沖縄県駐留軍用地跡地利用対策沖縄県本部跡地対策の体制>跡地対策準備協議会 第6回資料
第6回跡地対策準備協議会(平成13年12月27日)


普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等に係る
取組分野ごとの課題と対応の方針についての取りまとめ



                             平成13年12月27日
                             跡地対策準備協議会


 普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等については、第1回準備協議会(平成12年5月31日)で取り組むべき分野の明確化を図り、これを受けて第2回準備協議会(平成12年8月24日)において「取組分野ごとの課題についての中間的な整理」を行った。

 第3回準備協議会(平成12年11月29日)、第4回準備協議会(平成13年6月8日)及び第5回準備協議会(平成13年9月4日)においては、三回にわたって取組分野ごとに協議し、その後さらに、こうした協議結果を踏まえ取組分野全体としての取りまとめに向け鋭意検討するとともに、取り組むべき手順等に応じて整理を進め、普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等に係る取組分野ごとの課題と対応の方針について取りまとめたところである。

 今後は、これに基づき、国、県、市が連携・協力して、普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等に取り組むこととする。

 なお、閣議決定に基づく駐留軍用地跡地の利用の促進及び円滑化に係る新たな法制の整備については、沖縄振興新法に盛り込む方向で検討を進めることとする。



1.跡地利用計画策定関係

(1)普天間飛行場の跡地利用計画策定に係る基本的な取組の方向

 ○普天間飛行場の返還後の跡地利用の促進及び円滑化に資するため、市及び県は平成13年度から跡地利用計画の策定に向けた具体的取組に着手し、3〜4年後を目途に、具体的な跡地利用計画策定の基礎となる跡地利用の基本方針を策定することを目標に検討を進めることとする。

 ○跡地利用の基本方針策定に当たっては、広域的観点からの検討、基本的なデータの整理、地権者等関係者の円滑な合意形成、機能導入についての基礎的諸条件の整理等が不可欠であるため、これらを順次、着実に進めることとする。

 ○その際には、現在検討が進んでいる新たな沖縄振興計画等との連携・調整を十分図ることとする。

 ○また、整備、開発及び保全の方針の検討など都市計画への反映を図ることとする。

 ○跡地利用はまちづくり、地域づくりに直結することから、その計画策定については、関係地方公共団体の主体的取組が不可欠であるが、普天間飛行場の跡地利用については、沖縄全体の振興にも影響が及ぶものとなっていることを踏まえ、地元の自主性を尊重しつつ、市、県、国の強力な連携のもと取り組むこととする。


(2)普天間飛行場の跡地利用計画策定に係る具体的な取組

 ○沖縄県中南部都市圏という広域的な観点から、県は、普天間飛行場の跡地利用を含む中南部都市圏の将来像を検討した上で、土地利用や交通体系などについての基本構想を検討することとする。

 ○宜野湾市全域という広域的な観点から、市は、普天間飛行場跡地利用と周辺市街地の関係を整理した上で、順次、土地利用、市の将来像などを検討することとする。

 ○地形・地質、動植物、文化財等についての基本的なデータの整理については、国、県、市の担当部局による普天間飛行場跡地利用計画関連情報連絡会議を平成12年9月に設置し、既存資料の一定の整理を行ったところであるが、今後もデータの追加等、情報の整理を進めることとする。

 ○自然環境等についての基本的なデータ整理については、既存データの整理状況を踏まえて、市において調査の全体計画を策定した上で、地形、動植物等についての現況調査を行うこととする。

 ○埋蔵文化財についての基本的なデータ整理については、沖縄県が中心となり平成13年度中に策定する埋蔵文化財の詳細分布調査の具体的な実施計画に基づき、県が中心となりつつ、市も共同し、跡地利用を検討する上で有効となる埋蔵文化財の所在状況に係る調査に取り組み、3年後を目途に所在状況の概略を把握し、これを基に概略の遺跡地図の作成を目指すこととする。

 ○地権者等関係者の円滑な合意形成については、市において調査手法や年次計画などを定めた地権者等意向把握の全体計画を策定し、順次、土地利用、まちづくりの方向などについての意向調査を行うこととする。

 ○機能導入についての基礎的諸条件の整理については、賑わいのある地域づくり、潤いとゆとりのある生活空間の形成という観点を踏まえつつ、具体的な検討を進めることとする。

