タイワンガザミの稚ガニ定着数と漁獲尾数の関係


[要約]
  与那城町地先のタイワンガザミ天然稚ガニの定着数と与那城町漁協のタイワンガザミの年級群別漁獲尾数を調査した結果、両者の間には、正の相関がみられた。
沖縄県水産試験場・増殖室
[連絡先]  098-994-3593
[専門]    資源生態
[対象]    タイワンガザミ
[分類]    研究

[背景・ねらい]
  タイワンガザミ資源の積極的な増加を図るために、人工種苗放流調査と資源生態調査を与那城町海域で昭和59年度から継続的に実施し、栽培漁業の技術開発調査の中で天然稚ガニの定着数と年級群別漁獲尾数の関係を調べた。
[成果の内容・特徴]
  1. 与那城町海域におけるタイワンガザミ天然稚ガニの定着数を推定するため、トランセクトラインを設定した。
  2. そこに出現する稚ガニの調査を1989-1992年に行い、その出現密度から稚ガニの定着数を推定した。
  3. タイワンガザミは7月からその年の発生群が加入しはじめ、9月に漁獲対象の主体となるので、全甲幅組成から年級群別漁獲尾数を求めた。
  4. 1989-1992年の年級群別漁獲尾数・天然稚ガニ定着数と放流数の状況を表1、図1に示した。タイワンガザミの天然稚ガニ定着数・年級群別漁獲尾数は、1989年に34万尾・4.5万尾であり、その後増加し、1991年に160万尾・10.4万尾になり、1992年には77万尾・8.8万尾と減少した。
  5. タイワンガザミの天然稚ガニ定着数と年級群別漁獲尾数は年による増減が一致した(図1)。
  6. 天然稚ガニ定着数(X)と年級群別漁獲尾数(Y)の回帰は、有意水準5%で有意であり、正の相関が認められ、次の回帰式が得られた(図2)。
          Y =-9.5961+3.99371 ln X (R=0.95759)
[成果の活用面・留意点]
  天然稚ガニ定着数は年によってかなり変動があるので、今後も資料を蓄積し、さらに詳しく天然稚ガニの定着数と年級群別漁獲尾数との関係を調べる必要がある。
  両者の間には正の相関が認められたことから、放流技術を開発することにより稚ガニの放流は効果が期待できる。
[具体的データ]
表1 年級群別漁獲尾数と稚ガニ数と放流数の状況
図1 年級群別漁獲尾数と稚ガニ数の関係
図2 天然稚ガニ定着数と年級群別漁獲尾数の関係

[その他]
研究課題名 :栽培漁業技術開発事業調査
予算区分  :国庫補助(率1/2)
研究期間  :平成6年度(昭和59−平成5年)
研究担当者 :佐多忠夫、島袋新功
発表論文  :昭和59−平成4年栽培漁業技術開発事業調査報告書、
             沖水試、1985−1993

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