沖縄の編年

ページ番号1009721  更新日 2024年1月11日

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編年とは

主に文字資料のない時代を対象とする考古学では、時代を区分するために遺物の特徴等を手がかりにします。
まず、特徴的な遺物を抜き出し、「A」、「B」、「C」などのように名称を決めます。この名称を「型式」といいます。次に、出土状況や特徴等からそれぞれの型式について比較検討し、「AはBより古い」、「CはBより新しい」といった関係を調べ、順序よく並べる作業を行います。この順序よく並べる作業、または順序そのものを「編年」といいます。その編年に基づき様々な情報を考慮して時代を区分します。編年には時期的な変化に富んだ土器がよく用いられます。

沖縄の編年

先史時代の沖縄は北海道と同じように日本の中でも独自の物質文化をもっていたため日本の時代区分をそのまま使用することができません。また、沖縄の中においても、先島(宮古・八重山諸島)は沖縄諸島(本島及び周辺離島)と物質文化が異なります。そのため沖縄諸島と先島で独自の編年が研究されてきました。

沖縄諸島の編年

沖縄諸島における先史時代の編年はいまだ確立していない状況にありますが、代表的な3つの編年を簡単に説明します。

(1)「現行編年」

多和田真淳氏の編年を基礎とする編年。縄文時代~弥生・平安時代までを「貝塚時代」とし、早期、前期、中期、後期の4期に細分する。

イラスト:現行編年

(2)「高宮編年」

高宮廣衞氏が提案した編年。縄文時代は日本の時代区分と対応する。弥生時代~平安時代までを「うるま時代」とし、Ⅰ期~Ⅳ期に細分する。

イラスト:高宮編年

(3)「沖縄県史考古編年」

高宮編年を基礎とし、新沖縄県史編集専門部会各論編・考古が作成した編年。縄文時代は日本の時代区分と対応する。弥生時代~平安時代までを「弥生~平安並行時代」とし、Ⅰ期~Ⅳ期に細分する。

イラスト:沖縄県史考古編年

将来的には沖縄考古学会等において議論を深め、様々な問題点を解決した上で編年を確立していくこととなりますが、ここでは当分の間2003年に発行された『沖縄県史 各論編 第二巻 考古』の編年および時代区分を用いることとします。なお、各編年の比較表は表4のとおりです。

イラスト:日本の時代区分と各編年の比較

先島の編年

先島における先史・歴(原)史時代の編年は、これまでに多くの試案が提示されてきましたが、確立されたものはありません。そのため、ここでは2003年に発行された『沖縄県史 各論編 第二巻 考古』に基づき表5の編年および時代区分を用いることとします。

イラスト:先島の編年

もっと詳しく知るために

  • 多和田眞淳 1956 「琉球列島の貝塚分布と編年の概念」 『文化財要覧 1956年版』 琉球政府文化財保護委員会
  • 高宮廣衛 1992 「沖縄先史土器文化の時代名称 「縄文時代」・「うるま時代」の提唱について」 『南島考古』第12号 沖縄考古学会
  • 金武正紀 1994 「土器→無土器→土器 八重山考古学編年試案」 『南島考古』第14号 沖縄考古学会
  • 財団法人沖縄県文化振興会公文書管理部資料編集室編 2003 『沖縄県史 各論編 第二巻 考古』 沖縄県教育委員会

(2011年 中山晋)

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