ビジネス・ホットライン・インタビュー

このコーナーは沖縄に進出された企業のトップの方にご登場いただき、進出の動機や今後の対応などをお伺いしました。

インタビュー依頼先: 株式会社 アクロラド
代表取締役 白幡 孝さん

Q1.会社の概要と沖縄での事業内容をお聞かせください。

A:我が社は放射線計測用の半導体結晶を開発製造する目的で、沖縄の自由貿易地域への進出を決めました。
 この半導体結晶は放射線を検出する点でX線フィルムと同じではありますが、感度が従来の X線フィルムの2%に対し97%と非常に高く、検査データをデジタル化できる点に最大の特徴があります。その結果、従来の検査機器に高性能、小型、軽量、簡便という画期的な変革をもたらすため、現在、世界規模の大手医療機器メーカーが応用、実用化に向けた研究開発を進めています。例えば、医療分野で開発中の手術用のガンマ線プローブは疾患部を正確に把握できるため、 処置漏れがなく、手術の安全性、確実性を飛躍的に高めるわけです。
 また、宇宙観測機器に使用されるなど観測衛星への搭載も始まっており、ESA(欧州宇宙開発機構)へも納品しています。
 我が社はこれらの応用分野に品質の高い半導体結晶を安定的に供給することを目的に、世界に先駆けて開発生産拠点を特別自由貿易地域に置くことにしました。当初は年産150万個を生産し、その後、350万個の生産体制にもっていきたいと考えています。ただ、世界のニーズからするとその10倍は必要だと思いますが。


Q2.沖縄へ進出を決めた大きな理由は何でしょうか。

A:進出を決めるまでには色々な問題があったのですが、税制面での優遇策や若年者への雇用助成金などが大きいと思います。障害者や高齢者採用に関する助成金というのは経験がありますが、 若年者への助成金というのは聞いたことがなかったですね。

Q3.沖縄の課題は何だと思いますか。

A:我々のようなベンチャー企業にとっては資金調達が大きな仮題となるので、沖縄として企業誘致を政策的に進めているというのであれば、進出企業に対する融資について、県と融資機関が連携して対応するなど、進出しやすい環境を作っていくことが大事ですね。
 また、 企業誘致に関する取り組みをひとつのパッケージ、いわゆるワンストップサービスとして対応して欲しいですね。難しい問題があることは分かりますが、それは売る側の論理であって、買う側(企業側)の論理ではないのですね。

Q4.コストについてはどうでしょうか。

A:土地代とかのコストはやはり高いですね。但し、流通コストは全然こだわっていません。それより、特別自由貿易地域の保税制度を利用して原材料をカナダなどから輸入してフリーゾーン内で加工して直接ヨーロッパやアメリカに出せれば面白いですね。

Q5.沖縄の若い人たちに求めるものは何でしょうか。また、行政に求めることがありますか。

A:進出した企業として重要なことは、若い優秀な人材を確保したいということなんですが、今、 来ている話ですが、琉球大学の先生から学生向けに特別講演をやって欲しいという依頼があるんですね。これからは産学協同ですから、学生時代から、例えばカドミウム関連の卒論を書くために我々の会社に頻繁に出入りをしていただく。そうすると、企業としては人材が得やすいし、学校側からすれば実践的な知識を習得する場をつくることができます。
 県に対しては、進出した企業がその事業内容、研究内容を地域社会に還元できるような仕組み、 例えば、週に1回市民を集めて企業側が1時間レクチャーをするというような機会を作って欲しいですね。同時に、そういう活動によって進出企業が地域の理解を得ていくことにもつながり、 双方にメリットがあるわけです。

Q6.皆さんの進出に伴う沖縄側のメリットは何でしょうか。

A:我々の技術は基礎技術ですから発展性があるわけです。工場というところは、結晶から応用ができます。例えば、結晶ができたら次は組み立て、次は装置産業というように波及していきます。ですから、将来的には沖縄で海外企業とのジョイントでアセンブルラインを作ることも可能だと思います。
 実際、今回の我々の沖縄進出についてフィンランドのメーカーが関心を持っています。基礎的なものがあると広がりがある。要するにひとつで終わらない。
 我々の雇用は最初8名、2002年で23人くらいでしょうが、雇用を促進する力はアセンブル企業の方がありますから、次はこうした企業を狙って誘致していけばいいのではないでしょうか。 従業員が多いというのは人件費が大きくなって経営に響きますが、若年者の採用にあたって50%の助成金が出るというのは企業にとっては興味が出てくるところですね。

 

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