令和3年第1回沖縄県議会定例会(Ⅰはじめに)

ページ番号1001625  更新日 2024年1月11日

印刷大きな文字で印刷

知事提出議案説明要旨
(令和3年2月16日提出 沖縄県)

Ⅰ はじめに

ハイサイ、グスーヨ-、チューウガナビラ。
令和3年第1回沖縄県議会の開会に当たり、議員各位の御健勝を心からお喜び申し上げますとともに、日々の御精励に対し深く敬意を表します。
令和3年度の当初予算案などの重要な議案の審議に先立ち、まず、県政運営に当たっての私の所信の一端を申し述べ、議員各位及び県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
第1に、「県政運営に取り組む決意について」申し上げます。
私が県知事に就任してから2年余りが経過いたしました。この間、祖先(ウヤファーフジ)への敬い、自然への畏敬の念、他者の痛みに寄り添うチムグクルを大切にするとともに、「自立」「共生」「多様性」の理念の下、包摂性と寛容性に基づく政策を推進してまいりました。
私が掲げた公約については、その全てに着手しており、「新時代沖縄の到来」「誇りある豊かさ」「沖縄らしい優しい社会の構築」の視点の下、引き続き諸施策を展開してまいります。
さて、昨年2月に沖縄県内で初めて新型コロナウイルス感染症が確認されてから1年が経過しました。
県では、これまで14次にわたる補正予算により、総額約1,626億円の予算を確保し、切れ目なく対策を実施してまいりました。
また、今回提案する令和2年度2月補正と令和3年度当初予算において、合わせて約1,058億円のコロナ対策関連予算を計上しているところです。
引き続き、水際対策を含め、感染拡大防止と県民生活の安定並びに経済の回復に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。
感染拡大防止に向けては、「感染症対策課(仮称)」を新設し、エッセンシャルワーカーに対するPCR検査の強化など、医療提供体制と検査体制の拡充に取り組むとともに、保健所の体制強化や宿泊療養施設の確保、医療機関の支援などに取り組みます。
ワクチン接種については、予防接種の実施主体となる市町村を広域的視点からサポートしながら、国や医師会等の関係機関と連携し、接種体制を整えてまいります。
介護施設、保育所などの社会福祉施設や幼稚園などの教育施設の感染防止対策の支援に取り組みます。
生活に困窮する世帯の増加等に対応し、生活困窮者自立支援制度を通じた相談体制の充実や住居の確保、就労支援などに取り組みます。
経済対策については、中小企業・小規模事業者などの事業継続や雇用の維持・安定に向けた取組を推進するとともに、社会経済活動の再開と一日も早い県経済の回復を目指します。
そのため、旅行者専用相談センター沖縄(TACO)の機能強化など「安全・安心の島“沖縄”」の構築と「県民の生活・雇用・事業の維持」を軸とした経済対策等の各種施策を展開します。
私は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と経済の回復に向け、全身全霊で取り組んでまいります。
首里城火災から1年余りたちますが、多くの励ましの言葉や寄せられた寄附金は大きな励みになりました。
私は、皆様の強い願いを実現させるため、国や那覇市等の関係機関や地域との連携の下、安全性の高い施設管理体制の構築や首里城に象徴される琉球の歴史・文化の復興など、一日も早い首里城の復旧・復興に向けた取組を推進します。
令和3年度は、「首里城復興基本計画」に基づき「新・首里杜構想」による歴史まちづくりや、国内外から寄せられた寄附金を活用し、県産材を含め、首里城正殿を支える柱材や赤瓦の調達など、より具体的な取組を加速していきます。
SDGsについては、「SDGs推進室(仮称)」を新設し、全庁的な取組の加速と企業・団体等とのパートナーシップの促進を図ります。
「SDGsに関する万国津梁会議」の提言を踏まえ、「沖縄県SDGs実施指針(仮称)」の策定に向けて取り組むとともに、アドバイザリーボードを設置するなど、外部からの意見を積極的に取り込み、様々なステークホルダーが交流し、参画できる環境づくりに取り組みます。
これらの取組を通じ、経済・社会・環境の三側面が調和した「持続可能な沖縄の発展」と「誰一人取り残さない社会」の実現を目指します。
経済面においては、「新型コロナウイルス対策に係る沖縄県の経済対策基本方針」に基づく各種施策を展開するとともに、アフターコロナを見据え、成長が期待されるアジアのダイナミズムを取り込むための取組を推進します。
企業等のデジタル化を促進するとともに、産業横断的なマーケティング戦略を策定し、企業や地域、県民の稼ぐ力の強化に取り組みます。
