沖縄県内におけるTDM施策の取組み紹介
TDM(交通需要マネジメント)とは?
沖縄県において、交通渋滞を始めとする様々な交通問題を改善することは、円滑で快適な都市活動の創出や沖縄県全体の活力ある発展を図る上で重要な課題となっています。
このため、これまでの道路整備等のハード施策だけでなく、歩いて暮らせるまちづくりの推進と合わせ、自動車の効率的な利用や公共交通機関の利用を促進する交通需要マネジメント(TDM:Transportation Demand Management)の推進が必要となります。
そこで、沖縄県では、TDMアクションプログラムを策定し、自動車を含めた多様な交通機関を適切にかしこく利用してもらうための取組や、複数の交通機関の乗り継ぎをしやすくすることで全体の移動を円滑かつ利便性の高いものとする等の取組を進めてきました。
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以下に、これまでの取組みを紹介します。(令和3年5月時点)
公共交通の利用促進
1.IC乗車システム(OKICA)の導入
取組概要
IC乗車券システムを導入し、バスの乗降・モノレールの改札通過を円滑にすることで、運行の定時速達性の向上が図られました。
取組の効果
- バス乗降時間の短縮による、定時速達性の向上。
- モノレールの円滑な改札通過による駅内の混雑緩和。
- 通勤・通学等における公共交通の利用促進。
- 複数の公共交通機関の円滑な乗換え促進。
現在の状況
- OKICAの発行累計枚数は45万枚(令和3年5月時点)
- モノレールでは、令和2年3月から、「Suica」と相互利用するその他交通系ICカードの利用も可能になりました。
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2.公共交通の運行情報の提供
取組概要
平成25年度から、バスの運行時刻、接近状況、乗換え検索等の情報を発信する「バスロケーションシステム」等が導入されました。
取組の効果
- 「遅延状況の見える化」によるバス待ち時のストレスの緩和。
- 多言語化による外国人利用者の利便性向上。
- 乗換え検索の効率化
現在の状況
- のりものNAVI(旧バスなび沖縄)の導入により、遅延の見える化等が促進。
- 令和2年度から、大手検索サイト(Google Map)での検索が可能となり、目的地までの複数ルートの検索が可能となった。
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基幹バスシステムの構築
基幹バスシステムとは、バス専用レーンの導入や、乗降性に優れた車両の導入等により、高い輸送力・走行性・快適性を備えた「新たな交通システム」で、主要拠点を結ぶ、定時速達性が高く、多頻度で運行する「基幹バス」と、その他の地域へのアクセスを担う「支線バス」によって、ネットワークを構築するもので、国道58号、330号、329号などの、都市圏の骨格的な交通軸への導入が想定されています。
そのうち、以下の視点により、始めは「国道58号沿線地域」を中心にした、那覇市~沖縄市(コザ)間において、導入に向けた取り組みを進めています。
- 過度な自家用車の利用抑制と、バス利用者の拡大に「最も効果的な方面」。
- バス事業の効率性向上、利用者の分かりやすさに「最も効果的な方面」。
- 即効性の観点から、既存ストックを「最大限に活用可能な方面」。
3.バスレーンの導入
取組概要
定時速達性に優れた基幹バスを導入するため、那覇市久茂地から沖縄市コザまでの基幹区間においてバスレーンの導入を行います。
取組の効果
- 通勤・通学時間帯における定時性の高い公共交通の提供。
- バスレーンを利用する路線バスの定時速達性の向上。
現在の状況
- 平成31年2月までに、久茂地~伊佐間に段階的に時間帯別バスレーンを導入。
夕方下りは、所要時間が、9分短縮、朝上りは、4分短縮。 - 令和元年に基幹急行バス(でいごライナー)の運行を開始。
- バスレーン延長区間を通過する路線バスの輸送人員は約7%増加。
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4.バス車両のグレードアップ
取組概要
主に、基幹区間を走行するバスに対し、ノンステップバス、電光表示器等を導入しています。
取組の効果
- 楽なバスの乗降。
- バスの車内・車外の見やすい掲示。
現在の状況
- ノンステップバス(平成26年~令和2年):218台
- 電光表示(平成26年~令和2年):582台
5.バス停のグレードアップ
取組概要
雨天時のバス待ちや、バス路線図、時刻表などの見やすさ向上を目的として、バス停のグレードアップを図っています。
取組の効果
- 快適なバス待ち空間の創出。
- バス停での分かりやすい掲示。
現在の状況
