体長組織から推定したアオダイ(シチュウマチ)の成長


[要約]
  那覇地区漁協及び県魚連で測定されたアオダイは、その体長組成を各年級群に分解にすることにより成長が推定され、L(t)=561.5(1-exp(-0.1392(t+1.4036)))の成長式が得られた。
沖縄県水産試験場・漁業室
[連絡先]  098-994-3593
[専門]    資源生態
[対象]    アオダイ
[分類]    研究

[背景・ねらい]
  沖縄県においてアオダイ(方言名シチュウマチ)、ハマダイ(アカマチ)、ヒメダイ(クルキンマチ)等のマチ類は、深海一本釣り漁業の主要な漁獲対象魚種である。マチ類の漁獲量は、昭和55年に2308トンであったが以後減少し、平成4年には782トンまで落ち込んだ。マチ類は県漁連と那覇地区漁協が主な水揚げ市場であり、両市場の平成5年におけるアオダイ、ハマダイ、ヒメダイの水揚量は、732トンであった。そのうちアオダイは326トンの水揚量があった。このようにアオダイは重要な漁獲対象魚種でありながら、資源生物的な情報が少ない。そこで、漁獲されたアオダイの体長組成からその成長を推定した。
[成果の内容・特徴]
  1. 那覇地区漁協及び県漁連にて水揚げされるアオダイの体長の測定をおこなった。
  2. 体長組成を年級群に分解し(図1)、各年級群の平均体長と年令(表1)から成長を推定した。
  3. アオダイは5・6月頃が産卵期と推定される(喜屋武他、1980)ことから、5月を誕生月とした。
  4. アオダイの成長式はL(t)=561.5(1-exp(-0.1392(t+1.4036)))が得られた(図2)
                          L(t):t才時の標準体長(mm)   t:年齢(才)
  5. 成長式から求めた、アオダイの標準体長は、1才で160o、2才で212,3才で257,4才で297,5才で331となった。
[成果の活用面・留意点]
  今回は、体長組成から成長を推定したが、高齢魚になると成長が鈍化するため、体長組成を年級群に分解することが困難になる。今後、耳石、脊椎骨、上後頭骨等の年齢形質による年令査定を行い、より詳しく年齢と体長との関係を調べる必要がある。
[具体的データ]
図1 アオダイの体長組成
表1 アオダイの年齢と標準体長
図2 アオダイの成長式

[その他]
研究課題名 :底魚漁場調査
予算区分  :県単
研究期間  :平成6年度(昭和63〜
研究担当者 :佐多忠夫
発表論文  :なし

戻る