令和7年第1回沖縄県議会(Ⅱ令和7年度の施策の概要について)
Ⅱ 令和7年度の施策の概要について
次に、これまで申し上げた取組に加え、令和7年度に主に取り組んでいく施策の概要について、御説明申し上げます。
第1は、「経済分野」に関して―新時代沖縄の到来の視点―であります。
まず、企業の「稼ぐ力」の強化と産業の振興について申し上げます。
県民所得の着実な向上を図るためには、企業の稼ぐ力の強化や持続的な成長型経済への移行を見据えた取組を進め、成長と分配の好循環を実現することが重要であります。
このため、中小企業者等の支援については、経営基盤の強化に向け、収益力向上、経営革新など持続的な成長や経営課題の改善を促す取組を推進してまいります。
「稼ぐ力」の強化に向けては、「おきなわブランド戦略」を推進し、農林水産・商工・観光分野の地域産業間連携を促進してまいります。
また、リゾテックおきなわの推進により産業DXを加速化させるとともに、官民連携で開催する国際IT見本市等を通じて、他産業とのビジネス交流機会を創出してまいります。
情報通信産業については、商品・サービスの高付加価値化、新たな市場への展開や高度な開発案件の受注の促進、IT人材の育成・確保等の推進等により、生産性の高い産業構造へ転換を図ります。
沖縄がアジアにおけるスタートアップの創出・成長拠点となれるよう、グローバルに活躍するスタートアップの創出・育成を目指し、海外展開支援等に取り組みます。
テストベッド・アイランドの形成に向けて、先端的な技術やサービスの社会実装を目指す実証実験プロジェクトの支援に取り組むとともに、企業間の連携等によるオープンイノベーションの取組を支援することで、新たなビジネスの創出や地域課題の解決につなげてまいります。
産学官金の有機的な連携によるイノベーション・エコシステムの構築に向け、OISTや琉球大学をはじめとする県内大学等が実施する産学連携の共同研究支援や、その研究成果の企業への技術移転の促進に取り組んでまいります。
ものづくり産業については、生産性の向上や企業連携による製品開発、受発注の促進に取り組むとともに、「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを契機とし、泡盛の更なる販路拡大に繋がるよう、業界が行う自立に向けた取組を引き続き支援します。バイオ産業分野では、産学官金の連携のもと、事業化支援や人材確保に取り組みます。工芸産業分野では、事業者の経営基盤強化や販路開拓支援等の取組に加え、戦後80年を記念した工芸展をおきなわ工芸の杜において開催します。
域内経済循環の促進については、付加価値の高い製品開発や生産性向上に資する取組への支援に加え、県内の企業連携による受発注の促進等に取り組むことによって、域内自給率の向上につなげてまいります。
国内外への市場拡大については、高付加価値県産品の創出や新たな商流の構築に向けた取組の支援など、グローバルマーケットへのビジネス展開を戦略的に推進してまいります。
国際物流拠点の形成を推進するため、那覇空港における輸送モデルの拡充等、航空物流ネットワークの充実に取り組みます。
また、那覇空港におけるMRO格納庫の拡張調査を行うなど、航空関連産業クラスターの形成に向け取り組んでまいります。
さらに、下地島空港等の離島空港を活用した航空・宇宙関連産業の展開を推進します。
世界から選ばれる持続可能な観光地の形成について申し上げます。
地域社会、経済、環境の3つの側面において適切なバランスを長期的に維持し、旅行者・観光客と地域・住民が価値を共有するサステナブル/レスポンシブルツーリズムの推進を図ってまいります。
高付加価値な観光資源開発を支援し、富裕層インバウンドを取り込むとともに、DXの活用による多彩かつ質の高い観光の推進、災害時等における観光危機対策の強化に取り組みます。
受入体制の強化を図るため、観光人材の育成・確保、観光地間を結ぶバスへの支援、観光2次交通結節点の設置などに取り組みます。
北部地域における新たなテーマパークの開園にかかる交通環境の整備及び交通利便性の維持向上に向け、引き続き関係者及び関係市町村等と連携してまいります。
