沖縄県駐留軍用地跡地利用対策沖縄県本部跡地対策の体制>跡地対策準備協議会 第2回資料
第2回跡地対策準備協議会(平成12年8月24日)



取組分野ごとの課題についての中間的な整理


                             平成12年8月24日
                             跡地対策準備協議会


 跡地対策準備協議会の第1回会合(平成12年5月31日)において、普天間飛行場の跡地利用の諸課題について、今後取組むべき分野の明確化が図られたとともに、事務レベルの跡地対策に係る検討の中間的な整理について取りまとめることが決定された。

 これを受け、6月14日には沖縄において、跡地対策プロジェクトチーム会合を開催し、沖縄県・軍用地跡地利用促進連絡協議会及び宜野湾市・軍用地跡地開発プロジェクトチームとの意見交換を行い、翌6月15日には、跡地対策プロジェクトチームのメンバーにより、普天間飛行場をはじめとする現地視察を行ったところである。

 これらを踏まえ、政府、沖縄県、宜野湾市の事務レベルで連携・協力して検討を進め、以下のとおり、取組分野ごとの課題について現時点での検討の中間的な整理を取りまとめたところである。



1.返還手続関係
 (返還実施計画に関する事項、調査の早期・円滑な実施に関する事項、等)

○返還跡地の利用の促進及び円滑化に資するため、返還実施計画に新たに記載する事項(汚染物質の調査及び除去、不発弾の調査及び除去並びに建物その他の工作物の撤去)の具体的内容等について検討を進めることとする。

○返還が予定されている米軍施設・区域の跡地利用を早期に立ち上げるため、返還が合意された施設・区域に立ち入って事前の調査を実施する必要がある場合には、かかる立入調査が円滑に進められるよう、現行の立入手続を踏まえて、米側との調整を鋭意進めることとする。

○返還跡地の再開発事業を迅速かつ的確に推進するため、跡地利用計画や再開発事業の着手手順等を踏まえて、原状回復措置(物件撤去、汚染物質除去、不発弾除去)、引渡しを行うよう検討を進めることとする。



2.環境関係
 (汚染物質の調査及び除去に関する事項、環境影響評価の円滑な実施に関する事項、等)

[汚染物質関係]

○米軍の使用に起因する汚染物質の調査及び除去については、原状回復措置の一環として、国がその責任において、返還跡地において必要な調査を行い、その結果、汚染物質が発見された場合には、適切に除去することとする。

○汚染物質に関する調査手法等の決定に際しては、専門家等による委員会等を必要に応じて導入することについて検討を進めることとする。

○なお、土地所有者への引渡し後であっても、米軍の使用に起因する汚染物質が確認された場合には、原状回復措置の一環として、国の責任で適切に除去することとする。


[建物その他の工作物関係]

○返還跡地における原状回復措置として行う建物その他の工作物の撤去により発生する建設廃材等については、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律及びゼロエミッション・アイランド沖縄構想の視点を踏まえ、最大限再資源化に取り組むこととする。

○返還跡地における建物その他の工作物の譲与等のあっせんを適切に行い、地権者等が利用を希望する建物その他の工作物については再利用を進めることとする。


[環境影響評価関係]

○返還跡地の再開発事業に関しては、大規模であること等から、環境影響評価の実施が想定されるところであるが、環境影響評価を円滑に実施するため、動植物、地形・地質、水質等に関して、既存データをはじめとする関連情報について、体系的な整理を進めることとする。



3.不発弾関係
 (不発弾の調査及び除去に関する事項、等)

○返還跡地における不発弾の調査及び除去については、普天間飛行場におけるこれまでの不発弾処理状況をはじめとした関連情報の収集を進め、再開発事業の円滑な実施も念頭に置きながら、具体的な実施方策について検討を進めることとする。



4.文化財関係
 (文化財調査の円滑な実施に関する事項、等)

○普天間飛行場における埋蔵文化財等については、既に一部において分布・試掘調査が実施されているが、これまでに、埋蔵文化財包蔵地が約50ケ所、その他の文化財も相当数存在することが確認されているところであり、その数はさらに増加することが見込まれている。

○返還跡地の再開発事業と文化財保護との円滑な調整を図るため、埋蔵文化財の所在や分布状況について、より詳細に把握できるよう、返還前のできるだけ早い時期から、計画的に詳細分布調査(現地踏査及び試掘・確認調査)の実施を進めることとする。

○詳細分布調査の実施については、国において、財政的な支援を行うよう取り組むこととする。

○文化財の調査及び保護を円滑に行うため、埋蔵文化財の調査に際しては、県・市において、適切な役割分担と調査方法等の検討を進めるとともに、調査体制の整備・充実を進めることとする。



5.給付金関係
 (給付金支給にかかる特例措置に関する事項、等)

○大規模駐留軍用地跡地にかかる給付金支給に関する特例措置及び大規模駐留軍用地跡地以外の駐留軍用地跡地にかかる給付金支給に関する特例措置については、閣議決定において、跡地利用の促進及び円滑化のための措置として、新たな法制の整備により対応することとなっていることを踏まえ検討を進めることとする。

○大規模駐留軍用地跡地にかかる給付金支給に関する特例措置については、大規模駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特例措置との関係も念頭に置いて検討を進めることとする。



6.自治体財政関係
 (返還に伴う地元自治体の財政に関する事項、等)

