飼育下でのロウニシアジの成長


[要約]
  全長114o、体重28gのロウニンアジ天然種苗に配合飼料を与えて飼育した。1年4ヶ月後に376o、743gに成長した。水温と増肉係数の関係は指数関数で表され、水温と日間増重量率は正の相関を示した。水温26℃以上で餌料効率が良く、20℃以下では成長しないと考えられる。
沖縄県水産試験場・八重山支場
[連絡先]  09808-8-2255
[専門]    養殖
[対象]    ロウニンアジ
[分類]    研究

[背景・ねらい]
  本県では、海面魚類養殖業が盛んに成りつつあるが、養殖対象の魚種数が少ないために養殖漁家の経営基盤はまだ不安定である。そのため新魚種の種苗量産技術開発が急がれる。種苗量産研究の対象種は、成長、飼い易さ、市場性を考慮して選定すべきであり、種々の魚種の成長等の飼育特性を知る必要がある。その一環としてロウニンアジ天然種苗の成長試験を行った。
[成果の内容・特徴]
  1. 石垣漁港で釣獲したロウニンアジO才魚77尾を200t水槽で飼育して成長を調べた。餌はヒラメ用とマダイ用ペレットを与えた。全長114o、体重28gのものが1年4ヶ月で376o、743gに成長した(図1)。この間のヘイ死は1尾で(表1)、飼い易い魚である。
  2. 高水温期(水温28.9℃)の増肉係数は1.49〜1.58、日間増重量率は0.82〜1.11%/日、低水温期(水温20.0〜21.6℃)は各々7.93〜8.29、0.06〜0.13%/日であった(表1)。水温と増肉係数の関係は指数関数で表され、水温と日間増重量率は正の相関を示し(図2)、各々1%および2%の水準で有意であった。
  3. 本種は、水温26℃以上で餌料効率が良く、20℃以下では成長しないと考えられる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 水温と日間増重量率の関係がわかったので、養殖漁場ごとに1.5才無までの成長のシミュレーションが可能となる。
  2. 養殖対象種を選定するための参考資料となる。
[具体的データ]
図1 飼育水温とロウニンアジの成長
図2 ロウニンアジの増肉係数および
     日間増重量率と平均水温の関係
表1 ロウニンアジの飼育期間別の投餌料、
     増重量および日間増重量などの変化

[その他]
研究課題名 :海産魚類増養殖試験
予算区分  :県単
研究期間  :平成8年度(平成7〜8年度)
研究担当者 :金城清昭・中村博幸・仲本光男
発表論文  :平成8年度沖縄県水産試験場事業報告所(平成9年度発行予定)

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