沖縄観光の更なる振興に向け「観光目的税(仮称)」の導入に向けて、引き続き調整を図ります。
過去の国際大会の開催で得たノウハウやレガシーを活用した「ラグザス presents 第32回 U-18 野球ワールドカップ」の開催支援や、戦後80年の節目に沖縄から世界へ平和を発信することで、沖縄らしいスポーツコンベンションの推進に取り組むとともに、Jリーグ規格スタジアムの整備については、実施方針の策定を進め、令和13年度の供用開始を目指して取り組んでまいります。
令和16年度に本県で開催予定の国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会に向け、「国スポ・全スポ大会準備室(仮称)」を設置し、取組を進めてまいります。
沖縄国際海洋博覧会の開催から50周年を迎えることから、これまでの50年を振り返るとともに、沖縄県の未来への発展に向けて記念事業を実施します。
農林水産業の振興について申し上げます。
本県の気候や地理的特性を最大限に生かした、魅力と活力ある持続可能な農林水産業の実現に向け、おきなわブランドの確立、輸送コストの低減対策や戦略的な販路拡大・高付加価値化等による域外所得獲得力の向上に取り組んでまいります。
さとうきびについては、生産性向上を図る取組や、老朽化した製糖工場設備の整備等を推進してまいります。
また、担い手の育成・確保や経営力強化に向けた取組、特殊病害虫等の侵入防止や特定家畜伝染病対策の強化、生産性の向上に資するスマート農林水産技術の開発と普及、県内ホテル・飲食店等との連携による地産地消の推進、農山漁村地域における各種ツーリズムに係る取組の支援、地域特性に応じた基盤整備や農山漁村地域の強靱化対策を推進し、生産性と収益性の向上に取り組んでまいります。
畜産業については、生産基盤の強化、産業獣医師の確保、飼料自給率の向上等による畜産農家の経営安定化に向けた取組など、各種施策を推進してまいります。
林業については、自然環境に配慮した森林施業(せぎょう)のほか、県産きのこ類の生産振興等、持続可能な林業の推進に向け、取り組んでまいります。
水産業については、持続可能な資源管理型漁業や沖縄型のつくり育てる漁業の振興を図ってまいります。
また、引き続き、日台漁業取決め及び日中漁業協定の見直しを求めるとともに、地域外交の一環としてパラオ共和国等との水産技術交流等を着実に進めてまいります。
働きやすい環境づくりと多様な人材の活躍促進について申し上げます。
人手不足への対応については、「人手不足対策アクションプラン」に基づき、若年者、女性、高齢者、障害者など多様な人材の活躍促進や、UIJターン者の県内企業への就職を促進します。
また、企業に対しては、正規雇用化の支援や外国人材の受入環境整備等を図るほか、各取組の好事例を周知するなど、企業等における人手不足対策を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスや、男性の育児休業取得を促進するなど、働きやすい環境づくりに取り組みます。
県内企業の稼ぐ力の強化とあわせて、奨学金返還支援や人材育成企業認証制度、所得向上応援企業認証制度の普及拡大など、積極的な人材投資や所得向上につながる取組を推進します。
人材育成については、企業等が行う社員研修やリスキリングの取組を支援するとともに、デジタルリテラシーの向上やDX推進リーダーの育成等に取り組みます。
教育分野においては、創造性・国際性に富み、変化に対応できる人材を育成するため、外国語・国際理解教育、情報教育、科学技術・理数教育の推進に取り組んでまいります。
また、産学官相互が恒常的に対話し地域課題の解決を図る「地域連携プラットフォーム(仮称)」の構築に向け、準備会合を開催するなど引き続き大学等と連携してまいります。
自立的発展の実現に向けた基盤整備について申し上げます。
「沖縄県DX推進計画」のもと、職員のデジタルリテラシー向上やデジタル人材の育成に取り組むとともに、外部の知見も活用しながら、生活、産業、行政など、様々な分野のDXを推進します。
