イシガキヌマエビ(危急種)
code k-01069
和名 イシガキヌマエビ
分類 エビ目 ヌマエビ科
学名 Neocaridina denticulata ishigakiensis (Fujino et Shokita, 1975)
方言名 サイナマ (石垣島/総称)
カテゴリー 危急種
環境庁版
カテゴリー
希少種
特性 形態: 雄の甲長4.0〜4.5mm、雌の甲長4.5〜5.5mm。額角は水平で第1触角中央を超えるが、第2節には達しない。額角上縁に2〜11歯 (普通6〜8)、下縁に0〜4 (普通1〜2)。雄の第1腹肢内肢は西洋ナシ状で拡大し、この属の特徴になっている。

近似種との区別: カワリヌマエビ属のエビ類は、沖縄県に本種とコツノヌマエビ N. brevirostris (Stimpson)の2種が生息しているが、後者は額角が短く上下縁に歯を欠くので、容易に区別できる。

分布の概要: 石垣島固有種。

近縁種及び群との分布状況の比較: 沖縄県には前述のコツノヌマエビが石垣島と西表島に分布し、県外国外ではミナミヌマエビ N. denticulata denticulata (de Haan) が西日本、コウライヌマエビ N. d. koreana Kuboが朝鮮半島、N. d. keunbaei Kim が済州島、N. d. auhuiensis Liang et al. が東中国、シナヌマエビ N. d. sinensis (Kemp)が台湾島と中国、N. d. vitnamensis Dang がベトナムにそれぞれ分布している。
生態的特徴: 生息場所は主に上流域で、落ち葉・木の根・水草の中等で生活する。抱卵個体は2〜11月にかけて見られ、産卵盛期は7、8月であった。大卵(1.07×0.67mm) を数少なく(平均31粒) 産み、幼生は尾節以外が成体に似る (直達発生)。幼生は海水中では死に、河川だけで一生をすごす。
生息地の条件: 河川の上流域の清流に生息しているので、赤土等土砂や農薬に汚染されてはならない。孵化直後の幼生が流されないような流れの緩やかな場所が必要。

生息状況: 主な生息地域は宮良川と名蔵川であるが、両河川とも諸開発で近年減少している。

学術的意義・評価: 本種は、小卵多産者から大卵少産者への分化、両側回遊性から河川陸封性への進化、および琉球列島と大陸との古環境を考える際に貴重な種である。

生存に対する脅威: 上記の生息域は近年大型ダムが建設され、生息場所が著しく減少している。それに伴い小集団内での近親交配による遺伝子の劣性化が懸念される。

特記事項: 本種と台湾産のシナヌマエビとは交接して、第2代(F2)まで出来ることが明らかになったが、代々子孫が出来るかは不明。両種はかなり近縁である。

原記載: Fujino, T. and S. Shokita, 1975. Report on some new atyid shrimps(Crustacea, Decapoda, Caridea) from the Ryukyu Islands. Bull. Sci. & Eng. Div., Univ. Ryukyus, 18: 93-113.

参考文献: 諸喜田茂充, 1979, 琉球列島の陸水エビ類の分布と種分化について−II. 琉大理紀要, 28: 193-278.