 ○なお、跡地利用を進めるにあたっては、原状回復措置や再開発事業といった複数の事業が行われ、環境に影響を与えるおそれのあることから、計画策定段階から環境に配慮して取り組むこととする。

 ○国は、このような市及び県の跡地利用計画の策定に向けての取り組みについて、大規模駐留軍用地跡地利用推進費等により支援を行うこととする。

 ○ 跡地利用の基本方針の策定及びこれを踏まえた具体的な跡地利用計画の策定に際しては、その基礎となる市、県、国の具体的取組の連携・調整が不可欠であることから、関係者間で定期的に取組状況を報告・調整するなど、跡地利用計画を円滑・的確に策定するための取組を進めることとする。



2.再開発事業関係

(1)既返還跡地の再開発事業に見られた遅延要因への対応

 ○既返還跡地において再開発事業として土地区画整理事業が実施されている事例の進捗状況によると、返還から事業着手(土地区画整理事業の認可)までにかなり長期間を要しているものがあることを踏まえ、規模の大きい再開発事業の事例を中心に検討したところ、既返還跡地における跡地利用までの期間の主な遅延要因としては、
   [1]返還区域及び返還時期の明示の遅れ
   [2]跡地利用計画等の策定の遅れ
   [3]跡地利用計画、事業計画等に関する地権者等関係者の合意形成の遅れ
   [4]公共公益施設の整備のための用地取得の遅れ
   [5]再開発事業中の埋蔵文化財発掘調査、不発弾処理等による工事の遅れと整理したところである。

 ○これらの遅延要因に関する普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化に向けた取組の方向としては次のとおりである。
   ・[1]については、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律が制定されており、これに基づき速やかに通知することとしている
   ・[2]については、1.跡地利用計画策定関係において跡地利用計画策定に係る具体的な取組を取りまとめている。
   ・[3]については、4.地権者支援関係において地権者等関係者の合意形成に係る具体的な取組を取りまとめている。
   ・[4]については、この再開発事業関係の(3)で用地取得に係る具体的な取組を取りまとめている。
   ・[5]については、3.文化財関係において埋蔵文化財調査に係る具体的な取組を、この再開発事業関係の(3)で不発弾処理に係る具体的な取組を取りまとめている。


(2)再開発事業を迅速かつ的確に行うための具体的な手順について

 1)基本的な取組の方向

 ○従来、既返還跡地の再開発事業事例では、返還地の土地所有者への引き渡し後に、再開発事業のための諸手続等に着手していたことから、結果として返還から事業着手(土地区画整理事業の認可)までに時間を要していた。このため、再開発を迅速に行うには、事業着手までの諸手続等の短縮が効果的であると考えられる。

 ○事業着手までの迅速化の観点から、再開発事業のための諸手続等の関係を踏まえた上で、現時点で想定しうる手続等を幅広く検討したところ、返還前からの関係者の連携・協力した取組の具体的な手順の整理として、主として次の事項が重要と考えられる。
   [1]日米合同委員会の返還合意後、跡地利用計画を踏まえて、速やかに都市計画の手続に着手すること。
   [2]返還後、速やかな事業着手を図ること。
   [3]返還後引き渡しまでの期間を短縮するよう、迅速な原状回復措置に取り組むこと。
   [4]原状回復措置期間中を目途に、文化財の詳細分布調査を了して、再開発事業を円滑に実施する上で重要となる詳細な遺跡の情報を把握すること。

 ○再開発事業を迅速かつ的確に推進するためには、返還合意から原状回復措置期間中までに、返還手続や原状回復措置と並行して、再開発事業のための諸手続等を可能な限り進めることが効果的であると考えられる。

 ○再開発の迅速な実施は地権者等関係者や地域振興に資するものであるが、再開発事業を迅速かつ的確に推進するためには、地権者等関係者の理解の促進を図り、合意形成が円滑に進むよう取り組むことが必要と考えられる。

 ○なお、上記の[3]については5.原状回復措置関係において、[4]については3.文化財関係において、それぞれ整理しているため、ここでは[1]及び[2]を中心に、以下のように整理することとする。

  2)具体的な取組の方向

  ( i )都市計画手続関係

 ○返還跡地の再開発事業については、事業着手の前提として土地利用、都市施設、跡地整備事業等に関する都市計画の手続が必要となることが想定される。
    当該事業を迅速かつ円滑に進めるためには、これらの手続を速やかに進めることが不可欠であり、関係者の連携の下、都市計画手続に取り組むこととする。