PPP/PFIの推進について、部局横断的に対応するためのマトリックス組織を企画部に設置し、部局間の横串機能を強化することで、各事業の着実な進展を図ってまいります。
過度な自家用車利用から公共交通利用への転換を図るため、沖縄都市モノレール3両車両の追加導入及び新車両基地の整備に取り組むとともに、引き続き、県民が路線バスを乗車体験する機会を創出します。また、市町村及び交通事業者と協力し、基幹バスシステムの導入や交通結節点の整備促進など、切れ目のないシームレスな交通体系の構築に取り組むとともに、バスやタクシー等の運転手等の確保に取り組んでまいります。
「ハシゴ道路」ネットワークの構築を図るため、国が実施する沖縄西海岸道路や那覇空港自動車道等の整備を促進し、県が実施する南部東道路、県道浦添西原線、池武当IC等の整備を推進します。また、主要渋滞箇所における渋滞ボトルネック対策についても取り組んでまいります。
那覇港については、新港ふ頭地区の整備促進や浦添ふ頭地区の早期整備に向けた取組など、沖縄県の持続可能な発展の推進力となる「みなとづくり」に取り組みます。
中城湾港については、新港地区における港湾機能の強化・拡充、泡瀬地区におけるスポーツコンベンション拠点の形成等に向けて取り組みます。
防災面での機能も併せた電線共同溝により、離島地域を含めた無電柱化を推進するとともに、街路樹等の適正管理及び官民連携を推進し、良好な沿道景観の創出に取り組んでまいります。
県土の均衡ある持続可能な発展に向けた「沖縄県東海岸サンライズベルト構想」を踏まえ、東海岸地域の特性や豊かな歴史・文化資源、自然環境などの強みを最大限に生かし、各種取組を推進してまいります。
第2は、「平和分野」に関して―誇りある豊かさの視点―であります。
まず、米軍基地から派生する諸問題の解決と駐留軍用地の跡地利用について申し上げます。
米軍基地が集中することにより、沖縄県民は過重な基地負担を強いられ続けています。普天間飛行場、嘉手納飛行場やその他の訓練場の周辺住民は、昼夜を問わない訓練等により、騒音などに苦しめられ続けています。特に嘉手納飛行場では、騒音や悪臭、外来機の度重なる飛来やパパループの一時使用、無人偵察機の配備に加え、SACO合意を無視するかのようにパラシュート降下訓練が恒常的に行われている状況です。また、米軍人等による事件・事故も跡を絶たず、令和5年12月以降、米軍人による女性への性的暴行事件が5件も発生しています。
このような凶悪な犯罪が跡を絶たない背景には、日本側が裁判権を持つ場合でも、原則、米軍人である被疑者の身柄が、起訴前に日本側に引き渡されない旨を規定する日米地位協定にもあると考えています。米側に裁量を委ねる形となる運用改善では不十分であり、同協定の抜本的な見直しが必要であると考えているため、沖縄県が平成29 年度から令和4年度にかけて実施した他国地位協定調査の結果を活用しながら、引き続き、全国知事会や渉外知事会等とも連携して取り組んでまいります。
昨年12月、在沖米海兵隊のグアム移転について、県内の海兵隊員約100名が移転を開始するとの発表がありましたが、具体的な移転スケジュール等は示されておりません。沖縄県としては、引き続き明確な移転計画を示すとともに、一日も早くグアム移転が完了するよう、確実な実施を求めてまいります。
普天間飛行場については、引き続き、普天間飛行場負担軽減推進会議等において、同飛行場の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去、県外、国外移設及び早期閉鎖・返還を日米両政府に求めてまいります。
辺野古新基地建設問題については、引き続き、政府に対し対話による解決策を求めるとともに、トークキャラバン等を通じ、辺野古新基地建設に反対する県民世論及びそれを踏まえた私の考えを広く国内外に伝え、問題解決に向けた国民的議論を喚起し、理解と協力を促してまいります。
