アオウミガメとタイマイの石垣島周辺における食性


[要約]
  石垣島周辺で漁獲されたアオウミガメとタイマイの胃内容物を調査した。 アオウミガメは海草類と紅藻類を主食とする植物食性で、タイマイは海綿類、ホヤ類を主食とする雑食性であった。
沖縄県水産試験場八重山支場
[連絡先]  09808-8-2255
[専門]    資源生態
[対象]    アオウミガメ、タイマイ
[分類]    行政

[背景・ねらい]
  近年、各種の廃棄物やゴミ等により海や干潟等の環境汚染が深刻化し、漁場としての機能低下や水産動植物の生息環境の悪化が進行している。このため、野生水産動植物のうち特に社会的に関心の高い海亀類の管理・保護のため、その食性について知見を得る。
[成果の内容・特徴]
  1. 平成5年から平成7年の間、2月、5月、9月〜12月に入手した56頭分のアオウミガメ胃内容物からは、海草類、緑藻類及び紅藻類が多く出現し植物食性であることが、明らかとなった。
  2. 平成6年から平成7年の間、1月、2月、9月〜12月に入手した45頭分のタイマイ胃内容物からは、海綿類、ホヤ類及び海藻類が多く出現し雑食性であることが明らかとなった。
  3. アオウミガメとタイマイ合わせて101頭分の胃内容物のうち、アオウミガメ2頭、タイマイ1頭の合計3頭分から人工物(ビニールの破片、ナイロンテグス)が出現した。
[成果の活用面・留意点]
  胃内容物の調査結果から、海亀類の保護のためには餌場となる海草藻場や海綿類が生息する浅海域の保全が重要である。
[具体的データ]
表1 胃内容物の出現状況(平成5年5月から平成7年11月まで)
図1 11月入手分の胃内容物湿重量組成(%)

[その他]
研究課題名 :海と干潟の生物環境保全調査
予算区分  :国庫委託
研究期間  :平成8年度(平成5年〜7年)
研究担当者 :山本隆司、当真  武
発表論文  :海亀胃内容物調査、平成5年度〜平成7年度、沖水試事報

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