- 令和2年度までに、基幹区間の全てのバス停のグレードアップを完了(施工不可能個所除く)。
- 令和元年度に、比嘉西原(那覇向け)・農林中金前(沖縄市向け)の2ヵ所のバス停を、国が高機能バス停として整備。
交通不便地域への移動手段提供
6.循環バス、コミュニティバス等
取組概要
路線バス等が通れない狭い道路にある公共交通空白地域を、小型のコミュニティバスや、デマンドタクシー等の運行により、移動手段の確保を図ります。
取組の効果
公共交通空白地域における移動手段の提供。
現在の状況
- コミュニティバス:3市3町9村
- デマンドタクシー:4市1村
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- 南城市内デマンドバス「おでかけなんじい」(外部リンク)
- 浦添市デマンド型コミュニティバス「うらちゃんmini」(外部リンク)
- 糸満市内周遊バス「いとちゃんmini」(外部リンク)
- 粟国村デマンド型乗合タクシー「りかりか号」(外部リンク)
7.キャンパス交通システム
取組概要
琉球大学や沖縄国際大学への利便性の高い交通手段の提供により、大学生・教職員等の自家用車による通学・通勤の抑制を図ります。
取組の効果
- 大学周辺の渋滞の緩和。
- 自家用車から公共交通への通学手段の移行。
- 公共交通利用の増加
現在の状況
- 「首里駅琉大快速線」が、平成28年3月から路線バスの94番として本格運行。
令和3年6月から、一部路線をてだこ浦西駅の起終点とする294番が運行開始。 - 令和3年1月から、てだこ浦西駅を起終点として、沖縄国際大学及び琉球大学へアクセスするキャンパスバス(297番)の実証実験を実施中。
- 琉球大学において、交通手段を多様化し、自家用車利用を抑制するため、シェアサイクルによる実証実験を民間企業と連携し実施中。
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公共交通への利用転換
8.パーク&ライドの利用促進
取組概要
パーク&ライドは、市街地への交通の流入を抑制するため、郊外に設けられた駐車場に自家用車を駐車し、そこからモノレールやバスレーンなど定時性の高い公共交通を活用して通勤・通学を行うことです。
取組の効果
- 市街地における交通渋滞の緩和
- 通勤・通学時の定時性の確保
現在の状況
県内では、以下のモノレールやバスレーンに近い場所に、パーク&ライドの駐車場が設置されています。
箇所名 |
駐車可能台数 |
料金 |
運営・管理者 |
連絡先 |
---|---|---|---|---|
イオンモール 沖縄ライカム |
乗用車:50台 | 平日:5,000円/月 ※WAON(ワオン)チャージ |
株式会社中央建設 コンサルタント |
098-877-4390 |
てだこ浦西駅 | 乗用車:794台 | 平日:3,500円/月 平日・土日:4,200円/月 全日:5,000円/月 |
株式会社沖縄ダイケン | 098-870-5811 |
安里駅 | 乗用車:90台 バイク:30台 |
乗用車:3,050円/月 バイク:1,020円/月 ※モノレール定期券購入が条件 |
沖縄都市 モノレール株式会社 |
098-859-2689 |
小禄駅 | 乗用車:100台 | 3,050円/月 ※モノレール定期券購入が条件 |
沖縄都市 モノレール株式会社 |
098-859-2689 |
安謝高架下 有料駐車場 |
乗用車:100台程度 | 8,800円/月 | 社団法人 しまたて協会 |
098-879-2097 |
宇地泊 パーク&バスライド |
乗用車:70台 | 無料 *利用条件確認後に申込 (利用回数15日/月以上) |
NPO法人 しまづくり ネットワーク |
090-5939-4847 |
- イオンモール沖縄ライカムP&R(外部リンク)
- てだこ浦西駅P&R駐車場(外部リンク)
- 安里駅P&R(外部リンク)
- 小禄駅P&R(外部リンク)
- 安謝高架下有料駐車場(外部リンク)
- 宇地泊P&BR(外部リンク)
9.シェアサイクル利用促進
取組概要
シェアサイクルとは、複数の人で自転車を共有し利用するシステムです。一般的に、電動自転車で 15分80円程度から借りることができるため、利用頻度の低い方は、自転車を買うより経済的になります。
取組の効果
- 交通渋滞の緩和
- 公共交通の利用促進
- 渋滞時の定時性の確保
- 日常生活の利便性向上
現在の状況
- 那覇市、浦添市、宜野湾市においては、シェアサイクル事業者と連携協定を結び、利用促進を図っており、令和3年5月時点で、県内に同事業者によるポートが96カ所設置されている。
- コロナ禍において、感染リスクの低い移動手段として、利用者数が増加。
- 県内では主に、以下の事業者がサービスを提供(令和3年5月時点)。
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自動車交通の適正化