昨年11月の有害物質と廃棄物に関する国連特別報告者マルコス・A・オレリャーナ氏の招へいにおいては、関係者との面談、米軍基地周辺の現地視察等を通して、PFAS等の米軍基地から派生する環境問題などの現状を理解していただくことができ、今後も国連の場等において沖縄の問題を取り上げていただくことが期待されます。
引き続き、国連関係者や海外有識者等の沖縄への招へいに取り組むとともに、国際社会に対して、沖縄の基地負担の軽減や辺野古新基地建設問題、基地から派生する諸問題の解決の必要性を訴えてまいります。
また、法定受託事務について、地方公共団体が自ら責任を持って行った処分を国が裁決で取り消す「裁定的関与」を認めている現行の法制度は公平・公正なものとは言えず、憲法に定める地方自治の本旨をも形骸化させる重大な問題を生じさせていることから、全国知事会と連携し、地方自治法等の改正による「裁定的関与」の見直しを国に対して強く求めてまいります。
沖縄の基地問題の解決を図るためには、日本政府のみならず、一方の当事者である米国政府に対しても沖縄県自らが直接訴えることが重要であると考えております。
これまでも、訪米活動やワシントン駐在の活動等を通じて、普天間飛行場の現状と辺野古新基地建設の技術的課題をはじめ、米軍基地周辺のPFOS等の問題、米軍人軍属による事件・事故の発生状況などを説明してきたところであり、このような取組に加え、今月には、アメリカン大学教授のピーター・カズニック氏を招へいし、基地問題を考えるシンポジウムを開催したところです。
同氏におかれては、今後、米国内において、沖縄の基地問題に関する情報発信をしていただくことが期待でき、これにより基地問題の解決の促進が図られるものと考えております。
今後も、連邦議会議員等との継続的な意見交換やネットワークを構築することが重要と考えており、引き続き、ワシントン駐在において、米国内での情報収集や情報発信等に取り組むとともに、私が適切な時期に訪米し、米国政府、連邦議会議員の理解と協力を得るため、沖縄の米軍基地問題の実情等を訴えてまいりたいと考えております。
航空機騒音については、嘉手納、普天間飛行場周辺において測定・監視調査を実施するとともに、夜間における実態も把握し、日米両政府に対して騒音の軽減を強く求めてまいります。
また、PFOS等の環境中の残留状況については、米軍基地周辺で高濃度で検出されていることから、引き続き調査を行ってまいります。
多様な発展可能性が潜在する返還予定地について、関係市町村等と連携し、県土構造の再編につながる跡地利用に向けた取組を推進します。
尖閣諸島を巡る問題については、中国海警船の接続水域における年間航行日数が昨年、過去最多を記録するなど、我が国の領土・主権を侵害しかねない行為が頻繁に生じております。
昨年11 月の日中首脳会談においては、石破総理が尖閣諸島を巡る情勢等について深刻な懸念を伝え、中国側の対応を求めるとともに、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築という大きな方向性を共有していることが確認されております。
沖縄県としては、引き続き、関係機関と連携を図り、日本政府に対し、冷静かつ平和的な外交・対話を通じて日中関係の改善を図ること等を求めてまいります。
地域外交の推進について申し上げます。
令和7年度は、米国ハワイ州との姉妹提携40周年に当たることから、両地域において記念式典等を開催し、様々な交流事業を実施します。
また、中国福建省との友好県省、韓国済州特別自治道との友好協力都市協定、パラオ共和国とのMOUなどに基づく相互交流を進めるとともに、昨年、オブザーバー加入した北東アジア地域自治体連合(NEARニア)のネットワークを活用した取組を進めてまいります。また、県の海外事務所のさらなる活用により、アジア太平洋地域との連携を促進してまいります。
さらに、市町村や民間団体等との協働により様々な分野における国際的な取組を促進するとともに、JICAをはじめとする支援機関との連携により、太平洋島しょ国・地域への国際協力や南米等のウチナーネットワークを活用した取組を推進します。
