1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7

(崎山) それでは、打者一巡したところで、一言ずつまた皆さんにお話ししていただきたいんですが、喜友名さん、皆さんのお話を聞きながら、どうしても言い足りないことがありましたとさっきおっしゃっていましたので、どうぞ、自信を持ってお願い致します。
(喜友名) 私たちやんばるグリーンツーリズムのメンバーは役割分担をしております。今日私がここで発表させてもらいましたけれども、あと、こちらのほうに応援で来ているメンバー、役員の方がいますけれども、研究会のことについて質問に答える役割を持っています。簡単ながら紹介させていただきたいと思いますので立っていただけますか。
 右側の黒いジャケットの方は、伊野波さんといってミカン農家の方です。
 こちらのほうは加藤さん、同じメンバーでございます。
 その次の方は島袋さん、今は副会長です。
 唯一女性のほうが会計、書記を担っています岸本さんでラン農家のほうで紹介されています。
 このメンバーは、私と同じ内容を全部把握していますので、お好みの方をつかまえて質問していただけたら幸いです。よろしくお願いします。
(崎山) 喜友名さん、みんなのお話を聞いてどうですか。感想とご自分自身の、これから行政でも構いません。何かぜひこれだけは要求したいということがありましたら、問題提起も含めて。
(喜友名) 私は農業をやっていますので、農業が元気になる。さっき大一さんが言っていました農業を体験させたい。やっぱり、子供たちの農業の担い手をつくりたいというのがあって教育ファームを始めているんですけれども、そういう意味では、農業を生かしながら副業としてグリーンツーリズムを進めたい。ですけれども窓口も欲しい。何かそのへんで一緒に考えていけるものがいいなと、今日いろんな形のグリーンツーリズムを聞いたもので、大変参考になって、これから研究会のいいところを学んで勉強できたらなと思っています。
(崎山) 仲村渠さんも一言ぜひ。これからの思いも含めて、よろしくお願い致します。
(仲村渠) 私自身は読谷村でいろいろ体験などもしてやっているんですけれども、今日は読谷村からもたくさんおいでくださって大変ありがとうございます。その中で私は中部地区で結成したこのなかばるグリーンツーリズムの研究会の皆さんにも、自分の地域で自分にできることを無理なくやれば、だれでもグリーンツーリズムの中身が思うようにできるようになりますので、今日の皆さんのお話を聞いてやりたいとお思いになった方もたくさんいらっしゃると思います。私自身、県外の研修のおかげで、本物との出会いを感じたときにグリーンツーリズムをやっていきたいという思いがしましたので、これからなかばるグリーンツーリズム研究会でぜひ県外への研修をしながら、もっともっと勉強していきたいなと思います。そのときは、なかばるグリーンツーリズム研究会の皆さんみんな一緒に行きたいと思いますので、よろしくお願いします。
(崎山) 名城さん、どうですか。平田さんのお話も含めて、ことしも既に229校の修学旅行の申し込みがあるそうですけれども、どうですか、今までのお話を聞いて。
(名城) 自分は平田さんの話を聞いて思ったんですけど、こちらも受け入れ拡大をねらっているんですけれども、ただ単純に観光客がいっぱい来てくださいというわけではなくて、現状で修学旅行生は30万人が沖縄に来ているんですよ。年間10万人は恩納村に来ているんですけども、それの約1割ぐらいがこちらに来ているのかなと。その遊んでいる20万人を恩納村に来ていただいて、さっき自分たちがやっているのは簡単な、グリーンツーリズムという名前は売っていないです。サトウキビ収穫体験。ふれあい体験学習。
 自分たちは接着剤的役割と言いますけど、2時間の中で2本収穫して、サトウキビ収穫というのはこうやるんだなというのをまずわかります。自分たちが1本倒すのに1秒かかるのを、修学旅行生は5秒かかります。その大変さというのが、これを一日中やるといったら、やらない。疲れる。それをこちらのほうでわからせてあげて、実際に真剣にやりたいという方も何名かいたら、それは農業のほうに一日行ってきなさいと、それから本物の農業体験という形でつなげていく接着剤的役割ですね。