 ○そのため、市、県は跡地利用の基本方針を踏まえ策定される具体的な跡地利用計画を基に、速やかに都市計画案を策定し、返還合意後早い時期に都市計画決定が可能となるよう手続を進めることとする。
    なお、その際には、跡地の再開発事業に密接に関連する跡地周辺の都市施設等についても、必要に応じて同時に都市計画決定手続を進められるよう検討することとする。

 ○跡地の再開発事業が大規模である場合には、都市計画の手続と併せて環境影響評価の実施が必要となることが想定されるため、これを適切に実施することとする。

 ○その際には、跡地利用計画策定の段階から関係者間で調整を進め、既存緑地の存置など原状回復後の状態を想定し、原状回復と跡地の再開発開発事業を峻別したうえで方法書を作成し、環境影響評価を実施することとする。

 ○その際、環境影響評価を円滑に実施するためには、跡地利用計画策定の段階から関係者間で情報の共有化を進めるとともに、評価の項目等を記載した環境影響評価方法書において、原状回復措置の内容、原状回復措置との関係を明確にするなど原状回復措置後の状況を想定し、影響評価に取り組むこととする。

 ○都市計画に係る取組の際には、都市計画手続の迅速化のため、地形、文化財等についての既存の立入調査結果等を活用することとする。

 ○また、駐留軍から返還される施設・区域の跡地利用の迅速化のため、日米合同委員会で返還合意された施設・区域について、返還前に立ち入って、跡地利用促進の観点から再開発事業のための調査を実施することは有効と考えられる。このような再開発事業のための返還前の立入調査に関しては滑走路区域等返還後でなければ調査を実施することが困難な区域が想定されるが、国は、県、市と緊密に連携・調整した上で、再開発事業のための返還前の立入調査が円滑に進められるよう、米側は立入申請に際してすべての妥当な配慮を払うとした現行の立入手続に関する日米合同委員会合意を踏まえ、米側の理解と協力を求めることとする。

 ○国は、上記調査のための立入等について米側に協力を求めるときは、必要に応じ、日米合同委員会の枠組みを活用することとする。

  (ii)事業着手関係

 ○返還後速やかに事業実施に係る手続を了し事業に着手するため、返還までにできる限り跡地整備にかかる再開発事業の事業計画の検討を進めることとする。

 ○また、返還後できるだけ早い時期すなわち原状回復措置期間中にも事業着手ができるよう取り組むこととする。

 ○国は、再開発事業の着手手順等も踏まえた原状回復措置の手順及び土地の引き渡しについて、最大限配慮することとする。

 ○また、再開発事業を迅速かつ的確に推進するとの観点から、原状回復措置期間中であっても、その進捗を踏まえ、再開発事業に必要な文化財調査等が並行して実施できるよう、関係者は連携・協力して取り組むこととする。

 ○国は、従来、原状回復措置に伴い掘削した区域は、埋戻しを行い引き渡しているところであるが、当該区域に再開発事業に係る掘削計画があるような場合には、関係者と調整の上、埋戻しをしないまま引き渡すことを検討するなど、再開発事業の実施の際に手戻りが生じないよう配慮することとする。

 ○なお、跡地利用計画、都市計画、事業計画の策定については、それぞれの段階に応じた地権者等関係者の合意形成が必要である。このため、それぞれの段階に応じて地権者等関係者への情報提供や意向把握など地権者等関係者の合意形成の円滑化に係る取組を進めることとする。


(3)再開発事業を円滑に進めるための取組について

 1)用地取得関係

○市は、将来必要となる公共公益施設用地を計画的に確保するため、平成13年度に設置した基地返還跡地転用推進基金を活用して、土地の先行取得を継続的に実施する。
 その際には、基金の継続的な造成及び効率的な運用などの積極的な取り組みを進めることとする。

 ○県は、跡地再開発に関連する公共公益施設整備のため、早い段階からの安定的な土地の先行取得への支援のあり方について、国の協力を得ながら検討を進める。

 ○国は、再開発事業の促進の観点から必要となる国有財産について、県等の整理する具体的事案に基づき、検討・精査した上で、沖縄振興新法の国有財産の譲与等の特例措置の対象とする方向で検討をすることとする。

