アマミフエフキ(やきー)の生物情報と資源の状況


[要約]
  アマミフエフキの産卵期は4月〜6月で尾叉長32cm以上で成熟する。本種は雌性先熟の性転換を行う。資源の状態は相当の乱獲状態にある。
沖縄県水産試験場・漁業室
[連絡先]  098-994-3593
[専門]    資源生態
[対象]    アマミフエフキ
[分類]    行政

[背景・ねらい]
  アマミフエフキ(やきー)は主に100m以浅に分布し、底延縄の漁獲対象として重要な魚種である。漁獲量は1980年に9.3t(糸満漁協水揚げ量)あったものの以後急速に減少し1985年以後は2t〜3t程度で推移している。 そこで本種の資源の状況を把握し合理的に利用することをねらいとして、200カイリ水域内漁業資源総合調査の一環として調査した。
[成果の内容・特徴]
  1. 生物情報
    アマミフエフキの産卵期は4月から6月まで(図−1)で尾叉長32cm以上、年齢は2歳、3歳頃から成熟する(表−1)。 成長式はL(t)=54.83・(1-exp(-0.366(t-0.281)))で表される。 標本中に得られた最高齢魚は24歳であったが、 実際の寿命は30年以上と想定される。本種は2歳から10歳の間でメスからオスに性転換を行う。10歳以上ではメスはほとんど出現しない。
  2. 資源の状況
    糸満沖〜慶良間諸島、渡名喜島、久米島にかけての海域におけるアマミフエフキの資源量は1983年に15t程度で、その後漸次減少し1994年は4.5t程度となっている(表−2)。生残率は1987年に45%、1994年に30%となった。本種の資源を最も効率の良い状態で利用するには年間の生残率を74%程度(漁獲の強さ0.2)に留める必要があり(図−2)、現状では相当の乱獲状態にあるといえる。
[成果の活用面・留意点]
  本種は若齢魚が多獲される海域が比較的限定されているため(チービシ周辺)、資源の回復を図るためにはその海域の操業を自粛する等の対策を早急にたてる必要があると考えられる。
[具体的データ]
図−1 アマミフエフキの成熟の月変化
表−1 アマミフエフキ(やきー)の生物情報
表−2 糸満〜慶良間諸島、渡名喜島、久米島周辺海域の
       アマミフエフキの資源の状態
図−2 漁獲の強さに対するアマミフエフキ資源の変化

[その他]
研究課題名 :200カイリ水域内漁業資源総合調査
予算区分  :国庫委託
研究期間  :平成7年度(昭和62年、平成6年)
研究担当者 :海老沢明彦
発表論文  :未定

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