ヒレナガカンパチの養殖試験


[要約]
  ヒレナガカンパチは、生まれた年(5月ふ化)の12月末には尾叉長34cm、体重1Kgに、翌年の12月末には尾叉長53cm、体重3.6Kgにまで成長した。満1歳までの飼料転換効率は高水温期で80〜95%、低水温期で47%で、満1歳から2歳までの飼料転換効率は高水温期で43%、低水温期で20%であった。
沖縄県水産試験場八重山支場
[連絡先]  09808-8-2255
[専門]    養殖
[対象]    ヒレナガカンパチ
[分類]    普及

[背景・ねらい]
  カンパチ類の養殖期待が高まる中、養殖技術の概略を把握するため、人工種苗を用いて平成4年〜6年度の間、ヒレナガカンパチの養殖試験を実施した。
[成果の内容・特徴]
  1. ハマチ用EP飼料のみを使用して海面小割生簀網(4×4×4m又は5×5×5m)で養殖試験を実施した。平成4年種苗生産群(906尾スタート)は、生まれた年の12月末には尾叉長34cm、体重1Kgに、翌年の12月末には尾叉長53cm、体重3.6Kgにまで成長した(表1)。
  2. 満1歳までの飼料転換効率は高水温期で80〜95%、低水温期で47%で、満1歳から2歳までの飼料転換効率は高水温期で43%、低水温期で20%であった(表1)。
  3. 魚体重を1Kg増重するための飼料コストは、飼料の単価を270円/Kgとすると満1歳(第T期〜第W期、魚体重1.6Kg)までは419円で、満1歳から2歳(第Y期〜第[期、魚体重4.2Kg)までは845円となった。また低水温期(第V期と第[期)の飼料コストは高水温期の約2倍となった(表1)。
  4. 県魚連市場へ試験出荷したところ、セリ平均単価は749円〜1,466円であった(表2)。
  5. 減耗要因としては、飼育初期の鳥害とハダムシの大量寄生であった(図1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、カンパチ養殖についてもおおむね適用できると思われる。
  2. 成長を早めるため、1.5Kg程度までは1日2〜4回の複数回投餌が必要である。
  3. ハダムシ症対策として、水温25℃以上の高水温期には月2回、その他は月1回の淡水浴が必要である(表3)。
[具体的データ]
表1 平成4年群の飼育成績
表2 試験販売結果(平成5年)
表3 月別淡水浴実施回数
図1 平成4年群の生残率の推移

[その他]
研究課題名 :海産魚類増養殖試験
予算区分  :県単
研究期間  :平成7年度(平成4〜6年度)
研究担当者 :山本隆司、仲本光男、呉屋秀夫
発表論文  :ヒレナガカンパチの養殖試験、平成5年度沖水試事報、1995.

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