 ○なお、国は、施設の安定的利用を図るとの観点から、普天間飛行場の民有地のうち特に必要のある土地について、予算の範囲内で買収を予定している。これら買収地についても、普天間飛行場の返還後は上記の国有財産譲与等の特例措置の検討対象となるものである。


 2)不発弾処理関係

○再開発事業を円滑に進めるとの観点から、市は国等の協力を得つつ、不発弾処理対策の現地協議会の常設、不発弾処理に係る関係住民への広報マニュアル作成などに取り組むこととする。


(4)跡地利用計画策定等を踏まえ今後取り組むべき事項について

 ○大規模駐留軍用地跡地にかかる跡地整備事業等を担当する事業実施主体等については、普天間飛行場の跡地利用計画の策定の進捗状況を踏まえて協議を進めることとする。

 ○また、跡地利用計画の策定等が進捗し、現時点では明確になっていないものについても熟度が高まる見込みであることから、その進捗を踏まえ、事業実施主体、事業手法、機能導入等に関するものも含めて再開発事業を迅速かつ的確に推進するためのより具体の措置について、検討を進める必要がある。



3.文化財関係

(1)埋蔵文化財詳細分布調査について

 ○返還前の試掘調査(概ね普天間飛行場全域の半分程度)と既存調査データの整理により、3年後を目途に、跡地利用計画を策定する上で必要となる埋蔵文化財の所在状況の概略を把握して、これを基に遺跡の所在状況の概略を示す遺跡地図の作成を目指すこととする。

 ○返還前及び返還後の試掘・確認調査により、原状回復措置期間中を目途に、再開発事業を円滑に実施する上で重要となるより詳細な遺跡の情報を把握して、より精緻な遺跡地図の作成、遺跡の性格・内容の把握等を目指すこととする。

 ○上記の概略遺跡地図の作成、より精緻な遺跡地図の作成等を目指して、既存調査データ等の活用、実施時期に応じた調査範囲、調査体制の充実、調査手法の効率化、事業費の見込み等を精査した上で、平成13年度中に、県が中心となり、埋蔵文化財の詳細分布調査(現地踏査及び試掘・確認調査)の具体的な実施計画を策定することとする。

 ○なお、詳細分布調査の実施計画の策定に合わせ、埋蔵文化財調査の迅速化及び円滑化のため、埋蔵文化財発掘調査の取扱い基準、埋蔵文化財調査に関する安全基準、発掘調査マニュアルの策定等についても、県が中心となって、検討を進めることとする。

 ○詳細分布調査の実施については、国において、引き続き財政的な支援を行うよう取り組むこととする。


(2)埋蔵文化財の調査体制、調査手法、情報提供等について

 1)埋蔵文化財の調査体制の整備・充実について

 ○県及び市は、試掘調査や詳細分布調査実施計画策定の促進を図るため、平成13年度に専門職員等を拡充したところであるが、詳細分布調査を実施計画に沿って着実に実施していくため、今後、一層の埋蔵文化財の調査体制の整備・充実を進めることとする。

 ○県及び市は、埋蔵文化財の調査期間の短縮や調査の効率化のため、民間調査機関の活用を積極的に図ることとする。
    具体的には、平成13年度から実施している、磁気探査、現場の測量業務、重機による機械作業等についての民間調査機関の活用を、引き続き積極的に図るとともに、遺構等の現場実測、出土品の実測等の作業についても、民間調査機関の活用に向けて検討を進めることとする。

 ○なお、県及び市は、今後さらに大学等との連携・協力についても、検討を進めることとする。


 2)埋蔵文化財の調査手法等の整理について

 ○埋蔵文化財として扱う遺跡の範囲、遺跡の性格・内容に応じた調査の手法等については、県及び市が設置した実務レベルでの検討会において検討を進め、国(文化庁)と調整することとする。

 ○県は、物理探査の導入、最新技術を活用した測量業務の導入など、普天間飛行場内の埋蔵文化財の調査を効率的に進める上で有効な調査手法等について、検討を進めることとする。

 ○なお、埋蔵文化財の調査手法等については、跡地利用計画の具体化の状況や再開発事業の工事内容等に応じて、今後、整理を進めることとする。


 3)埋蔵文化財の情報提供等について

 ○市は、普天間飛行場内の埋蔵文化財調査の進捗状況を踏まえ、埋蔵文化財の台帳・図面・画像・発掘調査等のデータ管理を行う文化財情報管理システムの構築により、関連情報が円滑に提供及び公開できる仕組みを整備することとする。

