タカセガイの中間育成方法


[要約]
  タカセガイの中間育成の一つの方法としてクルマエビ養殖場の壁面を利用した中間育成を行った結果、平均殻幅7oの種苗が11ヵ月後には殻幅46oの放流サイズに達した。期間中の生残率は52%と成長、生残とも良好な結果が得られた。
沖縄県水産試験場八重山支場
[連絡先]  09808-8-2255
[専門]    栽培漁業
[対象]    タカセガイ
[分類]    指導

[背景・ねらい]
  本県の採貝漁業の重要種であるタカセガイは大型海藻類を摂餌せず、微小藻類に依存することから中間育成礁による育成技術が確立された。しかし、中間育成礁はリーフ上にコンクリート製の構造物を作るため設置場所が制限される。一方、クルマエビの養殖場では池の壁面にフジツボ(動物)やアオノリ(海藻)等の付着生物が発生し、飼育池の溶存酸素の消費、栄養塩類の消費及び管理上問題点(投与した餌が藻に絡まることによる餌料ロスや池揚げ時の壁面掃除)から、その駆除が望まれている。
  そこで、殻幅7oのタカセガイ稚貝を用いて、クルマエビ養殖場の壁面を利用した中間育成を試みた。
[成果の内容・特徴]
  1. 1992年9月に採卵した殻幅7oのタカセガイ稚貝4,759個体を試験に用いた。
  2. 1993年6月25日に石垣市崎枝にある八重山漁協クルマエビ養殖場のコンクリート池壁面に40×30pの籠に収容した稚貝を吊り下げ、自然分散するように放養した。
  3. 殻幅と生残率は約3ヵ月毎に池1辺(約40m)の潜水調査を行い、壁面より回収した個体から推定した。
  4. 殻幅は3ヵ月後に殻幅17.1o、5ヵ月後38.4o、9ヵ月後41.8o、11ヵ月後には46.0oと順調に成長した。
  5. 推定生残率は5ヵ月後47.4%、9ヵ月後45.4%、11ヵ月後には52.3%と収容後5ヵ月の間に著しい減耗を示したものの、その後は大きな減耗は認められなかった。
[成果の活用面・留意点]
  1. タカセガイの中間育成方法として利用できる(放流数の増加)。
  2. クルマエビ養殖池の壁面の付着生物の軽減が可能である。
  3. 留意点としては適正収容密度の把握が必要である。
[具体的データ]
図 中間育成時のタカセガイの殻幅と生残率の推移

[その他]
研究課題名 :貝類増養殖試験
予算区分  :県単
研究期間  :平成6年(平成5年〜平成6年)
研究担当者 :玉城英信
発表論文  :タカセガイの中間育成.平成5年度沖縄県水産試験場事業報告書、1994.

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