 それをやっているという形なので、考え方的には、増やさず、しっかりとした内容を充実させるというのは、200人、一気にサトウキビ収穫体験させれば利益率は上がりますけど、おもしろくないですよね。1列に20名並べてやりなさいといったら、実際、見たことがあるんですけど、そうやっているところ。ただ自分たちはそういうことはやっていなくて、最大受け入れは絶対40名まで。畑一つである程度できるのは40名ですよと。100名やってもいいけど、おもしろくないですよ、それでもやりますか。でも、やると言ったらさせます。学校と相談して。内容は絶対説明します。おもしろくないですよと。それでもいいんだったらさせますよと。一番重要視したいのは接着剤的な役割の窓口を各地域でつくれれば、それをネットワークとして県全体でつなげれば、もっと大きいグリーンツーリズムができるんじゃないかなと思いました。
(崎山) ありがとうございました。
 本村さん、どうですか、パネリストのお話を聞きながら。
(本村) いろいろ事例をお聞かせいただきまして、大変ありがとうございます。グリーンツーリズムはこんなに多様性が高いものだなと、いまさら認識を新たにしたところでございますが、平田さんがおっしゃっていましたけれども、やはり、リピーターというお話がありますね。これまでの時代の背景というのは、物の豊かさ、これに我々は、ともすればどっぷり浸かっていたということで、これからは心の豊かさ、その心の豊かさというのは、農業、農村の中にあるわけです。しかし、多様性が地域によってありますので、地域の個性を売っていく、これがグリーンツーリズムじゃないかなと。そして、個々人だけではなくて、個々人をつなぐ一つの地域としてのまとめをしていくところに、グリーンツーリズムのよさが出てくるんじゃないかなと。行政としては、その仕組みをつくっていく、おのおのに任せるだけではなくて、その仕組みづくり、誘導する方向をつくっていくことが大事なのではないかなと感じております。以上です。
(崎山) ありがとうございました。
 会場の皆様からもぜひご意見、ご質問などを承りたいと思いますけれども、どうですか。どんな質問でも構いません。これだけのパネリストの方がいらっしゃいますので、研究報告をしていただきました宮古・八重山、南部地区の皆さんへの質問も含めて、どうぞよろしくお願い致します。
 どなたかいらっしゃいませんか。
 パネリストの皆さんでどうですか。平田さんのお話を聞いて、ぜひこれだけは聞きたいとか、あるいはうちのグリーンツーリズムにゲストとして出てほしいとか。ギャラの交渉は後でするにして、平田さんへの質問も含めてありませんか。喜友名さん。
(喜友名) 平田さんは、この前、読谷とか、いろいろ子供たちを教えているんですけど、その子供たちの可能性を引き出すコツ、魅力、一人一人が本当にすごい輝いていける舞台、そのコツみたいなものがありますか。
(平田) まさに今日はグリーンツーリズムなので、ぜひそれをご紹介したい話があります。掛け肥の法則という法則があります。掛け肥というのは後で説明しますが、これは僕の舞台のつくり方というのは、畑で親父から教えてもらったサトウキビの育成の仕方と一緒なんですね。何度か講演会で話したことがありますが、サビ病って、僕らがサビ病って呼んでいたんですけど、キビの葉っぱに赤いサビみたいなものが付いて、葉っぱが丸くなって枯死していくという病気があるということで、これは伝染病だと言われて、次はうちの畑だと僕1人あたふたしていたんですよ。
 そしたら、親父が悠々とした格好でうちの畑は大丈夫だと、なんでかと聞いたら、サビ病にかかっている畑のあるじは週に2〜3回しか来てないと。だけど、うちの畑は来なくてもいいのに一日2〜3回来ているさ。だから、かかるはずがないと言うんですよ。あれは人間でいえば、かまってかまって病なんだと。どうやって治すのというと、薬もまかずに何もしない。ただ、畝と畝と間を行って帰ってくるだけで、サビがぼとぼと落ちるというような話があって、実際にやってみたんですね。