社会面においては、コロナ禍に伴う雇用情勢の悪化を踏まえ「子どもの貧困対策」を最重要施策として強力に推進するとともに、「沖縄県子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」に基づく施策を実施します。
こども医療費助成制度については、令和4年4月から開始する中学校卒業までの通院対象年齢の拡大に向けて取り組みます。
全ての県民の尊厳を等しく守り、互いに尊重し合う共生の社会づくりを目指し「性の多様性尊重宣言(仮称)」や相談窓口の開設などの取組を進めてまいります。
ジェンダー平等や女性のキャリア形成の促進に向けて積極的に取り組んでまいります。
環境面においては、「第二次沖縄県地球温暖化対策実行計画」の策定や「沖縄県気候非常事態宣言(仮称)」の実施に取り組み、県民一丸となった地球温暖化対策を目指します。
さらに、国においても目指すこととしている2050年の脱炭素社会の実現に向け、新たなエネルギービジョンを策定し、持続可能なエネルギー政策を推進します。
米軍基地については、本土復帰50年という大きな節目を来年に控えた今現在もなお、国土面積の約0.6パーセントの沖縄県に米軍専用施設面積の70.3パーセントが集中し続けていることにより、騒音、環境問題、米軍関係の事件・事故が後を絶たない状況にあります。
私は、日米安全保障体制の必要性を理解する立場です。しかしながら、沖縄の基地負担の状況は異常であり、到底受忍できるものではありません。
沖縄の過重な基地負担を軽減するためには、普天間飛行場代替施設の県内への新たな提供を除き、既に日米両政府で合意されたSACO最終報告及び再編に基づく統合計画で示された嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還が確実に実施される必要があると考えます。
しかし、統合計画による返還が全て実施されたとしても沖縄の米軍基地専用施設面積は全国の69パーセント程度にとどまり、応分の負担には依然としてほど遠い状況にあります。
このため、私は、沖縄県が本土復帰50年という大きな節目を迎えるに当たり、沖縄21世紀ビジョンにおいて「基地のない平和で豊かな沖縄をあるべき県土の姿としながら、引き続き基地の整理・縮小を進めること」としていること、沖縄県議会においては、これまで二度、「在沖米海兵隊の撤退を図ること」を全会一致で決議していることなどを重く受け止め、「当面は在日米軍専用施設面積の50パーセント以下を目指す」とする具体的な数値目標を設定し、実現するよう日米両政府に対し求めてまいります。
特に、辺野古新基地建設問題については、完了までに要する期間が約12年、総工費が当初の約4倍に相当する約9,300億円になることが令和元年12月に公表され、これまで県が指摘していたとおり、辺野古移設では、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去にはつながらないということが明確になりました。
また、令和元年度に沖縄県が設置した米軍基地問題に関する万国津梁会議の提言においても、「辺野古新基地計画は、軟弱地盤の存在が明らかになるなど、技術的にも財政面からも完成が困難であることが明白になりつつある」と指摘されております。
辺野古新基地建設問題については、対話によって解決策を求めていくことが重要と考えており、政府に対し、工事を直ちに中止した上で、県との対話に応じるよう求めてまいります。
一方で、普天間飛行場の固定化は絶対に許されないことから、辺野古移設に関わりなく、同飛行場の速やかな運用停止を含む危険性の除去、県外、国外移設及び早期閉鎖・返還を政府に対し強く求めてまいります。
私は、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向けて、今後も、あきらめず、ぶれることなく、全身全霊をもって、県民の思いに応えてまいります。
第32軍司令部壕については、保存・公開に向け、平和発信・継承の在り方等の議論を進めてまいります。
私は、公約に掲げた諸施策を職員一丸となって推進し、未来を担う子どもたち、若者たちに、平和で真に豊かな沖縄、誇りある沖縄、「新時代沖縄」を託せるよう、全力で県政運営に当たる決意であります。
第2に、「沖縄を取り巻く現状の認識について」申し上げます。
国際社会においては、2019年末以降、新型コロナウイルス感染症が世界各地で猛威を振るい、経済、社会など様々な面で大きな影響を及ぼしております。
今後、グローバル化による感染症の脅威や気候変動の影響による自然災害の激甚化などの地球規模の課題を解決するため、SDGsの取組を着実に実施し、経済・社会・環境分野の課題に統合的に取り組むことが重要となっています。
我が国においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、経済的に厳しい状況となっております。今後も国内外の感染拡大による経済活動下振れリスクや債務返済等の金融リスクの影響などを注視する必要があります。
