タチウオの漁場分布(沖縄中南部西方海域)


[要約]
  沖縄中南部西方海域における深海性タチウオの漁場分布調査を実施した結果、現在漁場として利用されている海域と同程度の漁獲が期待できる海域が新たに確認できた。また、その海域は水深300〜400mで底質は主に細かい砂〜泥底域であった。
沖縄県水産試験場・漁業室
[連絡先]  098-994-3593
[専門]    漁場開発
[対象]    タチウオ
[分類]    普及

[背景・ねらい]
  本県では深海性のタチウオについては以前から深海一本釣りの混獲種として生息が知られていたが、本土市場で高値で扱われていることから平成5年度より本格的にタチウオ漁が始まった。しかし、これまでのところ漁場は限られた海域が利用されているので、資源状況の悪化が危惧されており、漁場の拡大が望まれているところである。
[成果の内容・特徴]
  1. 沖縄中南部西方海域における深海性タチウオの漁場分布について水産試験場調査船「くろしお」で延べ148ポイントを調査し、操業一時間当たりの漁獲尾数を比較した。
  2. 漁具は深海一本釣り漁具とほぼ同様で、1.5m間隔で枝5本(1m)付けとし、釣り元にはワイヤーを約20cmを使用した。操業水深は300〜400mを中心とし周年行った。
  3. タチウオは砂泥質の海底が良く釣れる(漁業者情報)とされているので、漁獲調査と同時に漁具の錘にグリスを塗布し、これから得られた底質を現場で観察し、漁獲状況と比較した。その結果、細かい砂〜泥底と思われる海域では29.0%の確率で漁獲がみられたのに対し、粗い砂や岩礁域と見られる海域ではほとんど漁獲がなかった。
  4. 沖縄中部西方海域で漁場として期待できる海域は、現在漁場となっている残波岬南西方海域の他、チービシ北、前島北、渡嘉敷島北が確認された。当海域は全体的にタチウオの分布がみられるので、細かく探索すればさらに漁場が広がるものと思われる。
  5. 沖縄南部南西方海域で漁場として期待できる海域は具志頭南東、喜屋武南東、ルカン礁南であった。当海域は中部西方海域に比較すると分布海域は限定されているようであった。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本調査では操業水深を300〜400m中心に実施したが、水深250〜500mでは分布が確認できた。しかし、水深300m以浅では漁獲が少なく、400m以上では深海ザメ類が多かった。
  2. 今回の成果をもとに漁業者が独自で漁場探索を行う場合は、当水深帯で底質が細かい砂〜泥底域が確認できれば高い確率で漁場が発見できると考えられる。
  3. 本種は8月〜12月が最も漁獲量が多く、6〜7月の漁獲は少ないため、今回報告した漁場においても6〜7月の漁獲は少ないと考えられる。
[具体的データ]
図1 沖縄中南部西方海域におけるタチウオの漁場分布
     (操業−時間当たりの漁獲尾数)

[その他]
研究課題名 :タチウオ漁場調査
予算区分  :県単
研究期間  :平成7年度(平成5〜9年度)
研究担当者 :大嶋洋行
発表論文  :

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