世界遺産制度

ページ番号1004738  更新日 2024年1月11日

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1.世界遺産とは?

世界遺産とは、世界遺産条約基づく世界遺産リストに登録されている顕著な普遍的価値を有する人類共通の遺産のことです。地球の成り立ちと人類の歩んできた歴史によって生み出され、過去から現在、そして未来へと引き継いでいくべき貴重なたからものです。

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2.世界遺産条約とは?

正式には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」といい、1972年のユネスコ総会で採択されました(2007年10月現在184ヶ国が批准)。世界的に優れた価値を持つ自然遺産及び文化遺産を人類共通の遺産として考え、損傷や破壊等の脅威から保護し、将来にわたって保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とする国際条約です。

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3.世界遺産の種類

世界遺産には3つの種類があり、不動産がその対象となっています。

世界遺産

自然遺産
保存・観賞・学術上、顕著な普遍的価値を有する地形・地質、生態系、景観、絶滅のおそれのある動植物の生息・生育地などを含む地域
文化遺産
歴史・芸術・学術上、顕著な普遍的価値を有する記念物、建築物群、遺跡、文化的景観など
複合遺産
自然遺産と文化遺産の両方の価値を兼ね備えている遺産
イラスト:複合遺産は自然遺産と文化遺産の両方の価値を併せ持つ遺産
世界遺産イメージ

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4.代表的な世界遺産

2008年7月現在、自然遺産174件、文化遺産679件、複合遺産25件、合計878件が登録されています。

世界遺産

自然遺産
(174件)
ガラパゴス諸島(エクアドル)、グランドキャニオン(米)、グレート・バリア・リーフ(豪)
文化遺産
(679件)
万里の長城(中国)、フィレンチェの歴史地区、(イタリア)、自由の女神像(米)、アテネのアクロポリス(ギリシャ)
複合遺産
(25件)
ウルル_カタ・ジュタ国立公園(通称:エアーズロック)(豪)、マチュ・ピチュの歴史保護区(ペルー)

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5.日本の世界遺産

2007年10月現在、自然遺産3件、文化遺産11件、複合遺産0件、合計14件が登録されています。

登録されています。

世界遺産

自然遺産(3件)

1993年 屋久島 白神山地

2005年 知床

文化遺産(11件)

1993年 法隆寺地域の仏教建造物 姫路城

1994年 古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)

1995年 白川郷・五箇山の合掌造り集落

1996年 広島平和記念碑(原爆ドーム) 厳島神社

1998年 古都奈良の文化財

1999年 日光の社寺

2000年 琉球王国のグスク及び関連遺産群

2004年 紀伊山地の霊場と参詣道

2007年 石見銀山とその文化的景観

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6.世界遺産リストに登録されるまでのプロセス

1. 世界遺産条約締約国政府

暫定リスト記載候補物件の選定

世界遺産リスト登録への推薦は各国政府が行うものとされ、日本の場合は環境省、林野庁、文化庁などが暫定リストへの記載物件を選定します。選定に際しては、専門家による検討委員会や関係する審議会において推薦候補物件の検討が行われます。
暫定リストとは、世界遺産の登録申請にあたり条約締約国政府が事前に作成するもので、今後、数年以内に世界遺産登録を目指す物件を記載した一覧表のことです。暫定リストに掲載されてない物件は、世界遺産委員会へ推薦書を提出しても審査の対象とはなりません。

暫定リスト記載物件の決定、暫定リストの提出

環境省、林野庁、文化庁などによって選定された推薦候補物件は、外務省、国土交通省、環境省、林野庁、文化庁、水産庁などから構成される世界遺産条約関係省庁連絡会議を経て、暫定リストへの記載が決定され、外務省を通じて暫定リストがユネスコ世界遺産センターに提出されます。
なお、暫定リストは、少なくとも推薦書提出の1年前までに締約国政府から提出することとされています。

推薦物件の決定、推薦書の提出

暫定リストに記載されている物件の中から条件が整った物件は、世界遺産条約関係省庁連絡会議の決定を経て、ユネスコ世界遺産センターに推薦されます。推薦書には、推薦物件が顕著で普遍的な価値を有することを証明するとともに、推薦物件がその国の法律等により保護されていること、適切な管理計画・管理体制が記載されていることなどを示すことが必要です。
なお、推薦書は、毎年2月1日以前にユネスコ世界遺産センターに受理されたもののみが、翌年の6月~7月に開催される世界遺産委員会における世界遺産リスト登録の検討対象となります。