○普天間飛行場の返還及び跡地利用に伴い、宜野湾市の財政は、歳出面、歳入面での変動が予想されることから、財政運営上の影響の度合いをできるだけ的確に把握することとする。



7.駐留軍従業員雇用関係
 (駐留軍従業員の雇用対策に関する事項、等)

○駐留軍従業員の雇用対策については、出来る限り移設先又は既存施設への配置転換により雇用の継続を図ることを基本として対応することとする。

○雇用の安定的確保に向けて知識技能の習得のための職業訓練対策の強化として、従来から実施している離職前職業訓練とは別に、普天間飛行場等のSACO関係米軍施設に在籍している者に対する技能教育訓練を、着実に実施していくこととする。



8.跡地利用計画策定関係
 (跡地利用計画の策定手続きに関する事項、導入機能の検討に関する事項、等)

○跡地利用はまちづくり、地域づくりに直結することから、その計画策定については、関係地方公共団体の主体的な取組が不可欠であるが、普天間飛行場の跡地利用については、大規模性や地理的位置等から、宜野湾市全体、中南部都市圏、ひいては沖縄全体の振興にも影響が及ぶものとなっていることを踏まえ、地元の自主性を尊重しつつ、国、県、市の強力な連携により全力で取り組むこととする。

○跡地利用計画の策定に当たっては、中南部都市圏における位置付けや周辺市街地との関係に留意し、賑わいのある地域づくりとともに、潤いとゆとりのある生活空間の形成を目指し、取組を進めることとする。

○跡地利用計画の策定に向け、計画の前提となる広域的観点からの諸条件の整理や、跡地利用において求められる機能導入についての基礎的諸条件の整理について、取組を進めることとする。

○跡地利用計画の策定を円滑に実施するため、文化財、地形・地質、動植物等に関して既存データをはじめとする関連情報について、体系的に整理を進めるとともに、国、県、市の担当窓口(国においては沖縄総合事務局跡地利用対策課及び那覇防衛施設局施設企画課、県においては振興開発室、市においては基地政策部)を中心として関連情報の共有化を図ることとする。

○再開発事業を迅速かつ的確に推進するため、返還前に返還手続きと並行し跡地利用のための諸調査等を実施することや、原状回復期間中に並行して再開発事業にかかる調査・手続き等を進めることなど、返還前から跡地利用に至る関係者の連携・協力した取組の具体的な手順の整理を進めることとする。



9.再開発事業関係
 (再開発事業を迅速かつ的確に推進するための特別措置に関する事項、等)

○これまでの返還跡地の利用においては、返還区域及び返還時期の明示の遅れ、各種調査着手の遅れによる跡地利用計画等の策定の遅れ、跡地利用計画及び事業計画に関する関係地権者の合意形成の遅れ等が遅延要因であったと考えられるが、再開発事業を迅速かつ的確に推進するため、既返還跡地の遅延要因について更に分析及び整理を進めることとする。

○再開発事業の実施に当たり、返還後早期の土地利用が可能となるように、事業計画策定に必要な調査及び手続きの早期着手、原状回復期間中に並行して再開発事業にかかる調査・手続き等を進めることなど、について検討を進めることとする。

○大規模駐留軍用地跡地にかかる跡地整備事業等を担当する事業実施主体等については、普天間飛行場の跡地利用計画の策定の進捗状況を踏まえて協議を進めることとする。



10.地権者支援関係
 (関係権利者の合意形成支援方策に関する事項、等)

○普天間飛行場はその大半を民有地が占めているが、跡地利用の円滑化にとっては関係地権者の合意形成が最も重要な要素の一つであることから、跡地利用に向けての地権者の意向把握、必要な情報の提供等の効果的な支援方策について検討を進めることとする。



11.国有財産関係
 (国有財産の活用方策に関する事項、等)

○国有財産の活用方策については、現行の国有財産の譲与等の特例措置の活用を踏まえつつ、沖縄振興新法の検討に併せて検討を進めることとする。






中間的整理を踏まえた今後の取組について


                             平成12年8月24日
                             地対策準備協議会


1. 普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等については、今回取りまとめられた「取組分野ごとの課題についての中間的な整理」を基に、引き続き政府、沖縄県、宜野湾市が相互に密接な連携及び協力を図りながら、更に鋭意検討を進めるものとする。


2.  
(1) 検討に当たっては、「取組分野ごとの課題についての中間的な整理」において確認された分野ごとの課題の特性を踏まえ、政府、沖縄県、宜野湾市がそれぞれ重点的に取り組む事項について、主として次のように分担しながら、更に具体的な検討を進めるものとする。

  ○政府においては、当面、返還実施計画に関する事項、大規模駐留軍用地跡地の利用の促進に関する特別措置、給付金支給に関する特別措置など新たな法制の整備等の制度的な検討が必要な事項等。

  ○沖縄県及び宜野湾市においては、当面、跡地利用計画に関する事項、文化財調査に関する事項、地権者の合意形成支援に関する事項等の現地に即して検討することが必要な事項等。

(2) なお、それぞれが重点的に取り組む事項についても、必要に応じ、課題ごとに政府、沖縄県、宜野湾市の間で事務レベルによる意見交換を行うなど、引き続き相互に連携・協力して取り組むものとする。


3. 次回以降の準備協議会においては、それぞれの進捗状況に応じて、取組分野ごとの検討・取組状況について、逐次報告を求め協議を進めることとし、来年春以降できるだけ早い時期に一定のとりまとめができるよう取り組むこととする。



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