 ○埋蔵文化財の調査結果については、できるだけ迅速に跡地利用計画、再開発事業の事業計画等に反映できるよう、関係者間での連絡体制の充実に取り組むこととする。


4.地権者支援関係

○既返還跡地においては、跡地利用計画、事業計画等に関する地権者等関係者の合意形成の遅れが跡地利用の遅延要因になっていることを踏まえ、できるだけ早い段階から、地権者等関係者への情報の提供や土地利用意向把握の取組を進める必要がある。

○跡地利用に向けた地権者等関係者への情報提供について、返還手続きに関しては国が那覇防衛施設局(広報室)を窓口として、跡地利用に関しては市が基地政策部(基地渉外課)を窓口として、それぞれ必要な情報を適切に提供できるよう取り組むこととする。

○返還手続きに関しては、返還処理全般、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の運用、原状回復措置等についての情報提供を行うこととする。
    また、跡地利用に関しては、跡地利用計画、再開発事業等についての情報提供を行うこととする。

○なお、窓口の設置などの情報提供に関しては、国、関係地方公共団体の広報誌等により地権者等関係者に周知することとする。

○市は、窓口による情報提供のみではなく、地権者学習会の開催、情報提供誌の発刊、市広報誌の活用などにより、広く地権者等関係者の理解の促進を図ることとする。

○また、国及び関係自治体のホームページを活用した情報提供などにも取り組むこととする。

○返還手続及び跡地利用に関する情報については、国、県、市の担当部局(国においては沖縄総合事務局跡地利用対策課並びに那覇防衛施設局広報室及び施設企画課、県においては振興開発室、市においては基地政策部)が連携して情報を共有し、窓口への地権者等関係者の問い合わせに円滑に対応することとする。

○市は、計画段階に応じた地権者等関係者の意向を的確に把握するため、地権者窓口組織との意見交換等も踏まえ、調査手法や年次計画などを定めた地権者等意向把握の全体計画を策定し、順次計画的に意向調査を実施する。

○国は、市が行う地権者等意向把握の全体計画策定への大規模駐留軍用地跡地利用推進費による支援を行うとともに、合意形成に向けての課題解決のために各種専門家を派遣するなどの合意形成に向けた関係地方公共団体の地権者支援の取組を支援していくこととする。


5.原状回復措置関係

(1)汚染に関する原状回復措置について

 1)調査に関する事項

 ○国は、日米合同委員会の返還合意から返還までの間に、返還される施設・区域の全域について、駐留軍の使用に起因する土壌等の汚染(以下、「汚染」という。)の蓋然性を把握するため、返還前の土地利用の履歴等に関する資料等調査(例えば、過去の航空写真、地形図、建設時の資料並びに県・市及び駐留軍が保有する関係資料の収集、施設・区域周辺住民からの聴取など)を行うこととする。

 ○国は、資料等調査の結果に基づき、汚染の蓋然性があると判断したものについては、その蓋然性のある範囲について、概況調査(土壌等の採取及び分析)を実施し、具体的な汚染の種類及び平面的範囲を特定することとする。

 ○国は、概況調査で特定した範囲について、詳細調査(ボーリングによる深層土壌等の採取及び分析)により、汚染の深度等を調査し、対策をとるべき範囲を確定の上、対策計画を策定することとする。

 ○汚染の調査手法の決定及び対策計画の策定については、環境省指針等(土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針、同運用基準等をいう。)によることとする。

 ○汚染の調査手法の決定及び対策計画の策定に際しては、必要に応じ、専門家等の意見を聴取し、更に、専門家等による委員会等を必要に応じて導入することとする。


 2)除去、処理及び処分に関する事項

 ○汚染については、環境省指針等に基づき、国の責任において適切に除去した後、必要な処理を行った上、処分することとする。

 ○返還地の土地所有者への引き渡し後であっても、駐留軍の使用に起因する土壌等の汚染が発見された場合は、国の責任において、同様に措置することとする。

 ○国は、汚染の処理及び処分に関する最新技術情報の収集及び蓄積を行うことにより、今後とも、より迅速な汚染の処理及び処分に努めることとする。

 ○国は、汚染の調査並びにその除去、処理及び処分に関して、県及び市とさらに連携を図るため、連絡体制の充実に取り組むこととする。


(2)不発弾に関する原状回復措置について

 1) 調査に関する事項

 ○国は、日米合同委員会の返還合意から返還までの間に、返還される施設・区域の全域について、駐留軍の使用に起因する不発弾の蓋然性を把握するため、返還前の使用状況等に関する資料等調査(例えば、建設時の資料及び駐留軍が保有する関係資料の収集、施設・区域周辺住民からの聴取など)を行うこととする。