2. ユネスコ世界遺産センター

各国政府からの推薦書の受理

条約締約国から提出された推薦書類等に漏れがないことを確認し、登録推薦書の事務局登録を行います。ユネスコ世界遺産センターとは、世界遺産委員会の事務局のことで世界遺産委員会開催のための事務、条約締約国への技術・情報提供、世界遺産基金の運営などを行っています。

諮問機関へ審査を依頼

推薦を受けた物件が世界遺産になるための条件を満たしているかどうかを、世界遺産委員会の諮問機関(自然遺産の場合は「国際自然保護連合(IUCN)」)に審査を依頼します。

3. 諮問機関/国際自然保護連合(IUCN)

推薦物件の審査

ユネスコ世界遺産センターから推薦物件の審査の依頼を受けた諮問機関(国際自然保護連合)は、専門家を現地に派遣して調査を行い、その物件について、顕著で普遍的な価値の有無、完全性の条件と保護管理の要件を満たすかどうかを審査し、ユネスコ世界遺産センターに評価報告書を提出します。

4. 世界遺産員会

世界遺産委員会ビューロー会議による事前審査

条約締約各国から推薦された物件全てが世界遺産委員会に推薦されるわけではありません。世界遺産委員会の事前会合である世界遺産委員会ビューロー会議(世界遺産員会で選任された7ヶ国で構成)において、諮問機関が提出した評価報告書に基づき、顕著で普遍的な価値の評価基準への適合性や保護管理体制などについて厳しく審査を行います。

世界遺産リストに登録の可否の決定

世界遺産委員会ビューロー会議による事前審査を経て、世界遺産リストに「登録すべき」か、「登録すべきでない」か、「情報照会すべき」か、「登録を延期すべき」かについて審議・決定がなされます。

5.世界遺産リストに登録

イラスト:登録するまでの流れ
世界遺産登録リストに登録されるまでのプロセス

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7.世界自然遺産に登録されるための条件

世界遺産条約と世界遺産条約履行のための作業指針(以下「作業指針」という)よれば、世界自然遺産に登録されるためには、条約締約国は推薦しようとする物件に関して、以下のようなことを示す必要があります。

(1)顕著で普遍的な価値

世界遺産リストに登録されるには、その定義上、顕著で普遍的な価値(Outstanding Universal Value:以下「OUV」と略す場合がある)を有することが必要です。世界遺産条約と作業指針において、自然遺産のOUVは以下のように定義されています。
なお、自然遺産への推薦にあたっては、推薦物件を世界的レベルで他の類似物件と比較した場合に、OUVを有しているかどうかを評価するため、推薦物件と国内外の類似物件(世界遺産リストへの記載の有無を問わず)との比較分析書を提出し、国内的及び国際的にみた推薦物件の重要性を説明することが求められます。

世界自然遺産の定義(条約第2条)

  • 無生物又は生物の生成物又は生成物群から成る特徴のある自然の地域であって、観賞上又は学術上顕著な普遍的価値を有するもの。
  • 地質学的又は地形学的形成物及び脅威にさらされている動物又は植物の種の生息地又は自生地として区域が明確に定められている地域であって、学術上又は保存上顕著な普遍的価値を有するもの。
  • 自然の風景地及び区域が明確に定められている自然の地域であって、学術上、保存上又は景観上顕著な普遍的価値を有するもの。

顕著な普遍的な価値(OUV)(作業指針49段落)

顕著で普遍的な価値(OUV)とは、国家間の境界を超越し、人類全体にとって現代及び将来世代に共通した重要性をもつような、傑出した文化的な意義及び/又は自然的な価値を意味する。従って、そのような遺産を恒久的に保護することは国際社会全体にとって最高水準の重要性を有する。委員会は、世界遺産一覧表に資産を登録するための基準の定義を行う。

(2)顕著で普遍的な価値(OUV)の評価基準(クライテリア)