加えて、駐日外国公館と連携した取組を進めるとともに、国連やASEANなどの国際機関との関係構築を図ることにより、国際社会における沖縄のプレゼンスを高め、国際機関や国際会議の誘致等につなげることを目指します。
併せて、沖縄県が主導する国際会議「万国津梁フォーラム」を開催し、地域の安全保障や軍縮、海洋問題、災害支援、そして環境や医療、人権問題等の人間の安全保障などについて、国内外有識者等による会議やシンポジウムを通して沖縄を対話の場とするべく取り組んでまいります。
平和を希求する「沖縄のこころ」の発信と継承について申し上げます。
今年は沖縄戦終結から80 年を迎えるにあたり、戦後90年、100年といった長期的な視点に立ち、「恒久平和に向けたビジョン(仮称)」の策定に向けた取組を推進するほか、沖縄戦の実相・教訓を正しく次世代に伝えていくため、平和祈念資料館のリニューアルに向けた取組、平和の礎の発信力強化、平和学習の充実、次世代へ語り継ぐ担い手の育成・確保等の取組を推進してまいります。
第32軍司令部壕については、戦争体験や教訓の風化が懸念される中、戦争の不条理さ、残酷さ、平和の尊さを次世代に伝える「物言わぬ語り部」としての同壕の保存・公開に向けた取組を進めていきます。
沖縄全戦没者追悼式においては、国連事務次長や沖縄戦犠牲者の関連国・地域にゆかりのある若者を招待するなど、平和への強い思いを県内外へ発信するほか、県が建立したサイパンやフィリピンの慰霊塔への参拝や、戦没者の慰霊を通じ、平和の尊さの継承を図ります。
ウチナーネットワークの継承・発展・強化、多文化共生社会の構築について申し上げます。
ウチナーネットワークの継承・発展・強化に向け、国内外のウチナーンチュとの絶え間ない交流や、交流の架け橋となる人材育成、新たな国や地域との交流促進に取り組みます。
加えて、南米のウチナーネットワークとの連携強化を図るための連絡事務所や、世界のウチナーンチュの心の拠り所となる「世界ウチナーンチュセンター(仮称)」の設置に向けた取組を進めてまいります。
また、多文化共生社会の構築に関する万国津梁会議の提言を踏まえ、在住外国人等が住みやすい地域づくりや県民の異文化・国際理解促進等、幅広い分野の交流推進に取り組みます。
心豊かで、安全・安心に暮らせる島づくりについて申し上げます。
全ての県民の尊厳を等しく守り、互いに尊重し合う共生の社会を目指し、パートナーシップ制度を導入するなど、多様な性の尊重や不当な差別のない社会の形成に関する施策を推進してまいります。
女性があらゆる分野で活躍できる社会づくりのため、女性のスキルアップや、ジェンダー平等の意識啓発等を推進するとともに、DVや性暴力、国際的な家庭問題等、様々な困難を抱える女性への支援について、相談支援体制の充実に取り組みます。
「沖縄県犯罪被害者等支援計画」に基づき、犯罪被害者等見舞金制度などの犯罪被害者等支援に関する各種施策の推進に取り組むとともに、消費者啓発・教育の推進、市町村の消費生活相談体制の充実に取り組みます。
多様化し深刻さを増す特殊詐欺やサイバー空間の脅威等に対処し、社会の変化に対応する警察基盤を構築するほか、交通事故のない沖縄県を目指し、関係機関と協力して交通ルール・マナーの遵守及び飲酒運転根絶の取組を推進します。
また、DV・ストーカー・虐待事案の未然防止や水難事故防止対策など、部門横断的な取組を推進するほか、「ちゅらさん運動」に基づく犯罪抑止対策を一層深化させます。
加えて、観光客に安全・安心なマリンレジャーを提供するため、海の危険性及び正しい知識を周知広報するとともに、自然海岸及び宮古・八重山圏域等での巡回を強化し、水難事故防止に向けて取り組んでまいります。
大規模災害等に備えた強くしなやかな県土づくりに向けては、道路、港湾、河川、砂防関係施設、海岸保全施設等社会基盤の計画的な整備や補修・更新・耐震補強等のハード対策と併せて、河川流域全体で関係者が協働し水害を軽減させる流域治水など防災・減災対策に取り組むほか、民間施設などの耐震化に向けた取組を推進します。また、災害を未然に防止するための河川の浚渫(しゅんせつ)や道路の予防保全に取り組むとともに、災害が起きた際には、迅速な応急対応ができるよう体制整備に取り組んでまいります。
