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松本壮 『伊江島ファームステイで地域おこし』

(松本)
 はじめまして。伊江村から参りました松本です。私も苗字でおわかりのとおり、顔はウチナーンチュ顔をしていますけど、長崎出身のナイチャーでございます。3年前に伊江島に家族5人で引っ越してきまして、今、ぼちぼち島の空気にも慣れ始めて、言いたいことが言えるようになりました。
 伊江島でやっているファームステイという部分のパンフレット、まだ作成中ではありまして2部しか持ってきておりませんので、できたら回覧してご覧になっていただきたいと思います。
 まず、伊江島で何をやっているかをご説明した後で、私の活度の内容をご説明します。
 伊江島で今体験学習、修学旅行を対象としたファームステイという事業を平成15年度から行っておりますが、内容については農家、水産業家、畜産業家、それと商工業、いろいろな伊江島の本当の民家があります。三線の道場もあります。お弁当屋さんもあります。そういったところをホストファミリーにしながら、本土からの中学、高校生を受け入れまして3人から5人、1泊2日を基本として体験学習ということで、受け入れを始めました。
 子供たちにホストファミリーを選ぶことはできません。観光協会が事務局機能を発揮しておりまして、民家の割り振り、子供たちの割り振り、全部やっております。学校側からも、そこらへんの割り振りや体験内容については、すべて観光協会に一任いただくという条件で受け入れをしております。
 牛のにおいを初めてかぐ子供だったり、草負けする子供だったり、いろいろな問題が出ました。牛のふんをかいだり、サトウキビ畑に入ってネズミを見て仰天したり、いろいろな都会の子は島では考えられないような反応を示しますが、一様にして言えるのは、お弁当づくりを朝3時から起きて手伝ったり、そのままお家がやっている仕事、雨の日だったら牛小屋の掃除、倉庫の掃除、天気の日だったら、登山をしながら草花の勉強などですね。いろいろなホストファミリーならではのいろいろなプランで子供たちをもてなしています。
 ただ、一つ原則としてホストファミリーに言っていることは、「お客様扱いをするな」。自分の子供を自分の家のしきたりで、1泊2日で里帰りしてきたと思って特別なお客様扱いはするなということで、みんな素朴な感じの体験をして本当のお父さん、お母さん、子供のような関係で、1泊2日で島を後にするときは、子供も受入農家も涙します。1泊2日の短い体験ですが、非常に濃い内容の体験学習になっています。
 この体験学習を始めた理由というのは、やはり伊江島というのは伊江タッチュウに代表されるような観光地は数多くあるんですが、どうしても日帰り観光が主流の島でして、サイクリングでの修学旅行とかも多いんですが、朝10時の船で島に渡ってきて、10時半〜4時の船、3時半に集合ですので、約4時間で1周できてしまう島なんです。だから、泊まる意味合い、それで修学旅行1クラス、2クラス受け入れる宿泊施設のキャパもありませんし、そういったことが理由で日帰りが主流でした。
 私が島に来て何がいいかって、夜の星空、それと夜の静けさ。そういったものを子供たちに体験させたいなと思ったところに、観光協会から民泊プランの提案がありました。行政としてバックアップしていった内容は、「パンフレットとか広報用のツールが欲しいね」という話になって、そういったところをつくれるような事業がないか。また、いろんな受入条件を整備するような事業はないか。そういった部分の県への情報収集とか、先進地の情報収集とかを初めにやりました。
 先ほど平田先生から話がありましたように、どうしても役所というのは文書で申請、文書で依頼というのが原則になります。文書主義ですからしょうがないんですが、民間の方々、観光協会の団体なんですけれども、そういった皆さんは文章を書きなれていません。頭の中にはいろいろなプランがあるんですが、それを形にできません。
 伊江村の場合は、役場職員がそれを代行しました。皆さんで話し合って、企画書を自分で書いた企画書を自分で受けました。そういったバックアップ態勢をまずやりながら、いろいろな広報システム、広報のツールとか、そういった部分を効率的にお知らせしていくにはどうしたらいいかという問題を中心にバックアップをしています。
 レジュメのほうに戻りますけれども、概要としては、ホストファミリーで家業を体験させる方式をとっています。行政としてサポートできるのは、補助事業の申請、実施、構造特区関連。構造特区をつくろうという動きもいろいろありまして、情報収集などをはじめ、うまくやっていけるような受け入れ側が、子供たちを受け入れることに全力を注げるようなバックアップということを目標に活動をしています。
 これから手がけたいことは、大体の受け入れ人数を申し上げますと、最初は、平成15年が4校358人。平成16年度が14校1,600人。平成17年度予定も含みますが、36校4,100人の受け入れ予定があります。
 産業としては、1人1万円。船代、宿泊費、受入費ですね。受け入れたとすると、1人1万円が島の経済に落ちるという計算になります。おみやげも買っていかれますし、そういった部分で言うと、1万人を受け入れれば1億円産業なんです。これが新たな設備投資もなしに、今あるそのままの家庭に受け入れて一大産業としてなり得るという感じの将来像が見えてきてますので、今後はこういった受け入れを進める傍ら、一番気をつけないといけない安全面、それと台風等での危機管理、食中毒等への注意、そういった部分を行政がサポートできればなと思ってます。
 また、受入民家によって随分ちょっとクオリティーの差が出始める時期でもありますので、そういった部分を規制をするのではなくて、みんなで情報交換をしながら、均一した品質を提供できるように見守っていきたいと思ってます。
 行政の要望としては、伊江島の場合もグリーンツーリズム担当は観光担当が受け持ってます。基本的には農林水産、それと観光というのが連携をしながら進めていくべき事業だと思いますが、現状のところは伊江村農林水産課の職員は1人も来てませんし、観光係が1人で来ている状況になってますので、そういった連携を強化していきたいなと思っています。
 あとは質問のほうでよろしくお願いします。以上です。
(拍 手)

(本村)
 どうもありがとうございました。伊江村商工観光課の松本さんからは、修学旅行に限定いたしまして、農業、漁業とかあるいは商工業などをホストファミリーとして家業を体験させるというようなことで、その体験を終えたら子供たちは涙を流すというような感動ですね。感動をもって、また来たいというようなところまできていると。
 そして役場といたしましては、これから情報発信とか、あるいは受入農家の意識啓発とか、そういったものをサポートしていきたいというふうな、支援していきたいというようなことではなかったかと思います。どうもありがとうございました。
(本村)
 3名の市町村関係からご報告がありました。次は、実践なされていらっしゃる方3名によりますご報告をお願いしたいと思います。
 まず最初に与那城町で農家民宿、それから農業体験をなされていらっしゃいます上田淳子さんによろしくお願いしたいと思います。

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