駐留軍用地跡地利用の課題


 これまで駐留軍用地跡地については、主に土地区画整理事業や土地改良事業等の公共事業を中心とした有効利用が図られてきましたが、これらは必ずしも円滑に推進されたものではなく、地主や関係市町村の意向が配慮されないままの一方的な返還や細切れ返還であったこと、跡地利用計画が策定されないうちに返還されたこと、さらには公共事業に対する地主の理解が得にくかったことなどがあり、跡地利用が遅れる要因となっていました。

 土地区画整理事業等の再開発事業を例とした跡地利用の主な遅延要因を整理すると、

 (1)返還区域及び返還時期の明示の遅れ

 (2)各種調査の遅れによる跡地利用計画策定の遅れ

 (3)跡地利用計画、事業計画等に関する地権者等関係者の合意形成の遅れ

 (4)公共公益施設の整備のための用地取得の遅れ

 (5)再開発事業中の埋蔵文化財発掘調査、不発弾処理等による工事の遅れ

 等があげられます。

 また、再開発事業等を実施するためには、ある程度のまとまった土地が必要ですが、細切れ返還のため事業採択基準に適合せず事業導入ができない等の理由により、跡地の有効利用が図れず、遊休期間が長期化することがあり、地主は経済的な不利益を蒙ることがあります。

 その他、返還後の跡地利用を迅速に行うためには、返還前に返還予定施設への立ち入り調査を実施することが有効ですが、現状では立ち入り調査が困難であること、跡地利用のための基盤整備事業や埋蔵文化財調査、公共公益施設の用地取得に要する市町村等の財政負担等の課題があります。

 そのため、跡地利用に係る課題解決に向けた取り組みを進め、跡地利用の促進・円滑化を図る必要があります。

 なお、地籍未確定の問題については、昭和52年に「沖縄県の地域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化に関する特別措置法」が施行されたことにより米軍基地内の地籍確定作業が進められ、現在では米軍基地面積の98.27パーセントについて地籍が確定しています。




駐留軍用地跡地における環境問題


 返還軍用地における環境問題については、平成14年10月の返還特措法施行令の一部改正により、今後返還合意がなされる施設については、「返還実施計画」に基づき、国の責任において汚染物質や不発弾の調査及び除去等が行われることとなりました。

 しかし、既に返還された土地や、今後返還合意される施設で「返還実施計画」の策定されない施設については現行の日米地位協定に何ら対応策が示されていないため、北谷町のドラム缶投棄事件(平成14年1月30日北谷町基地返還跡地からドラム缶に入ったタール状物質が発見された)等に類する問題が今後も発生する可能性があります。

 県としては、基地返還の実施された跡地が有害物質により汚染されていることが判明した場合は、
  
  ア 国において早期の状況把握や原因者の究明について調査を行うこと


  イ 調査後、原因者が米軍であると断定またはその蓋然性が高いと判断された
    場合は、国において当該有害物質の撤去・処分を実施すること。等を盛り込
    んだ仕組みを作成するよう、国に対し要請しています。



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