防災対策の強化については、災害時における備蓄物資等の避難所までの輸送を円滑に実施するためのマニュアルを作成するとともに、災害への即応体制を整えるため、対策本部等の設置基準等の見直しを進めるほか、消防防災ヘリの導入に向け取り組んでまいります。
戦後処理問題については、不発弾処理及び所有者不明土地問題の早期解決に向け取り組みます。また、戦没者の遺骨収集については、国と連携するとともに、戦没者遺骨収集情報センターの周知を積極的に行うなど、さらなる推進を図ってまいります。
第3は「生活分野」に関して―沖縄らしい優しい社会の構築の視点―であります。
まずは、子育て支援・福祉サービスの充実について申し上げます。
家庭の経済状況によって、こどもたちの学びや体験に格差が生じないよう「沖縄こどもの未来県民会議」と連携して、児童養護施設退所者等への給付型奨学金や、新たな体験メニューの創出に取り組むとともに、食品等の安定供給体制の整備によるつながる仕組みの構築、放課後児童クラブの設置促進など、こどもの安全・安心な居場所等の設置・拡充や、無料塾などの多様な学習支援に取り組みます。
全てのこどもの健やかな育ちと子育てを支えるため、乳幼児期における質の高い教育・保育の提供や、子育て世帯のニーズや地域の実情に応じた多様な子育てサービスの提供に取り組むとともに、ひとり親家庭等の生活の支援、就労や雇用の質の改善等、生活の安定と自立に向けた取組を推進します。
若年妊産婦等に切れ目なく支援を行うため、こども家庭センターの設置促進等、相談支援体制の強化を図るほか、関係機関と連携し、社会生活を営む上での困難を有するこども・若者やその家族等に対する多角的な支援に取り組みます。また、先天性疾患の早期発見のための新生児マススクリーニング検査の拡大を図ります。
待機児童の解消に向けて、保育士等の処遇改善状況を把握するための給与の見える化や負担軽減などの労働環境等の改善に取り組むとともに、認可外保育施設を含めた幼児教育・保育の安全確保と質の向上に取り組みます。
こどもの最善の利益を念頭に、児童虐待防止に向けた取組を推進するとともに、ヤングケアラーの支援、児童相談所等の更なる体制強化に取り組むほか、里親支援センターとの連携による里親委託の推進と里親等への支援の充実、児童養護施設等の退所者の自立支援等に取り組みます。
近年増加傾向にあるこどもや若者の自殺対策を強化するため、多職種の専門家で構成される「こども・若者の自殺危機対応チーム」を設置し、学校など地域の支援機関への助言等に取り組んでまいります。
また、非行防止活動や立ち直り支援により、少年の健全育成に取り組みます。
地域住民の抱える課題が複雑化・複合化する中、従来の支援体制では対応が難しい狭間のニーズに対応するため、市町村と共に地域共生社会の実現に向けた属性を問わない包括的な支援体制の構築支援に取り組んでまいります。
高齢者が地域とのつながりのもとで活動を選択し、必要な支援を受けながら自分らしく暮らし続けられる「地域包括ケアシステム」の深化・推進を図るため、地域の多様な主体が連携・協働して行う高齢者への支援を促進するとともに、認知症施策、保健医療と介護の連携強化、特別養護老人ホーム等の整備、介護人材確保や生産性向上等の支援など介護サービス等の充実に取り組んでまいります。
障害のある人が安心して暮らし地域社会に参画していくために、合理的配慮の提供を含めた障害のある人に対する県民理解の促進や相談支援の充実等に取り組んでまいります。
医療の充実・健康福祉社会の実現について申し上げます。
医療の提供体制の充実・確保に向けては、地域で必要な医療ニーズ等を踏まえ、不足が見込まれる機能の病床の整備や地域医療連携体制の強化などに取り組むとともに、北部、離島地域の医師確保及び県内全域における医師の診療科偏在の解消、看護師等の確保と資質向上などに取り組んでまいります。
薬剤師確保については、奨学金返還額の一部助成など薬学生・卒業生のU・Iターン就職を推進するとともに、県内国公立大学への薬学部設置の実現に向け取り組みます。
