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上田淳子 『農が潤い始めた今』

(上田)
 皆様、こんにちは。とても震えてますのでもう心臓が飛び出そうなんですけど、マブヤーが落ちたら拾ってくださいね。
 ちょっと余談になりますけれども、私は伊計島に住んでますけれども、生まれは恩納村谷茶でございます。「谷茶前の浜に」って谷茶の歌がありますよね。そこの西の浜にスルルーグワーって生まれて、西から東のほうの伊計島、今そこに住居を構えて農家民宿をやってますけれども、その伊計島のカツオにつられて行きました。
 それで午前中、大一さんからとてもすばらしい話をいただいて、たくさんの感動を、知恵と勇気をもらいました。何度か3年ほど前にお父様と一緒に恩納村のコミュニティーセンターでそういう話を聞きましたけれども、そのときもとても感動して、親子でやっていたことを思い出して、すごい親子関係がすばらしいなと思いました。
 私のテーマは、「農が潤い始めた今」ですけれども、そのきっかけはと言いますと、すべて伊計島の今の住居を構えたところが恵まれていたということなんですね。
 私は三男の嫁なんですけれども、三男として山をもらいました。今あるところ山だったんですけど、もう30カ年前にお父さんが何をしようということで、私は目的は本当は美容師だったんですよね。この美容師の店がなかったもんですから、最初20坪の美容室を建てました。
 ちょっと余談になりますけれども、つくるときにお金がないもんですから、そのときお父さんは船でしたから、大工さん1人を頼んで私大工さんになりました。大工さんと一緒に配筋からハッカーで家をつくる、それをくびったり配管したり穴掘ったりしてから、基礎までは私も本当にがむしゃらに働きました。そしておじいちゃんが、「エー、アンシェーハタラケーカラヤ、ドゥーインドー」とまで言われたんですけれども、でも、お金がないもんですから必死になって働きました。
 今のところが農家民宿なんですけれども、それから美容室をしながらサトウキビを始めました。なぜサトウキビと言いますと、子供の教育資金が足りなくて、その資金に回そうと思いまして、最初は1,000坪からサトウキビを始めました。1,000坪から始めて必死ですので、そのとき「K−1」というキビがありましたよね。K−1という長いキビでしたけど、それがとても長くて、2m、3mまで成長するんですよね。それに夢中になって畑1,000坪を一生懸命一生懸命やって、そして100mですけれども、100mの草とったりシチャバーカサイだりするのが、100m見えるぐらいにきれいにやってあったもんですから、「アンシ農業シー」と最初とても変な目で見ていたんですけど、もう我慢して我慢してずっと働いていたんですね。こんなこんなしながら、サトウキビも10年つくりまして、夫婦で70tまで挑戦しました。
 それで子育て終わって、それからちょっとお休みして、それから後にまた葉タバコの話が来たんですね。葉タバコを導入してまた10年ですね。ことしで10年ですね。最近ではパパイヤを始めてますけれども、私がそんなにできたのも普及所の方がいつも家にいらして、「上田さん、どう?」、「上田さん、どう?」とやさしい声で声かけてくるんですね。私は民宿をやる気はなかったもんですから、最初はもうはっきり断っていたんですね。今となって恥ずかしいんですよね。「どう、どう?」と来るもんですから、もうその人に負けちゃって。
 負けるんじゃなくて、すぐ宮古の津嘉山荘に行ったんですよね。民宿に泊まりました。実際連れて行かれて、もう私感動したんですね。来てから、「ああ、私でもできるさー」と言ってしまったんですよね。それからが始まりですね。
 民宿の許可を14年にいただきまして、まだ稼動はしてませんけれども、リピーターがいらして東京のほうから最初5名とかいらして、それからまた子供たちが来てます。保育所の子供たちが動物とか、そういうのを見ながら来てます。
 私の周囲が自然との環境がいいもんですから、グリーンツーリズムを始めました。それから勉強に入りまして、皆様とともにグリーンツーリズムの勉強を、講座を何度か受けながら、視察しながら、いろいろとそういう知恵を授かりました。
 いろいろ宮古とか福岡、各地方のツーリズムの視察を重ねながら次第に民宿経営を始めたんですけれども、私がこれまでこれたのは本当に周囲の方たちに恵まれて、すばらしい人生に恵まれたからだと思っています。ありがとうございます。
 私は輸入品ですから、嫁に来た他島の人なんですね、私はね。もういろいろと大一さんが言われたとおりに、とっても小さな島ですのでもう味方半分、敵半分なんですよ。相当泣かされましたよ。本当に泣かされました。きょう与那城町は来てますかね。来ているか、来ていないかわかりませんけれども、相当泣かされて泣かされて、でもぐっと我慢してここまで来たんです。これからはもう泣きません。一緒に歩みましょう。
 タバコ持ってきて、それからパパイヤしますけれども、味方半分敵半分でした。それから、「ヤー、イナグヌヌーヤンバー、メーガランケー」と言って、酒飲んでもう本当に殴りこみ入りまして、それからぐっと我慢して我慢して、よし見ておけ、見ておけと。10カ年後のことを私イメージしていたんですね。
 大一さんは5カ年をめどにしてますけど、私はずっと10カ年をめどにしたです。いつも10カ年というのを区切りをつけてやってきました。10カ年目には自分どうなっているんだろうとイメージするんですね。自分でイメージするんです。こうなっているかね、ああなっているかねーと自分で夢を描くんですよ。それでみんな実現してきました。本当に自分でも恵まれたなと思いますけど。それが今実現しつつあります。