 そしたら、真っ赤にサビが付いて汚いという感じだったんですが、それで帰ってみると、ちょっとサビが落ちて、きれいな葉っぱになったということがあって、僕自身が子供たちに舞台を教えるときに、なるべく名前を覚えます。なるべく名前を覚えて、その子の名前を一日1回呼んであげるということを頑張ってやります。そうすると、子供の心がさびないんですね。一日1回ちゃんと名前を呼ばれるかどうかとても大事なことで、それは親でもいいし、先生でもいいんですけども、この稽古の場所でもそれをやってあげる。
 つまり、子供一人一人がサトウキビ1本1本に見えるときがあるわけですよ。そのキビとキビの畝の間を歩いているような感じで何も指導はしません。ただ、間を歩きながら、声が大きい子を見つけたら、声が大きいなとみんなに聞かせてあげようと大きな声の子をクローズアップしてあげたり、身体能力がとても激しくて、ぽんぽん跳んでいる子はすごいバネだなといって、そのバネを見せてあげたりして、どこの学校なのと名前と聞いて、その子を褒め称えてあげると。光を当ててあげるというか、そういうことをすることで、子供たちの可能性が伸びるように、僕もサトウキビもきっと一緒ではないかなというようなことを学んだことがありました。
 ラン博士に聞いたら、これは掛け肥ということで、花に言葉をかけながら育てるというのがあるらしいんですね。それが肥料になっているということで、緑肥とは違いますけれども、掛け肥という声を掛ける作業がサトウキビにも、農作物にも、花にも、人の子供の心にも栄養が必要なんですねということを言われたことがあります。舞台でやっている子供たちに僕は何も指導はしていません。ただ、褒めるのを7つ、それから厳しくだめだしするのは3つという感じで、7対3の割合で頑張っていいところを見るようにしています。以上です。
(崎山) どうもありがとうございました。
 お話を聞いてきましたけども、どうですか。グリーンツーリズムについて、それぞれの皆さんの心の中で広がりをお持ちになったでしょうか。グリーンツーリズム、叫ばれてから、実は何度も耳にしている言葉ではあるんですね。だけれども、沖縄らしいグリーンツーリズム、それから各地域によってグリーンツーリズムのデザインもいろいろ違ってくるのではないかなと思いますが、言えるのは、やはり、まちにとっては本当に農村の生活と風景というものが、今、まちの人にとっては本当に大事なときに来ているような気が致します。
 例えば、ことしに入ってからずっとニュースで追われています。IT産業に若者たちの関心が向きます。IT産業というのはまさにこのグリーンツーリズムの真逆にあるものですよね。ある意味で虚業というか、実態のないものでお金が動いていく社会があります。一方、農家はと言いますと、本当に実業の現場ですよね。台風にやられ、干ばつを気にしながら、実際生きていく仕事であるわけです。でも、こういう中で、これから私たちの沖縄がどこを目指そうかというときに、農業の果たす役割はとても大きいと思うんです。農業もつくる生産者と消費者の交流も大事ですよね。
 私は仕事柄、農業の現場の方々とよく交流する機会があって、それが私自身の生活を非常にある意味で複眼的に見る要素をつくりあげてくださっていると思っているんですが、例えば農家の人が言います。ただの水が、私が一生懸命育てた牛のつくる牛乳よりもうんと高いと。こんなことがあっていいんだろうかという話を聞くと、やっぱり野菜一つ買うときでも、ただ安いからいいのではなくて、どこでつくられているのかということが気になってきますよね。
 こういう中で、まちと村とが、やっぱりお互いに交流し合う、情報を交換し合う、そして、価値を共有し合う、ともに生きていくことを確認するためにも、グリーンツーリズムは大きな役割を果たすんじゃないかと思います。それぞれのお話を伺って、いかにこれから私たちの次の世代、この世代に人間としての仕事が伝わっているかというと、特に沖縄はまだまだだと思いますよ。観光客の数でいうと、去年が550万人の観光客が来ているけれども、1人当たりの消費量が大変低くて、たくさん来たけれども必ずしも収入につながっているかというと、場所提供だけに終わっているところもあります。これは農業も同じではないかと思うんですね。これから観光の質を求めるとしたら、さっき平田さんがおっしゃったようなリピーターをどうつくっていくか。
