アマミヤマシギ(絶滅危惧種)
code g-00928
和名 アマミヤマシギ
分類 チドリ目 シギ科
学名 Scolopax mira Hartert, 1916.
方言名 ヤマシジャー
カテゴリー 絶滅危惧種
環境庁版
カテゴリー
絶滅危惧種
特性 英名: Amami Woodcock
形態: 全長約36cm。後頭の黒い横斑が顕著なシギである。体上面に褐色・黒・灰色の細かい複雑な斑紋がある。3列風切羽は暗オリーブ褐色で、羽縁に淡色の小三角斑がある。目の周りはピンク色、顔には2本の暗色の線が並行に走る。

近似種との区別: 近似種ヤマシギは全体的に赤褐色身を帯びる。アマミヤマシギより額が急角度にせりあがり目は高く位置する。したがって顔の2本の線は角度があり目の側で開いている。さらにヤマシギでは赤褐色の3列風切羽にある偏平楕円形の暗色斑が目立ち、またデイスプレイ・フライトを行う。しかしながら本種とアマミヤマシギの飛翔個体については両者の区別は困難である。

分布の概要: 南西諸島の特産種である。これまで奄美大島・徳之島・沖縄本島・渡嘉敷島に分布するとされていたが最近久米島と阿嘉島に分布することが報告されている (嵩原ら, 1995)。したがって今後の調査で分布域が広がることが予想される。

近縁の種及び群との分布状況の比較: 近縁種であるヤマシギ (S. rusticola) はユーラシア大陸の中部・北部に広く繁殖分布し冬は南に移動するものもいるとされる。国内では北海道、本州、伊豆諸島で繁殖し、他の地方では冬鳥として普通にみられる。沖縄県内でも冬鳥として10月頃から渡来し各地で普通にみられる。

生態的特性: 夜行性で夕方から活動し、ダムや林道わきの草地などで嘴を差し込んで餌をあさる。人には無関心な面があり驚かされたときもヤマシギが静かに飛び去るのと異なり、しばしば地上を歩きながら逃げ隠れする。ジシギ類に似た声を出して飛び立ってもすぐ近くに飛び降りるか急上昇して木の枝にとまる。2〜3月に地上で繁殖期のデスプレイを行う。山地の地上に皿型の巣をつくり3月〜5月初旬に2〜4卵を産む。詳しい生態はよくわかっていない。県内での繁殖記録はないが、夏場も観察されるので周年生息すると思われる。

生息地の条件: イタジイを主体にした常緑広葉樹林帯を中心に生息していると思われる。

学術的意義・評価: 長い間ヤマシギの1亜種 (Scolopax rusticola mira) と考えられ、ごく最近まで奄美大島のみに生息するとされていた。現在、南西諸島の6島に分布する日本固有種。

生存に対する脅威: 県内では林道建設や森林伐採・農用地の拡大・ダム建設による生息地の漸減している。生息地の分断・孤立化、野性化したイヌやネコの捕食、マングースなど移入動物の影響と交通事故が脅威である。

特記事項: 困難だと思われていたヤマシギとの野外識別が近年注意深い観察者には可能となってきた。将来、分布・個体数・生態分布などの詳細があきらかにされれば、それをもとにした具体的な保護策がとられることが期待される。県指定天然記念物 (1994)。国内希少野生動植物種 (1993)。

原記載: Hartert, 1916. Bull. Brit. Orn. Club, 36: 64. (Amami-oshima).

参考文献: Brazil M. A. and H. Ikenaga, 1987. The Amami Woodcock Scolopax mira :it's identity andidentification. Forktail, 3:3-16.
石田 健, 1995. シリーズ「この鳥を守ろう」の現在. 第1回 「アマミヤマシギは今」. 私たちの自然, 日本鳥類保護連盟.
環境庁編, 1991. 日本の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータブック− 脊椎動物編, (財)自然環境研究センター, 東京.
黒田長久編, 1984. 決定版生物大図鑑. 鳥類, 世界文化社, 東京.
Mark A. Brazil, 1991. The Birds of Japan, Christopher Helm and A & C Black, London.
名護博物館紀要 「あじまあ」, 5:17-22. 名護博物館, 名護.
嵩原建二, 1989. 沖縄島におけるアマミヤマシギ Scolopax mira の夏季と冬季の分布について.
嵩原建二・池間幸男・兼城克男, 1995. 慶良間諸島の鳥類. 沖縄県立博物館紀要, 21:101-128. 沖縄県立博物館, 那覇.
嵩原建二・久貝勝盛・瀬名波任, 1995. 久米島の鳥類について. 久米島総合調査報告書, 沖縄県立博物館, 那覇.
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