北部地域については、公立沖縄北部医療センター整備工事の早期着手、運営主体となる財団法人設立による開院準備推進等に取り組み、離島地域については、へき地医療拠点病院を拡充するなど、離島診療所への医師派遣や専門医による巡回診療などによる医療提供体制の確保、離島患者の経済的負担の軽減などに取り組んでまいります。
県立中部病院については、経営状況を勘案しつつ、将来構想に基づき、機能強化を含めた建替えに取り組んでまいります。
将来こどもを持つことを希望する若いがん患者に対して、出産可能性の温存、温存後の生殖補助医療に要する費用の一部を助成し、経済的な負担の軽減を図ります。
感染症対策については、県民への正しい知識の普及啓発や、あらゆる感染症に対応できる検査体制を迅速に構築できる環境整備、各種予防接種の接種率向上、結核のまん延防止等に取り組んでまいります。
県民の健やかな暮らしを支えるため、働き盛り世代の健康状態の改善に向けた「健康経営」をより一層推進し、官民で連携した健康づくりに取り組むとともに、沖縄県口腔保健支援センターの取組や障害者施設での歯科保健指導等、歯科口腔保健対策の強化を図り、県民一人ひとりが健康的な生活習慣を実践できる環境整備に取り組みます。
食を通した健康づくりを推進する食生活改善推進員の活性化を図るため、令和7年度全国食生活改善大会及び第55回全国食生活改善推進員協議会全国大会を開催し、沖縄県のよりよい健康づくりに寄与できるよう取り組んでまいります。
生活基盤及び生活環境の充実・強化について申し上げます。
昨年10月からの水道料金改定を踏まえ、施設の効率的な運用の検討など、より一層の経営合理化に取り組むとともに、水道水の安定供給を図るため、県及び市町村の老朽化した水道施設の着実な更新や耐震化、本島周辺離島8村の水道広域化に取り組むほか、令和7年度の料金については、県民負担の軽減を図るため、令和6年度に引き続き減免を継続してまいります。
また、持続可能な下水道サービスの提供に向けて、引き続き、施設の更新・耐震化、浸水対策、汚泥等の活用、広域化・共同化及び官民連携を推進してまいります。
住環境の整備については、県営住宅の計画的な建替え等の推進、高齢者・子育て世帯等の住宅確保要配慮者の居住の安定確保、住宅の省エネ化等に取り組んでまいります。
災害時の避難場所、緑と触れあう憩いの場、レクリエーション活動の場としての都市公園整備を推進します。
離島・過疎地域の持続可能な地域づくりについて申し上げます。
離島地域においては、離島の資源と魅力を生かした産業振興を図るため、「離島フェア」の開催や販売戦略の構築、人材育成等の支援を通した離島特産品の販路拡大のほか、離島訪問の促進、拠点整備によるテレワーカーの高付加価値化等に取り組みます。
また、離島・過疎地域の活性化を図るため、児童の離島体験交流、離島住民と連携した体験ツアーの造成等による関係人口の創出・拡大に取り組むとともに、人口の維持・増加を図るため、移住情報を広く発信し、移住希望者の相談に随時対応するほか、移住相談会や体験ツアーの実施など、移住・定住の促進に取り組みます。
さらに、離島町村等における持続可能な行政サービスの提供体制を構築するため、人材確保及び業務効率化に関する支援に取り組みます。
情報通信については、公共施設へのWi-Fi整備により利便性の向上を図るとともに、南大東島と北大東島を結ぶ海底光ケーブルの令和8年3月の供用開始に向け取り組んでまいります。
離島航空路の確保と維持に向けて、計画的な空港施設の更新整備と機能向上に取り組むほか、離島港湾において、防災・減災対策や海上交通の安全性・安定性の確保、利便性の向上など、港湾機能の強化・拡充に取り組みます。
伊平屋空港については、整備に向けた課題解決に取り組んでまいります。
また、空港、港湾等の交通拠点を相互に連結させ、防災・減災、国土強靭化に資する県道石垣空港線、マクラム通り線等の整備を推進します。
離島住民の定住条件整備を図るため、離島住民の交通コストの負担軽減や不足する離島航路の船員確保に取り組むとともに、小規模離島における給油所等の維持存続に向け、石油製品の販売に関する法定検査費等の支援に取り組んでまいります。
