平成31年1月4日 「平成31年 職員への年頭訓辞」

ページ番号1001546  更新日 2024年1月11日

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ハイサイ グスーヨー イイソーグヮチデービル
職員の皆さん、明けましておめでとうございます。
県知事の、玉城デニーです。
皆様におかれましては、御家族ともども、輝かしい新春を迎え、益々御健勝のこととお喜び申し上げます。

昨年は、私にとっても、沖縄県全体にとっても、正に激動の1年であったと思います。8月に翁長前知事が急逝され、そして、翌9月に県知事選挙が行われました。私は、翁長前知事の思いを受け継ぎ、辺野古新基地建設の阻止に全力で取り組むとともに、経済と平和を両立させ、誰一人取り残さない社会、自立と共生、多様性と寛容性にあふれる沖縄を実現するため、県知事選挙への出馬を決心しました。その結果、私の考えが多くの県民に受け入れられ、過去最多得票で当選させていただき、10月4日付けで、沖縄県知事に就任いたしました。

「チチヌハイヤ ンマヌハイ」と申します。月の走りは、馬の走りのようだという喩えです。馬が駆けていくように本当に早いもので、私が県知事に就任してから、3カ月が経ちました。これまで、様々な業務を行う中で、県政をあずかる責任の重さを改めて実感し、身の引き締まる思いがいたします。今年も、県民の皆様の御期待に応えられるような県政運営に邁進するため、決意を新たにしているところです。

私はこの3カ月間、公約に掲げた「新時代沖縄の到来」、「誇りある豊かさ」、「沖縄らしい優しい社会の構築」の3つの視点から、基地問題をはじめ、経済、文化、教育、福祉、保健医療など、県民の生活や産業などに関する幅広い業務に取り組んでまいりました。この間、つつがなく業務を行うことができたのは、職員の皆さんが、日々の業務に誠実に取り組まれていることによるものと考えております。心から感謝を申し上げます。

さて、沖縄県は、3年後に本土復帰50周年を迎えるとともに、現在の沖縄振興計画の期限が到来します。今後、新時代沖縄に向けた新たな振興計画の策定について、日本経済の再生にも貢献しうる方向で取り組んでいきたいと考えております。

本県の経済は、平成29年度の入域観光客数が約958万人で5年連続過去最高を更新しています。平成30年度上半期で約519万人、対前年度比プラス15万人と順調に推移し、年間1千万人が目前に迫っております。また、完全失業率や有効求人倍率も改善を続けており、県内景況は、平成24年
10月以来24期連続、6年連続で拡大するなど、好調な状態が続いています。
この好調な経済を更なる発展に繋げるため、成長著しいアジアのダイナミズムを取り込み、世界水準の観光リゾート地の形成や、アジアを繋ぐ国際競争力のある物流拠点、アジア有数の国際情報通信拠点”スマートハブ”の形成に向けた取り組みを加速してまいります。
特に、那覇空港においては、豊富な国内路線数を有するとともに、国際線やLCCの就航も増えており、来年3月には第2滑走路が整備され、更なる航空需要拡大が見込まれることから、アジアの航空機整備需要を取り込む産業集積においても魅力的な位置にあります。
このたび、那覇空港に完成した航空機整備施設を活かして、航空機の機体整備から派生する機体部材の製造、補修や特殊部品の保管配送、航空関連産業に関連するMICE開催など、航空関連産業クラスターの形成を目指してまいります。

また、平成29年の農業産出額が1,005億円となり、平成28年に引き続き、2年連続で1,000億円を達成しました。特に、県産畜産物の海外輸出促進の取り組みなどにより畜産部門が好調に推移しており、今後も、畜産物の輸出量の増加が期待されているところです。

一方で、一人当たり県民所得は全国の7割程度の水準にとどまっており、県民所得の増加に向けては、収益力の高い産業が十分に育っていないこと、また、全国と比べて低い労働生産性が課題となっています。
このため、沖縄に比較優位性のある産業の育成や、アジアのダイナミズムを取り込む施策を推進し、企業の設備投資や雇用の質を高め、産業全体の生産性を向上させることで、県民所得の増加、特に若い世代の所得の向上に繋げてまいりたいと考えております。

また、私は、ダイバーシティ(多様性)、デモクラシー(民主主義)、ディプロマシー(自治体的外交)の考え方を県政の取り組みに活かすために、来年度から新たな知事の諮問機関として、万国津梁会議(仮称)を設置し、人権・平和、情報・ネットワーク、経済・財政、人材・教育・福祉、自然・文化・スポーツなどの各領域において高い見識を有する方々に参加していただき、この会議での議論を、更なる政策の推進に繋げていきたいと考えています。
引き続き、沖縄の地理的優位性を活かし、スケジュール感とスケール感、そしてスピード感をもって、様々な施策をしっかり推進してまいります。