10.時差通勤の利用促進
取組の概要
時差通勤とは始業・就業時間を変更することで、通勤に伴う諸問題の解決を目的としています。バスやモノレール車内の混雑によるストレス低減や、通勤時間が重なることによる渋滞の発生などの解決手段として有効です。
取組の効果
- 通勤時間の分散による交通渋滞の低減
- バスやモノレール車内の混雑等のストレス低減
- 家族の時間を生み出す働き方改革
現在の状況
- 沖縄県、那覇市において、時差通勤制度を導入。
- 沖縄県庁では、全体の27.6%が制度を利用(令和3年5月時点)。
- コロナ禍において、民間企業への導入も加速。
11.沖縄自動車道の利用促進
取組概要
沖縄県においては、一般道の渋滞軽減を図るため、ハシゴ道路の「中央の柱」となる沖縄自動車道の利用促進を図っています。
- 通行料金の割引:沖縄県においては、特別調整費等国庫補助の活用や、平成26年度からは西日本高速道路株式会社の御尽力のもと、現金及びETC利用の全車を対象とした通行料金の特別割引が行われています(他府県はETC利用者のみ)。
- ETCの利用促進:沖縄県においてはETCの普及率が低く、料金所渋滞緩和等の効果が十分発揮されていないため、ETCの普及に向けたPRを実施しています。
取組の効果
- 一般道の渋滞軽減
- 料金所渋滞の緩和
現在の状況
沖縄県におけるETCセットアップ件数(累計):145,708件(平成22年)から567,009件(令和2年)へ増加
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12.カーシェアリングの利用促進
取組概要
カーシェアリングとは、複数の人で自動車を共有し利用するシステムです。一般的に、燃料代・保険代込みで 15分220円程度から借りることができるため、自家用車の利用頻度の低い方は、買うより経済的になります。
取組の効果
- 過度な自家用車の保有・利用の抑制
- 自家用車から公共交通への利用転換(移行期間のサービス利用)
現在の状況
- カーシェアリングに関する意識調査を実施したところ、自家用車の利用頻度の低くなった高齢者のニーズが確認された。
- コロナ禍において、社用車にカーシェアを利用する会社が増加。
- 県内では主に、以下の事業者がサービスを提供(令和3年5月時点)。
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自家用車利用者の行動意識の変革
13.モビリティ・マネジメント(MM)
取組概要
モビリティ・マネジメント(MM)とは、過度な自動車利用から公共交通等を利用する方向へ自発的に変化することを促すコミュニケーション施策と、その自発的変化をサポートする運用方策とを合わせた、ソフト的交通施策の総称です。
取組の効果
過度な自家用車の保有・利用の抑制。
現在の状況
- 沖縄本島内県立高校のホームぺージへ「通学バスなび」へのリンクを依頼したところ、約38%(52校中20校)の高校が協力。
- 「通学バスなび」へのアクセス数が昨年度4月と比べると5倍(ページビュー数8,728)に増加。
- 特定の高校向けにカスタムされた高校生向け情報提供ツールの作成(「エコ通学のススメ」「オリジナルバスマップ」)。
- 浦添市の特定の小学校を対象に、ビッグデータを用いて学校周辺の渋滞状況を分析。
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14.多様な啓発活動
取組概要
わったーバス党を通して、バス利用に関する啓発活動を進め、自ら普段の交通について考えるきっかけを与えることで、自らの意思で公共交通への利用を促す施策を展開しました。
取組の効果
- 個人、民間企業と連携し、公共交通利用の促進。
- 公共交通の利便性の認知度の向上。
現在の状況
- 法人党員参加企業:2021年3月時点88社。
- わった~バス党サポーター企業:2020年3月時点23社
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15.生活道路安全対策
取組概要
住宅地の生活道路や通学路において、ハンプ(凸部)設置やラバーポールを使って道路を狭くすることで、車のスピードを抑えて、通過交通を減らします。
取組の効果
- 児童、生徒の安全性向上。
- 目的地までの安全な歩行空間を確保。
- 通過交通の速度、通過台数の抑制。
現在の状況
バスレーン導入延長に伴う生活道路の交通安全対策として、市道伊佐大山線へのハンプ・ラバーポール等を設置。
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このページに関するお問い合わせ
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