また、離島・過疎地域における公共交通等の維持・確保に向け、自動運転技術の社会実装に取り組んでまいります。
世界に誇る自然環境・生物多様性の保全・継承について申し上げます。
環境分野においては、沖縄の豊かな自然の恵みを継承する、持続可能な循環共生社会の実現を目指します。
本県の自然環境の保全・継承を図るため、希少野生動植物の保護対策や外来種対策の推進、国立沖縄自然史博物館誘致に関する方針の策定及び県内外での機運醸成の推進、更なる赤土等流出防止に向けた総合対策の推進に取り組むとともに、地域猫活動など動物愛護の取組を充実・強化してまいります。
また、北部地域の水源かん養機能の維持や環境保全、地域振興などやんばるの森・いのちの水を守る取組を推進します。
脱炭素社会の実現に向けて、電動車導入に係る補助対象の拡大等の取組を引き続き推進するとともに、循環型社会の構築に向けて、廃棄物の3Rや適正処理等の推進に取り組みます。
クリーンエネルギーの導入促進に向けて、税制上の特例措置の活用促進等による民間事業者の投資の誘発を図るとともに、離島における太陽光発電等の補助や、風力発電及び海洋温度差発電の可能性調査等に取り組んでまいります。
また、食品ロスの削減に向け、各業界団体等と連携を図りながら広報・啓発等に取り組んでまいります。
沖縄文化の保存・継承・創造と更なる発展について申し上げます。
琉球歴史文化の日を中心に、沖縄の歴史と文化への理解を深め、多様で豊かな沖縄文化を守り、育むための取組を推進します。
また、昨年設立した沖縄県ユネスコ登録推進協議会を中心に、琉球料理をはじめとした沖縄の伝統文化についてユネスコ無形文化遺産登録を通じて、沖縄の歴史と文化を県民が再認識する契機につなげると同時に、その価値を世界に発信し、国内外との交流人口の拡大を図ります。
沖縄空手の保存・継承・発展のため、指導者・後継者の育成、沖縄空手会館を拠点とした「空手発祥の地・沖縄」の発信、大阪・関西万博での沖縄空手をはじめとする伝統文化公演の実施、空手ツーリズム等に取り組んでまいります。
沖縄の貴重な文化財の保存活用を図るため、修復・復元や伝承者の養成、指定に向けた調査を推進します。
教育振興について申し上げます。
確かな学力を身に付ける学校教育の充実に向け、主体的・対話的で深い学びと教育DXの推進を通した学力向上、教員の指導力向上に取り組みます。
また、総合的な学習等において地域の歴史や平和に関する学習に取り組みます。
魅力ある学校づくりの推進による不登校やいじめの未然防止、組織的な対応等、児童生徒支援体制の構築に取り組みます。
学校における体力向上や食育などの健康教育、交通・災害等の安全教育の推進に取り組むほか、安心して学べる学校施設の整備に取り組みます。
幼児児童生徒が豊かな人生を切り拓くことができるよう、学校の特色化・魅力化に取り組みます。
児童生徒一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、個々の能力を伸ばす教育やキャリア教育の推進に取り組みます。
また、インクルーシブ教育を推進し、障害のある生徒等の自立と社会参加を見据えた特別支援教育の充実を図るとともに、中部地区への新たな特別支援学校の設置に向けた工事に着手します。
教職員が心身共に健康で本来の職務に専念し、働きやすさと働きがいを実感できる環境整備に向け、働き方改革及びメンタルヘルス対策を一体的に推進するとともに、教職員の確保に取り組みます。
児童生徒等が、家庭の経済状況等に左右されることなく安心して教育を受けられるよう、中学生の給食費や中高生のバス通学費等の支援、就学援助制度と給付型奨学金の実施、高等教育の修学支援に取り組みます。
高校未設置離島出身生徒の居住費等の支援や離島高校生の部活動派遣費の一部補助等、家庭の経済的負担軽減に取り組みます。
生涯学習環境の充実のため、関係機関等と連携・協働し、学習情報や機会の提供に取り組みます。
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