更新日:2012年5月7日
意見表明第10号(保健医療体制整備のための医師の養成確保について)
沖縄県行政オンブズマン 大城 光代
沖縄県行政オンブズマン 宮城 健蔵
保健医療体制整備のための医師の養成確保について
【意見表明】
県の「沖縄県保健医療計画」に示された医師の養成確保の理念を実現するため、具体的な方策を立てることを検討されたい。
【理 由】
- 平成12年度は、「八重山病院における専門医の確保、MRIの導入」についての苦情申立てがあったのをはじめ、県民の間から、「児童思春期精神科病棟の設置」、「小児腎臓病専門医の確保」、「町立診療所を県立診療所へ」、「周産期母子医療充実のための医師、看護婦の増員」、「琉大医学部との連携を密に」、「医師の過労死に関する報道」等、医療行政に対する多くの要望が出された。中でも、医師の養成確保は、早急に対応する必要があると考える。
- 沖縄県は、人口10万人当たりの医師数が全国平均より少ない上、これが都市部に集中し、中北部、特に宮古及び八重山では慢性的に医師が不足している。
当面、公務員医師のローテーションによる離島勤務、開業医への協力依頼(嘱託医)、厚生労働省派遣医師の活用等、現在採りうる手段の活用と平行して、必要とする医師数を確保するため、中・長期的展望にたった対策が必要である。
医師は修業年限の長さや、人命を預かるという極めて重い職務内容から、特に、高校生の進路指導の一環とし、また、琉大医学部出身者の沖縄県内への定着を図るため、県の医療事情についての情報を提供し、県民の保健医療に寄与したいと考える層の拡大を図ることが必要であると思われる。
- そのための方策として、例えば、次のことが考えられる。
- 島嶼県である本県の実情を踏まえ、自治医科大学への入学枠の拡大を図る。
- 育英事業の目的に離島医療に従事する者の養成を加え、一定期間県内離島の医療に携わることを義務付ける奨学金制度を設ける。
- 県立病院勤務医師の構成(専門科目、経験年数、人数等)や、県の医師不足解消のために行われている厚生労働省派遣医師の勤務の実態、県における医師の採用計画等を琉球大学医学部学生等に公開し、専門科目の選択、求職等の資料を提供する。
- 医療情報の乏しい離島勤務医師の学会参加時の支援体制を確立し、年休をとる際にも、代替医師を派遣する等、離島勤務し易い条件整備を行う。
- 県立病院と民間病院との役割分担を明確にし、相互の連携強化を図ることにより、効率的な医療の確保と、人材の有効活用を図る。
- 民間病院の参入が困難な離島の医療を確保するためには、県立病院の経営基盤を、なお一層確立する必要がある。そのためにも、診療未収金の早期収納の徹底を図るべきである。