。

本問題については、沖縄における米軍施設・区域の成立の経緯等にも留意しつつ、また、沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小の着実な推進を図る観点から、新たな制度的枠組の確保を含む的確な対応が不可欠であるとの認識のもと、下記の方針で対処する。

1.跡地利用促進及び円滑化のための措置

(1)調整機関の設置

国、沖縄県、関係市町村相互の協力のもとで、跡地利用の計画の策定及びその具体化の促進に向けた国、沖縄県及び関係市町村間の総合調整等の機能を果たす調整機関を新たに設置する。

(2)共通措置

調整機関の設置に加え、駐留軍用地跡地全体に共通する跡地利用の促進のための施策として次の措置をとる。

  1. 「調査・測量」の早期実施への対応
    駐留軍用地の返還後の跡地利用事業を早期に立ち上げるため、極力早期に返還合意が得られるよう最大限に努力するとともに、「調査・測量」の実施に関してのあっせんの申請があった場合は、個別の事案に即しつつ、最大限の配慮を払う。
  2. 国有財産の活用」の措置
    駐留軍用地跡地内の国有財産について、沖縄振興開発計画に基づき公共の用に供する施設に関する事業を実施するため必要があると認められるときは、国有財産を関係地方公共団体等に対して、無償または時価より低い価額で譲渡し、又は貸し付けることが出来るよう対処する。
  3. 「返還実施計画に定める事項」の明示
    返還合意後速やかに策定する「返還実施計画」において、国が行う汚染物質の調査及び除去、不発弾の調査及び除去並びに建物その他の工作物の撤去を定めるべく、予め政令上「返還実施計画に定める事項」として明示する。

(3)大規模駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特例措置

必要となる再開発に相当の困難が予想される大規模な駐留軍用地の跡地 (以下、「大規模駐留軍用地跡地」という。)にあっては、上記による努力だけでは対処できないものと考えられることから、再開発事業を迅速かつ的確に推進するため、次の措置を講ずることとする。

  1. 国の取組にかかる方針の策定
    大規模駐留軍用地跡地にあっては、困難の多い再開発事業を迅速かつ的確に推進するうえで国の積極的関与が特に不可欠であるとの認識のもと、新たな根拠法令に基づき、行財政上の措置を含めた国の取組に関する具体的方針を定めることとする。
  2. 事業執行主体にかかる業務の特例等
    迅速かつ的確に跡地再開発を推進するため、跡地利用計画を踏まえて沖縄県と協議し、大規模駐留軍用地跡地にかかる跡地整備事業等を担当する事業実施主体を早急に明確にし、併せて事業の迅速化及び円滑化のための業務の特例、人材や事業資金などの資源の優先配分、資金ソースの工夫等の措置を講じることが出来るよう制度を整備する。

(4)給付金支給にかかる特例措置

給付金支給に関して、駐留軍用地跡地の性格等を踏まえ、次のとおり特例措置を認めることとする。

  1. 大規模駐留軍用地跡地にかかる特例措置
    大規模駐留軍用地跡地については、その再開発事業の困難性等に鑑み、給付金の支給期間現行三年を特例措置として延長する。
  2. その他の特例
    上記大規模駐留軍用地跡地以外の駐留軍用地跡地において、物件撤去等に通常予想される以上の期間を要する場合にあっては、その範囲のなかで、給付金支給にかかる特例措置を認める。

2.法制の整備

跡地利用の促進及び円滑化にかかる上記1の(3)及び(4)の措置については、新たな法制の整備により対応することとし、所要の法案が極力早期に提出されるよう準備を進める。

3.駐留軍従業員の雇用の安定の確保

米軍施設・区域の整理・統合・縮小の推進により影響を受ける駐留軍従業員の雇用対策については、出来る限り移設先又は既存施設への配置転換により雇用の機会を図ることを基本としつつ、雇用の安定的確保に向けて知識技能の習得のための職業訓練対策の強化を図るなど、米軍及び沖縄県とも連携を図りつつ、雇用の安定の確保に最大限の努力を行う。

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