作業指針(77段落)には、以下のとおり、OUVの評価基準(以下「クライテリア」という)が示されています。このうち、自然遺産として推薦できるのは、これらの1つ以上を満たす物件です。

(7.)自然景観

類例を見ないひときわ優れた自然美及び美的要素をもつ自然現象や地域を含むこと。

(8.)地形・地質

生命進化の記録、地形形成において進行しつつある重要な地質学的過程、あるいは重要な地形学的、自然地理学的特徴を含む、地球の歴史の主要な段階を代表とする顕著な例であること。

(9.)生態系

陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化や発展において、進行しつつある重要な生態学的・生物学的過程を代表する顕著な例であること。

(10.)生物多様性

学術上、あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物の多様性の野生状態における保全にとって、最も重要な自然の生息・生育地を含むこと。

(1.)~(6.)は文化遺産に関するものであるため省略。
※登録基準は、2007年の第31回世界遺産委員会で審議される物件から新基準に変更(これまで別々だった自然遺産と文化遺産の基準を統合)となった。

(3)完全性

自然遺産を推薦する場合には、OUVのクライテリアを満たした上で、その物件が完全性の条件を満たすことを示さなければなりません(作業指針78、87段落)。完全性とは、自然遺産の特質の全てが無傷で包含されている度合いを測るためのものさしであり、当該物件が以下の条件をどの程度満たしているかを評価するとされてます(作業指針88段落)

  • (a)顕著な普遍的価値が発揮されるのに必要な要素がすべて含まれているか。
  • (b)当該資産の重要性を示す特徴を不足なく代表するために適切な大きさが確保されているか。
  • (c)開発及び/又は管理放棄による負の影響を受けているか。

なお、完全性と人間活動の関係についての考え方は、作業指針90段落にて以下のとおりに示されています。そこでは、自然遺産に推薦される物件は、生物物理学的な過程及び地形上の特徴が比較的無傷であることとされています。しかしながら、いかなる場所も完全な原生地域ではなく、ある程度は人間との関わりが介在することも知られているとして、人間活動も生態学的に持続可能なものであれば、当該地域のOUVと両立することができるとされています。また、以上に加えて、各OUVのクライテリア(7.)~(10.)ごとに完全性の条件が定義されています(作業指針91段落)。

(7.)自然景観

顕著な普遍的価値を有すると同時に、資産の美しさを維持するために不可欠な範囲を包含していること。(作業指針92段落)。

(8.)地形・地質

関連する自然科学的関係において相互に関連し依存した鍵となる要素の全て又は大部分を包含していること。(作業指針93段落)。

(9.)生態系

生態系及びそこに含まれる生物多様性を長期的に保全するために不可欠なプロセスの鍵となる側面を現すために十分な大きさをもち、必要な要素を包含すること。(作業指針94段落)。

(10.)生物多様性

生物多様性の保全にとって最も重要な存在であること。生物学的に見て、最も多様性・代表性の高い資産のみがこの基準を満たし得ると考えられる。関係する生物地理区、生態系の特徴を示す動植物相の多様性を最大限維持するための生息環境を包含していることが求められる。(作業指針95段落)。

(1.)~(6.)は文化遺産に関するものであるため省略。
※登録基準は、2007年の第31回世界遺産委員会で審議される物件から新基準に変更(これまで別々だった自然遺産と文化遺産の基準を統合)となった。

(4)保護措置と管理体制

保護措置

世界遺産の推薦にあたり、OUVと完全性の登録時の状態が将来にわたって維持、強化されるように担保する保護管理、すなわち立法措置、規制措置、制度的措置もしくは伝統的手法による確実な保護及び管理が長期的に確保されていることを示す必要があります。
遺産の存続を保証し、遺産の顕著で普遍的な価値又は完全性に負の影響を及ぼすおそれのある開発等から遺産を保護するために、国及び地方レベルにおいて立法措置、規制措置を整備することが求められています。

管理体制

世界遺産の推薦にあたり、どのようにして、当該遺産のOUVを保全するかについて明示した適切な管理計画を具備することが求められます。管理体制は、物件の現在及び将来にわたる効果的な保護を担保することを目的とし、文化的視点、資源量その他の要因によって様々な形を取ることができます。

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このページに関するお問い合わせ

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