 それから、本村さんはさっき一島一物語、それぞれの島に一つの物語があるとお話をしていました。私たちの人生もそうですよね。私たちの人生も、平田さんが脚本をお書きになりますけれども、私たちは一人一人の人生を、自分のシナリオを書いて、自分で監督演出をして、キャストを務めているわけです。そういう意味では、一人一人の物語が豊かになるためにはどうするのかというときに、グリーンツーリズムと農業、グリーンツーリズムと観光というものをもっと多角的に考えていってもいいのではないか。そのためにも今日のシンポジウムはとても意義あるものであったと思います。
 これから、このグリーンツーリズムの可能性を含めて、それを皆様に実演でご紹介致します。平田大一さんと名城さんのジョイントが始まります。お二人はどうぞ楽器を準備して、舞台の裏のほうに進んでください。県のグリーンツーリズムが多角的に人を起用します。持っている能力はしっかりと使おうということで、名城さんは三線を、そして平田さんは太鼓と笛でこれから演奏致します。グリーンツーリズムの一番基礎になるのは、人と人との交流でもあるんですね。今日の締めにふさわしい舞台になるかと思いますので、平田大一さん、そして、名城さんのお二人のジョイントをしっかりと見つめていただきたいと思います。お二人の準備ができるまで一言ずつ、仲村渠さん、一言、お願い致します。
(仲村渠) 今日一応こちらに来て、平田さんとか、恩納村の名城さんと一緒になってできたことは大変な光栄に思っています。大変ありがとうございました。
(崎山) 本村さんは行政の方ですので、カットします。
 ということで、それではお二人の舞台、楽しんでいただきましょう。私たちはいったん壇上より下におりますので、平田さん、それではよろしくお願い致します。
(平田) 少し若気の至りでかなりきついことも言いましたけれども、ぜひ課題として持ってもらいたいと思います。
 なぜならば、いろんなこういうグリーンツーリズム関係の活動に参加していますけれども、どうも出口が見えない感じがずっとしているんです。自分自身がそういう活動や体験を通して感じたことは伝えていきたい。なぜならば、やはり、一番農家が元気なことが、お客さんが集まって喜ぶことですから、そのためならば、生産農家側に立った意見というのを言っていきたいと常に思っています。
 そのために、今日は横笛と太鼓を持ってきて、そして名城さん、後で最後に1曲ジョイントしたいと思いますので、どうぞ皆さん、今日は最後までお付き合いください。よろしくお願いします。
(余興14分)
(拍 手)
(崎山)  本当にすてきな演奏をありがとうございました。
 今日この会場で2人、ぱっと決めてくれたんですよ。本当にありがとうございます。お二人、平田大一さんは4月の1日に沖縄市民会館でこのレキオス再演がございます。ぜひ皆さんご覧ください。
(平田) 3月26日に、そのお話をいただいたオヤケアカハチが那覇市民会館で公演をします。100人余りの子供が八重山から来ますので、ぜひこれも応援してください。よろしくお願いします。
(崎山) このオヤケアカハチもよろしくお願い致します。オヤケアカハチも一方的に決めつけられておりましたが、実はこういう人だったという物語でございますので、オヤケアカハチの物語にも触れていただきたい。
 それから、名城さんは3月24日、県立郷土劇場で、かりゆし芸能公演の春の特別公演がございます。どうぞ皆さんお越しくださいませ。お願い致します。
 今日のこのシンポジウム、グリーンツーリズム、日本全国どこにでも、こんなふうなアトラクションはないのだろうと思います。これこそが沖縄らしいグリーンツーリズムの一つの提起かもしれません。お二人にあらためて大きな拍手をお願いしたいと思います。
(拍 手)

インデックスに戻る

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7




Copyright(C) Okinawa prefecture Agricultural Planning Division. All Rights Reserved.