本県においても、感染拡大に伴う影響が様々な面で生じていることから、引き続き、感染拡大防止の徹底と社会経済活動の回復に向けて全力で取り組んでまいります。
第3に、「今後の沖縄振興に向けた取組について」申し上げます。
令和4年度から始まる新たな沖縄振興については、ウィズコロナからアフターコロナに向けた将来を見通す中で、「新しい生活様式」に対応した各種施策やSDGsを反映させ、未来を先取りし、日本経済の一端を担うべく、新時代沖縄を展望しうる新たな振興計画の策定に取り組んでまいります。
令和3年度が、沖縄21世紀ビジョン基本計画の最終年度であることから、計画の総仕上げに向けて全力で取り組みます。
引き続き、県民所得の向上、子どもの貧困の解消、過重な基地負担の軽減等の重要課題に対応し、公約に掲げた「新時代沖縄」「誇りある豊かさ」「沖縄らしい優しい社会の構築」の実現に向け、万国津梁会議の議論等を踏まえながら、諸施策を展開してまいります。
「新時代沖縄の到来 経済分野」については、AI、IoTなど先進技術の活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進など「ResorTech Okinawa(リゾテックおきなわ)」の取組を推進します。
「リゾテック推進班(仮称)」を新設し、国際IT見本市の継続開催や県内IT企業と他産業の連携による稼ぐ力の向上、社会課題の解決に取り組みます。
「東海岸サンライズベルト構想」を策定し、マリンタウンMICEエリアの形成を含む東海岸一帯の活性化に向けて取り組みます。
鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入に向けては、国との議論を加速させるとともに、県民と一体となって機運醸成を図ります。
「誇りある豊かさ 平和分野」について申し上げます。
基地問題については、本県に広大な米軍基地が集中することにより、日常的に発生する航空機騒音をはじめ、自然環境の破壊、航空機事故の他、米軍人・軍属等による事件・事故等、県民生活に様々な影響を及ぼ
しております。
これらの問題を解決するため、在沖米軍基地の整理・縮小、県外、国外への訓練移転・ローテーション配備、訓練水域・空域の削減、日米地位協定の抜本的な見直し等を日米両政府に強く求めるなど、基地問題の解決に全力で取り組んでまいります。
駐留軍用地跡地の利用については、県土構造の再編を視野に入れた総合的かつ効率的な利用を推進してまいります。
「沖縄らしい優しい社会の構築生活 分野」については、子どもの貧困対策として、各種居場所の設置や支援員等の研修の充実など、支援の質の向上を図るとともに、「沖縄子どもの未来県民会議」を中心とした県民運動などにより、学びと育ちを支えてまいります。
中高生のバス通学無料化については、交通費負担の大きい中学生への支援拡充に向けて、取り組みます。
「琉球歴史文化の日条例」を制定し、沖縄(ウチナー)文化の更なる普及、継承、発展及び発信に取り組んでまいります。
公立北部医療センターについては、「北部医療センター整備推進室(仮称)」を新設し、早期整備に向けて取り組みます。
北部地区の教育環境の充実については、令和5年度の中高一貫校の設置に向けて、取り組んでまいります。
離島やへき地の定住条件整備を推進するとともに、地域の特色や魅力を活かした産業の振興に取り組みます。
令和3年度の県政運営の「重点テーマ」としては、「安全・安心の島“沖縄”の構築及び県民の生活・雇用・事業の維持」などの7項目を掲げ、沖縄振興を力強く推進する施策に取り組んでまいります。
職員一人一人が、意欲的かつ柔軟な発想で働くことができる職場づくりを進め、限りある行政資源の下で、多様な行政需要に対応する組織の編成に取り組みます。
第4に、「内閣府予算案及び税制改正について」申し上げます。
令和3年度内閣府沖縄振興予算案においては、令和2年度第3次補正予算に計上された公共事業関係費等を含めると、約3,200億円が確保され、子どもの貧困対策、離島活性化の推進、首里城復元に向けた取組などが計上されたほか、新しい生活様式に配慮した観光サービスの創出支援事業が盛り込まれました。
また、令和3年度税制改正においては、7つの沖縄関係税制の延長が認められました。
県としては、沖縄振興予算及び税制を積極的に活用し、最終年度を迎える沖縄振興計画の総仕上げに向けて全力で取り組んでまいります。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 総務部 財政課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟6階(南側)
電話:098-866-2095 ファクス:098-866-2658
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。