 ○国は、資料等調査の結果に基づき、不発弾の蓋然性のある範囲を把握したときは、その範囲について、沖縄県の磁気探査実施要領に準拠して、探査計画を策定の上、磁気探査を実施することとする。


 2)除去に関する事項

 ○磁気探査等によって不発弾が発見されたときは、国の責任において適切に除去することとする。

 ○返還地の土地所有者への引き渡し後であっても、駐留軍の使用に起因する不発弾が発見された場合には、国の責任において、同様に措置する。

 ○不発弾処理を含めた原状回復措置を円滑に進めるとの観点から、市は、国等の協力を得つつ、不発弾処理対策の現地協議会の常設、不発弾処理に係る関係住民への広報マニュアル作成などに取り組むこととする。


(3)建物その他の工作物に関する原状回復措置について

 1)調査に関する事項

 ○国は、日米合同委員会の返還合意から返還までの間に、返還される施設・区域全域に所在する駐留軍又は国が整備した建物その他の工作物(以下、この項において「建物等」という。)について、撤去物件の数量等を把握するため、建物等の資料等調査(例えば、建物等リストの作成、駐留軍の資料を含む建物図面等の収集など)を行うこととする。

 ○国は、資料等調査の結果に基づき、撤去工事に必要な建物等の規模、構造及び材質等について、調査を実施することとする。

 ○国は、建物等リストによる情報提供をはじめとして、返還跡地における建物等の譲渡等の利用あっせんを適切に行うこととする。これにより、土地所有者等が利用を希望する建物等について、その再利用を進めることとする。


 2)撤去工事に関する事項

 ○国は、建物等の撤去工事の実施に当たっては、返還地周辺地域への騒音、振動、粉塵等の影響を軽減するため、環境関係法令(各種環境基準、騒音規制法、振動規制法等)に基づき、具体的な工法、工事時間帯等を記載した工事計画を策定し、これに基づいて適切に撤去工事を実施することとする。

 ○なお、国は、工事計画の策定及び撤去工事の実施に当たって、県及び市と連携し、関係住民と十分な調整を行うこととする。

 ○国は、撤去工事の実施に当たっては、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律に基づき、また、ゼロエミッション・アイランド沖縄構想の推進の観点からも、建設資材廃棄物等の再資源化を最大限図ることとする。

 ○建設資材廃棄物等の再資源化に当たっては、再開発事業の基盤整備において利用されうることも念頭に置きつつ、国が実施する提供施設整備工事等においても積極的に活用するよう努めることとする。


(4)返還手続について

  1)返還実施計画に関する事項

 ○普天間飛行場の移設に係る政府方針(平成11年12月28日、閣議決定)に基づき、国が行う汚染物質の調査及び除去、不発弾の調査及び除去並びに建物その他の工作物の撤去についても、返還実施計画に明確に規定するよう所要の政令改正を行うこととし、国は、上記の汚染、不発弾及び建物その他の工作物に関する原状回復措置の方針並びに返還実施計画に基づき、具体の原状回復措置に取り組むこととする。

 ○返還実施計画に特段の規定がなされていない所要の政令改正前の返還跡地についても、国は、上記の原状回復措置の方針に基づき、同様に具体の原状回復措置に取り組むこととする。


  2)跡地利用に資するための返還前の調査等に関する事項

 ○駐留軍から返還される施設・区域の跡地利用に資するため、日米合同委員会で返還合意された施設・区域について、返還前に立ち入って、原状回復措置の一環として汚染、不発弾及び建物その他の工作物の調査を実施することは跡地利用の促進との観点から有効と考えられる。
    国は、かかる立入調査が円滑に進められるよう、米側は立入申請に際してすべての妥当な配慮を払うとした現行の立入手続に関する日米合同委員会合意を踏まえ、米側の理解と協力を求めるものとする。