沖縄の自然や歴史、文化については、その魅力を最大限に発揮するため、多様で豊かな本県の芸術文化を国内外に発信することを目指し、「琉球歴史文化の日」の制定に取り組みます。
また、今年は、ユネスコ無形文化遺産に登録されている組踊の上演300周年記念事業を実施することとしており、空手についても、世界の空手愛好家の受入体制整備や交流拡大を推進し、来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も見据えて、「空手発祥の地・沖縄」を世界中に発信してまいります。
さらに、昨年11月に、改めてユネスコ世界自然遺産の推薦候補に決定された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、奄美地域との交流を深めながら、国や地元自治体などと連携して、登録に向けた取り組みを進めてまいります。

私は、「自立」、「共生」、「多様性」の理念のもと、全ての人の尊厳を守り、多様性や寛容性を大切にした、誰一人取り残すことのない社会づくりが重要であると考えています。そのため、県政の最重要政策として子どもの貧困対策に取り組むとともに、障害者や高齢者、生活困窮者、マイノリティーの方などに対する各種施策を推進してまいります。また、女性の皆さんが、そのライフステージに応じて安心して生活し、活躍できる社会を実現するための象徴的な組織として、県庁内に「女性力・平和推進課(仮称)」を設置し、女性の活躍を飛躍的に推進するための施策を展開していきたいと考えています。
これらの施策により、全ての県民が、心豊かで、安全・安心に暮らせる「沖縄らしい優しい社会」を実現してまいります。

一方で、米軍基地問題については、依然として米軍人・軍属による事件、基地に起因する事故や騒音問題などが後を絶たず、県民の目に見える形での基地負担の軽減は進んでおりません。
特に、普天間飛行場の辺野古移設については、多くの県民が反対の意思を示しているにも関わらず、沖縄防衛局は、違法な土砂の投入を続けております。県としては、国地方係争処理委員会への審査申出など、県が行った埋立承認取り消しの執行停止の効力を止めることに全力をあげているところであります。土砂投入に対しても、国に強く是正を求めているところです。引き続き、職員皆さんと一丸となって、取り組んでまいります。どうぞ、よろしくお願いいたします。
私は、今後とも、普天間飛行場の早期閉鎖・返還及び5年以内運用停止を含む危険性の除去を政府に強く求めてまいります。また、過重な基地負担の軽減を図るため、基地の整理縮小をはじめ、日米地位協定の抜本的な見直し、米軍人軍属による事件・事故など基地から派生する諸問題の解決に全力で取り組んでまいります。

なお、2月24日(日曜日)には「辺野古埋立の賛否を問う県民投票」が実施されます。この県民投票は、間接民主制を補完するものとして、地方自治法に基づく県民からの直接請求により実施されるものであり、辺野古埋立について県民一人ひとりがその意思を示すことは、民主主義を基とした主権者による自治のあり方においても、大変意義のあることだと考えております。県としては、県民投票条例の規定に基づき、客観的かつ中立的に、県民投票に関する広報活動を行ってまいります。職員の皆さんも、投票により自らの意思を表明していただきますよう、よろしくお願いいたします。

私は、これまでウチナーンチュが受け継いできたウヤファーフジへの敬い、自然への畏敬の念、他者の痛みに寄り添うチムグクルといった沖縄のアイデンティティーは、沖縄文化、精神文化の根底をなすものと考えています。
沖縄の将来を担う若い人たちには、大きな志を抱いて、自ら考え、自ら行動し、一人ひとりが輝く、自分らしい希望の未来を描いていっていただきたいと思います。
「ドリーム カムス トゥルー」夢は必ず叶います。
私は、沖縄の若い皆さんに、平和で豊かな沖縄、誇りある沖縄、新時代沖縄を託せるよう、全身全霊で県政運営に取り組んでまいります。

職員の皆さんも、各部局長を中心に、法令遵守を徹底し、県民全体の奉仕者としての責務を心がけ、新時代沖縄に向けて誰一人取り残さない社会を実現するために、幅広い視点で県民の期待に応えていただくようお願いいたします。
また、仕事に一生懸命取り組んでいただくのはもちろんですが、くれぐれも、お互いに、健康には留意いたしましょう。そして、計画的に休暇を取得するなど、ワーク・ライフ・バランスを心がけて、仕事も私生活も多くの喜びを感じられるような、充実した1年にしていただきたいと思います。

結びに、新しい年が皆様にとって良い年となりますとともに、御家族の皆様の御健勝と御多幸を祈念申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。

クトゥシン ユタサルグトゥ ウニゲーサビラ
イッペー ニフェーデービタン

平成31年1月4日
沖縄県知事 玉城 デニー

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