大型海藻によるシラヒゲウニの短期身入り向上技術


[要約]
  大型海藻のヒジキ、ホンダワラ類、不稔性アナアオサを使用した陸上水槽と垂下式籠でのシラヒゲウニの短期身入り向上技術を開発した。
沖縄県水産試験場・増殖室 
[連絡先]   098-994-3593
[専門]     養殖
[対象]     シラヒゲウニ
[分類]     普及

[背景・ねらい]
  シラヒゲウニの身入りは、餌料海藻の少ない海域や季節によって悪くなることが知られている。そこで、身入りに好適な大型海藻を把握するとともに、十分な給餌を行うことによって短期間に身入りを向上させる技術を確立し、生産の増大を図る。
[成果の内容・特徴]
  1. 陸上水槽に飼育籠を設置し、ヒジキを十分給餌して飼育した結果、殻径11.3mmの当才ウニが4.5カ月後に殻径72.7mmに成長し、生殖腺重量31.1gに達した。生残率は、飼育128日目まで100%で小型水槽に移したため、高密度の弊害で74%になった(表1)。
  2. ホンダワラ類を給餌した陸上水槽と垂下式籠での身入りは、垂下式籠が、36日間で2.6倍の19.4gになり良好であった。生残率は両方とも90%以上であった(表2、表3)。
  3. 不稔性アナアオサを給餌した陸上水槽と垂下式籠での身入りは、垂下式籠が、良好で36日間で1.6倍の12.3gになった。生残率は両方とも90%以上であった。なお、陸上水槽で55日間飼育した結果、1.8倍の31.3gになり、生残率も100%と高かった(表3、表2)。
  4. ホンダワラ類を給餌して垂下式籠で密度別に飼育した結果、身入りは、70個体収容区が1.6倍の25.0g(46日)と2.4倍の21.3g(39日)になり最も良好で、生残率は92.9%と75.7%であった。90個体収容区まで身入りや生残率が良好であった(表3、表4)。
  5. 与那原産ホンダワラの身入り1g当たりの給餌量は、陸上水槽で74.1g(湿重量)、垂下式籠で71.9gとほぼ同じであった。不稔性アナアオサは17.4〜114.0gであった(表2、表3)。
  6. 生殖腺の色調は、天然ウニの場合バラツキがあるが、上記の大型海藻を十分給餌するとほとんど橙色になりバラツキもなくなった。味覚も天然ウニと同様であった。
[成果の活用面・留意点]
  1. 漁業者が、垂下式籠1個当たりウニを70〜90個収容し、ホンダワラ類やヒジキを十分給餌すれば1カ月余りで身入りが20g前後になり、高歩留まりが期待できる。
  2. 本成果は、ウニ餌料藻類の藻場造成、ウニの移植や種苗放流の参考資料となる。
  3. ホンダワラ類やヒジキは、根を残すように鎌で刈り取り、母藻地帯も残すようにする。
  4. 垂下式籠の設置は、大潮干潮時に水深2m以上の場所で、台風シーズンの7〜9月は避けた方がよい。垂下式籠は、棘抜け防止のため中をネトロンネットで4区画に仕切る必要がある。
[具体的データ]
表1 シラヒゲウニのヒジキ給餌による陸上水槽での飼育成績
表2 ホンダワラ類と不稔性アナアオサ給餌による陸上水槽での飼育成績
表3 ホンダワラ類と不稔性アナアオサ給餌による垂下式籠での飼育成績
表4 ホンダワラ類給餌による垂下式籠での密度別飼育成績

[その他]
研究課題名 :シラヒゲウニの種苗量産技術開発試験、ウニ餌料藻類増殖試験(藻場造成)
予算区分  :県単
研究期間  :平成7年度(平成4〜8年)
研究担当者 :與那嶺盛次
発表論文  :シラヒゲウニの種苗量産技術開発試験、平成5年度沖縄県栽培漁業センター事業報告書

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