「みどりの中のまち」事例のひとつ。インドネシア

計画的なまちづくりを進めている海外の
先進的な事例について、インドネシアのジャカルタ及び
その近郊、バリを視察してきました。

視察のポイント
大規模な開発
総合的な都市開発
スマートシティづくり
緑と一体となったまちづくり
日系企業による開発
世界的な観光拠点の整備

ジャカルタ Daerah Khusus Ibukota Jakarta

BSD(ブミ・スルボン・ダマイ)シティ

大規模な開発
複合的な都市開発
面積は約6,000ヘクタールに及び、住宅地に加え、教育機関、医療施設、商業施設、展示会場などが配置されています。
幼稚園から大学、ショッピングモールやオフィス等、様々なライフステージに対応したまちづくりを行うことで、付加価値をつけています。
開発は3つの主要フェーズに分けて段階的に進められています。第1フェーズ(約1,500ha)は完了し、現在は第2(約2,000ha)・第3フェーズ(2,500ha)が進行中です(2035年完成予定)。
スマートシティづくり
公共交通起点の都市設計やデジタル拠点の整備が進められており、ICT産業の集積が特徴です。
スマートシティならではの住みやすさとして、街の情報を一元化して見ることができる住民専用のアプリ開発や、交通違反者を取り締まれるスマートセキュリティの整備等のスマート技術開発に力を入れています。
  • BSDシティのマスタープラン 画像出典:BSD City
  • 空中写真 画像出典:BSD City property
  • BSDのショッピングモール

スナヤン地区

複合的な都市開発
日系企業による開発
首都の中心街における約19ヘクタールに及ぶ開発です。商業、住宅、オフィスなどの複合開発として、40年間のBOT(一括事業請負後譲渡)方式で事業が進められています。民間事業者が公共施設等を建設して管理・運営し、事業期間終了後に国や自治体に所有権を委譲します。
日系のゼネコン(総合建設会社)が設計から施工、管理までを実施し、施設の運営・計画・管理の技術継承に注力しています。
緑と一体となったまちづくり
国立競技場を中心とする緑豊かな環境に恵まれたエリアで、高級住宅街にも隣接しており、商業・ビジネスの中核エリアでもあります。
  • スナヤン地区エリア図 出典:PT. Senayan Trikarya Sempana
  • 空中写真 出典:PT. Senayan Trikarya Sempana
  • スナヤン地区のオフィス棟
  • 高級ショッピングモール「プラザ・スナヤン」

デルタマスシティ

大規模な開発
日系企業による開発
1993年より始まった約3,200haの開発事業です。現地企業と日系の総合開発商社が開発主体となって都市と産業の調和を目指したまちづくりを進めています。
当初は首都ジャカルタのベッドタウンという位置付けでしたが、日系の製造業の企業進出が多くなったことから、ブカシ県の行政庁舎と高速道路の入り口を誘致し、工業用地として用途転換が行われました。
緑と一体となったまちづくり
マスタープランでは緑地面積10%確保が定められており、河川周辺に緑地を配置している。現在は、商業エリアの緑化推進を検討しています。
デルタマス・シティでは、産業基盤整備を先行させ、その後に住宅・商業機能、都市中枢機能、スマートシティ化へと段階的に都市機能を高度化するフェーズ開発が採用されています。これにより初期投資回収と都市価値の段階的向上を両立する開発モデルが構築されています。
  • デルタマスシティエリア図 出典:Kota Deltamas
  • デルタマスシティの工業団地空中写真 出典:Jetro
  • デルタマスシティ内の住居
  • 誘致されたブカシ県庁
  • 工業団地内の医薬品製造企業
  • AEONモールの中の様子

バリ Pulau Bali

サヌール地区

世界的な観光拠点の整備
サヌール地区は、バリ島南部のビーチ沿いに位置し、古くから外国人観光客が訪れるリゾート地として知られていました。
一方、インドネシアでは年間200万人が医療サービスのために海外渡航しており、医療費が国外流出している問題があったため、国内で質の高い医療の提供と観光を掛け合わせた医療ツーリズムの開発をするという発想が生まれました。
複合的な都市開発
サヌール地区は約41ヘクタールと、規模が限られているため、ターゲットを上質な客層に絞り、病院、大規模宿泊施設、癒しを得られる植物園などを整備しています。
国営機関が開発運営しており、まちの全体のメンテナンスや公共スペースの管理主体をしています。
  • 保険医療特区 出典:PT Hotel Internasional Sanur Indonesia
  • ICON BALI
  • ICON BALI
  • 医療施設のエントランス
  • 建設中の医療施設

ヌサドゥア地区

世界的な観光拠点の整備
大規模な開発
バリ島の南端に位置する計画的に開発されたリゾート地区で、約350ヘクタールの規模があります。国際空港や港とはバイパスや海上高速道路で結ばれ、アクセスも容易です。
エリア内には24を超える高級リゾートホテルが立地し、商業施設、博物館、ゴルフ場なども整備。現在では、バリ島を代表する国際リゾートエリアとして定着しています。さらに、国際会議や首脳会談に対応できる施設を2か所備えており、MICE分野にも力を入れています。
政府主導で公社(ITDC)が設立されて開発が行われ、現在も管理・運営を行っています。地域社会ガバナンス(協治)の一環として、地元住民、その地域でもともと仕事をしていた人々との調和やコミュニティの継続、雇用、販売の機会の創出等も行っています。
  • ヌサドゥア地区マスタープラン 画像出典:PT Injourney Tourism Development Corporation
  • ヌサドゥア地区リゾート地区 画像出典:SOFITEL Bali Nusa Dua Beach Resort
  • ヌサドゥア・ビーチ
  • ITDCオフィス
  • コンベンションセンター
  • 地区内の下水処理
今回視察を行った、インドネシアにおける大規模都市開発のポイントとしては、以下の通りです。
地区内に経済特区や保健医療特区を整備・活用した規制緩和や税制優遇によって、開発地区の整備促進や優良企業等の誘致促進を図っている。
行政の庁舎や大学といった核となる機能の誘致により、雇用や賑わいが生まれ、関連する産業などの誘致につながってくる。戦略的な機能誘致に当たっては土地の無償提供なども有効。
地区内に教育、居住、商業、オフィスといった複合的な用途を効果的に配置することで、相乗的な効果発現が行われている。
IT技術を活用したセキュリティシステムや交通監視システムといったスマート技術が積極的に導入されている。
道路や植栽、清掃といったインフラの整備・維持管理を開発主体が一体で実施することでまち全体のブランド化や質の向上を図っている。
開発事業者による鉄道駅の整備や高速道路の入り口誘致など交通基盤との連携にも配慮が行われている。
医療や観光といった特徴的な機能を活用し、全体としてのマスタープランを描き、専門の組織などの組成を行いながら魅力ある街づくりが進められていた。