■ 航空機騒音のモニタリングとその分析
■ 生活質・環境質調査 現在のページ
■ 子どもへの影響
■ THI調査(東大式自記健康調査)
■ 住民健康診断
■ 聴 力

生活質・環境質調査

●不快感関連反応
 

 嘉手納・普天間米軍飛行場周辺の居住者に対する生活質・環境質調査の回答のうち不快感関連反応を分析した。WECPNL75ないし95以上の各騒音曝露地域ならびに非騒音曝露地域の居住者を無作為に抽出し,7,894名の男女に調査票を配布した。そのうち6,321名から回答を得て,有効回答が5,693通であった。分析に供した質問項目は,航空機騒音がうるさいか,思考あるいは仕事が航空機騒音によって妨げられるか,航空機騒音によって休息が妨げられるかといったものである。回答は5段階の評定尺度法によった。
 航空機騒音曝露の程度が広い範囲にわたることを考えると,すべての不快感関連尺度について非常に著明な量反応関係が得られたことは驚くにあたらない。たとえば「高度にうるさい」という項目に対する反応はWECPNL75から増加し始め,騒音曝露のレベルが高くなるにつれて高くなり,WECPNL95以上において70%に達する。他の項目についても同様の傾向が見いだされた。航空機騒音によって高度に思考妨害を訴える回答者の百分率は,WECPN上85から増加し始め,騒音曝露量の増大とともに増加して,WECPNL95以上において30%に達する。妨害の起こる時間帯は基本的に昼間であるが,WECPNL90ならびに95以上の地域では未明・早朝においても40%の人員が妨害を訴えている。


●TV・ラジオ聴取妨害・電話妨害
 

 嘉手納・普天間米軍飛行場周辺に対する生活質・環境質調査の回答のうち,TV・ラジオの聴取妨害,会話妨害,電話聴取妨害に関する回答を分析した。
 TV・ラジオの聴取妨害,会話妨害,電話聴取妨害,それぞれの正反応率はWECPNLに対して直線的に増加する。航空機騒音曝露量がWECPNLで95以上の地域においては,「いつもある」以上の頻度の聴取妨害が60%あるいはそれ以上となっている。多重ロジスティック分析を用いて回答を分析した結果,オッズ比の対数値とWECPNLとの間に直線的な関係があることが示された。


●睡眠障害
 

 嘉手納・普夫間米軍飛行場周辺に対する生活質・環境質調査の回答のうち,睡眠影響に関する質問に対する回答を分析した。
 睡賦障害に関する4つの設問への回答に基づいて,睡眠障害の程度を示す2種類の尺度値を求めた。高い尺度値の回答者の割合はWECPNLが高い地域ほど増加し,騒音曝露量と尺度値との間の著明な量反応関係が見いだされた。WECPNL,性別,年齢,職業,および性・年齢の交互作用を独立変数とした多重ロジスティック分析では,「週1回以上」,すなわち比較的頼度の高い睡眠障害を表す尺度値のオッズ比が,WECPNL95以上群で3.4であり,高曝露群では深刻な睡眠障害を受けていることが窺われる。一方,「月1回以上」,すなわち比較的頻度の低い睡眠障害を表す尺度値のオッズ比は,WECPNL75群においても対照群と占較して有意な上昇がみとめられた。この結果は,低曝露地域においても睡眠障害が生じていることを示している。


●居住環境の評価

 嘉手納・普天間米軍飛行場周辺の居住者に対する生活質・環境質調査の回答のうち居住環境評価関連の反応を分析した。分析に供した質問項目は,生活に満足しているか,居住地に満足か,現在の居住地に住み続けたいか,である。多重ロジスティック分析の結果,生活に不満である人員の割合に関するオッズ比は,WECPNL90ならびに95以上の地域において他の航空機騒音曝露地域および対照地域に比べて有意に高かった。居住地の評価が低い回答者のオッズ比は騒音曝露量が増大するにつれて増加し,WECPNL85もしくはそれ以上の地域と対照群との間でオッズ比の差が有意であった。より長く住みたい人員のオッズ比は,騒音曝露量が増すにつれて減少し,騒音曝露群と対照群との間に有意差が認められた。


●防音工事の実質的有効性

 嘉手納・普天間米軍飛行場周辺に対する生活質・環境質調査の回答のうち,防音工事の有無,防音効果,防音工事への満足度,睡眠障害,テレビ/電話の聴取妨害に関する質問への回答について解析した。防音工事の実施率は60%前後で,WECPNL(75,80,85,90,95)による差は小さかった。防音工事の効果を多少とも評価する者は,騒音曝露が低い地域(WECPNL75)では比較的高率(80%)に存在するが,騒音曝露が高くなるほどその率は低下し,WECPNL95以上の地域では30%程度であった。次に,防音工事実施群と非実施群に回答者を2分して,WECPNL別に聴取妨害や睡眠障害の正反応率やそのオッズ比を比較したところ,防音工事実施の有無による差はいずれも認められなかった。今回の調査結果によれば,防音工事は物理的にはともかく,生活実態としては居住者に対する航空機騒音の影響を緩解させていないと考えられる。



航空機騒音 航空機騒音のモニタリングとその分析 子どもへの影響