 本当にいろいろと勉強したおかげなんですけどね。実践している活動とか情報発信している事例は、民宿をやってますけれども農家ですので、農家が主体なものですから、この民宿の開業は7月から10月までになっておりますけれども、宿泊のみが3,000円、食べて泊まって5,000円です。農業体験といたしましては、パパイヤ収穫とか料理とかを一緒にやりながら、近くにサンゴの貝細工がありますので、そこを体験してもらいます。
 伊計島のほうでは自然が残ってますので、自然散策やら中原遺跡やら出てますけれども、のんびりゆったり。私、丑年ですので、のんびりしてます。のんびりゆったりをうたってます。
 今のところ、5カ年前にパパイヤを植えつけたんですけど、去年の台風にやられてしまって500坪駄目になりました。でも、あきらめずにずっと今植え込み始まってますけれども、これからはJAさんを通してますけれども、「わした」のほうで週2回パパイヤとラッキョウを出してます。とても好評で、じゃんじゃん注文来るんですけれども、今いち品物が不足してとても困ってます。
 東京で開催されたスクーリングの仲間たちとの交流、情報報告、近況報告。去年は、青森のほうから8名様来ていただいて、交流しました。県のバスをお世話になりながら30名ほどで、読谷から伊計島まわって、ちょっとした時間でしたけれども楽しいひと時を過ごしました。
 何を言っていいやらわかりませんけど、大一さんが、みんな私が小さいときのことを言ってしまったので、とても感動して。
 やはりグリーンツーリズムは、小さいときに教え込んでおかないと、よみがえらないんですよね。私もずっと恩納村谷茶のターブックワーのほうでは、高校時分までは、鼻の皮がむけるまでずっとやりましたので。田んぼのほうはうんとやりましたので、私、お父さんとけんかします。
 ということは、畑は土だからいいんですけれども、田んぼはとても大変なんですよ。だから、「畑できないのは何にもできない」と、いつもけんかするんですよ。「苦労したのは私が上だよ」と言います。そういうのがありまして、キビを大変とか、畑が大変とかいうのを私は本当に考えられません。私なんか、本当にこのぐらい膝まで浸かって田んぼしましたので、その苦労がわかりますので「何でもない、何でもない」と言うんです私、主人には。
 ですから、キビ倒しでも、うちの主人は船でしたから、来るまでは私が一生懸命キビを倒すんです。来るまで倒してみんな置いておくんですね。来てから主人が一緒にやって、挑戦してこれまで来たんです。これはまだだれにも言ってなかったんですけど、初めて申しますね。私の過去を申したんですけど。
 これから手がけたいことや課題は、5年前よりパパイヤを植えつけてますので、本年度からは有限会社パパイヤ、伊計島のパパイヤ組合を立ち上げました。本格的にパパイヤ栽培を目指しています。健康産業を目指してパパイヤを発信し、県産食材などを安定供給できますよう、これからパパイヤハウスを生かしていきたいと思います。ただいま販路が明らかになっていますので、とても作業に意欲がわいてきております。
 今後も農業生産を優先に行い、パパイヤを生かした収穫体験や料理体験、農閑期の農家民宿の開業を通して訪れた人たちと交流し、伊計島や農業のよさを伝えていきたいと思います。
 また、金曜日に小ヤギが生まれました。ぬいぐるみみたいな、とてもかわいいヤギが生まれました。フランスガモとかウコッケイとかナゴヤコーチンが卵を産みますので、その卵はすべて買いません。自家製です。自家製を使っています。今後は、動物とのふれあいを楽しんでもらいたいですね。
 将来はパパイヤの加工品、シャーベットとか、そういう地産の、こういうラッキョウとか島ものを生かしながら販売したいと思っています。
 私から行政への要望なんですけれども、去った何カ年か前に、テレビの韓国からの映画で韓国の女性でしたけれども、こういう大きな馬車に乗って、「グリーンツーリズム」と言って小さい子供たちを海に連れていくんですよ。それがとても大事だなと思って、とても印象に残ってますけれども。
 やはり小さいときからグリーンツーリズムをやっておきますと、大きくなっても思い出すんですよ。こんなことがあった、あんなことがあったということで、大一さんみたいに。とても大事だなと思って、これを書いたんですけどね。
 やはり私もそういうふうに育てられましたので、それが生かされているのかなと思います。うちのおばあちゃんの教育がとてもすばらしかったんですよ。親はそんなに教育はしてなかったんですけれども、おばあちゃんがとっても教育熱心で、すべてあるものでまかなっていたんですよね。バナナとかあるものでみんなまかなって、それで私はその知恵を引き継いだのかなと思っています。
 すべて農に魅力を感じて、美容室もウッチャンナゲテから、農業に今……。畑に行きますけれども、「あんた何が主体なの?」とよく言われますけれども、やはり農家してはじめてこの潤いをかみしめています。やはり子供たちにも農の喜びを味わいさせたくて、つくる喜び、収穫の喜び、食べる喜びがありますので、とても大事だと思っています。 
 行政のほうにも長続きしますようお願い申し上げます。これで終わります。
(拍 手)

(本村)
 どうもありがとうございました。上田さん、今は苦労の涙から感動の涙に変わったんですね。皆さん、もう一度拍手をお願いします。
 やはり幼いころの感動体験というのが今生かされているんです。それから、外から来まして外の目があったのではないかなと思います。
 それからお話の中になかったんですが、民宿のすぐお隣は砂浜です。ずっと海がありまして、砂浜が続いております。どうぞ皆様方、一度は行ってみてください。どうもありがとうございました。

(本村)
 それでは続きまして、糸満市でハーブ経営に取り組んでいらっしゃいます。テーマが「ニーズに合ったネットワークづくりは癒しから」と題しまして、岸本洋子さんからよろしくお願いしたいと思います。


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