 ○国は、返還前の原状回復措置の一環としての調査のための立入、施設・区域の使用実態に関する資料の提供等について、米側に協力を求めるときは、必要に応じ、日米合同委員会の枠組み(施設分科委員会等)を活用することとする。



6.自治体財政関係

○普天間飛行場の返還及び跡地利用に伴い、市の財政は、歳出面、歳入面での変動が予想されることから、財政運営の観点から検討を進めているが、今後、跡地利用計画の策定に向けた取組が進むため不確定な要素が残るものの、現時点では概ね次のような傾向が認められた。

○普天間飛行場跡地の再開発事業に係る基盤整備については、市が既返還跡地の規模の大きな事例等を参考に試算したところ、財政運営上、事業実施の見込みはある程度得られるものの、市が想定している公園など地区内において大規模な公共施設の整備を行うこととした場合は、その整備手法、主体などによっては財政運営に及ぼす影響が大きい場合も考えられることから、跡地利用計画の策定と併せ、これらについて引き続き検討する必要があること。

○再開発事業と関連する、学校等施設整備、アクセス道路整備、周辺市街地整備などの事業については、跡地利用計画の策定と併せ、その必要性等について精査するとともに、実施時期を工夫するなど投資の平準化を図った上で、検討を進める必要があること。

○事業終了後まで含めた長期的な検討を進めたところ、再開発によるまちの成熟に伴い、税収等の伸びを期待でき、財政運営に寄与すると見込まれること。
   これを踏まえ、さらに今後の財政状況を勘案しつつ、市の財政負担の平準化について検討する必要があること。

○基地関連収入の変化等により、財政運営に過大な影響を及ぼさないような取組を進める必要が認められること。

○このような財政推計が、再開発を進める上で有用であることに鑑み、市は、国及び県と連携しながら、跡地利用を円滑に進めるため、3〜4年後を目途に策定される跡地利用計画の基本方針等を踏まえ、財政計画の策定に取り組むこととする。



7.国有財産関係

○国有財産の活用方策については、現行の国有財産の譲与等の特例措置の活用を踏まえつつ、沖縄振興新法の検討に併せて検討を進めてきたところである。

○閣議決定にある跡地利用の促進及び円滑化のための施策としての、国有財産の特例措置については、沖縄振興新法の通則的部分に包含する方向で検討することとする。

○跡地利用の促進の観点から必要となるものについては、県等の整理する具体的事案に基づき、検討・精査した上で、当該特例措置の対象とする方向で検討することとする。



8.給付金関係

○給付金支給にかかる特例措置については、跡地利用の促進及び円滑化のための施策として、沖縄振興の観点から重要な課題であることに鑑み、沖縄振興新法に盛り込む方向で検討を進めることとする。

○大規模駐留軍用地跡地にかかる給付金支給に関する特例措置及び大規模駐留軍用地跡地以外の駐留軍用地跡地にかかる給付金支給に関する特例措置については、閣議決定を踏まえ、具体的に検討を進めることとする。



9. 駐留軍従業員雇用関係

○駐留軍従業員の雇用対策については、出来る限り移設先又は既存施設への配置転換により雇用の継続を図ることを基本として対応することとする。

○雇用の安定的確保に向けて、知識技能の修得のための職業訓練対策の強化を図ることとする。

○具体的には、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき従来から実施している離職前職業訓練について、個人の自発性を尊重して職業能力開発ができるよう支援等するため、所要の訓練期間の確保、訓練種目の拡充及び受講の機会の拡充に努めることとする。

○また、平成12年度から新たに実施している普天間飛行場等のSACO関係米軍施設に在籍している者に対する技能訓練について、対象となる従業員が多様な職業能力開発ができるよう、引き続き着実に実施していくこととするとともに、訓練種目の一層の拡充に努めることとする。

○駐留軍従業員の労務管理等事務の独立行政法人化に当たっては、駐留軍従業員の雇用対策について、沖縄県からの円滑な業務の移行を図りその継続性を確保するとともに、引き続き業務の効率性・効果的な実施が図れるよう雇用主として万全の措置を講じることとする。

○なお、現行の沖縄振興開発特別措置法における沖縄失業者求職手帳制度については、沖縄振興新法に盛り込む方向で検討を進めることとする。



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