沖縄海域でのクロマグロの漁場推移


[要約]
  糸満新港に水揚げされたクロマグロについて調査した結果、沖縄海域におけるクロマグロの漁場の推移を知ることができた。4月上旬から7月中旬にかけて、クロマグロの主漁場は沖縄島の東・南海域から南西・西海域へと移っていった。
沖縄県水産試験場・漁業室
[連絡先]  098-994-3593
[専門]    資源生態
[対象]    クロマグロ
[分類]    指導

[背景・ねらい]
  沖縄海域はクロマグロの産卵場といわれており、毎年クロマグロの漁期の4月〜7月には、宮崎県、鹿児島県、熊本県、大分県、高知県、和歌山県などのマグロ延縄船が70隻前後、糸満新港(沖縄県水産公社)へクロマグロを水揚げしている。また、県内漁船は那覇地区漁協や沖縄県漁連へ水揚げしている。この調査は沖縄海域のクロマグロの漁場の推移を調べ、県内漁船の操業に役立てようとするものである。
[成果の内容・特徴]
  1. 1993年及び1994年に、糸満新港(沖縄県水産公社)に水揚げされたクマグロについて調査した。
  2. マグロ延縄船の船長からクロマグロを漁獲した月日及び位置を聞き取りした。
  3. 糸満新港水揚げ分についての漁獲日は、1993年は4月1日〜7月11日、1994年は4月3日〜7月4日であった。
  4. 盛漁期は、1993年は5月中旬〜下旬(総漁獲尾数の73.2%)、1994年は5月上旬〜下旬(同78.6%)であった。
  5. 主漁場は、4月は沖縄島東海域から南海域にかけてであり、5月はそれらの海域から更に沖縄島南西海域及び西海域(東シナ海)へと広がった。6月は5月に似るが、西海域が主体となった。7月はほとんど漁獲はなかった(図)。
[成果の活用面・留意点]
  1. クロマグロの漁場の推移を知ることにより、計画的・効率的な操業を行うことができ、生産性の向上につながる。
  2. 鹿児島県の喜界島沖海域以北の漁場で漁獲されたクロマグロは、宮崎県及び鹿児島県へ水揚げされているので、糸満新港での調査結果にはほとんど出てこない。
[具体的データ]
図2 クロマグロの漁獲位置(1993年)

[その他]
研究課題名 :日本周辺クロマグロ調査委託事業
予算区分  :国庫委託費
研究期間  :平成7年度(平成5〜6年度)
研究担当者 :前田訓次
発表論文  :なし

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