IT社会に対応する高速大容量情報通信網の構築
沖縄県総合行政情報通信ネットワーク整備事業
沖縄県企画部情報政策課長
1、沖縄県の概況
沖縄県は、我が国唯一の離島県であり、九州の南から台湾の間に弓なりに連なる南西諸島の南半分に位置し、距離にして東西1,000km、南北400kmに及ぶ広大な海域に大小数多くの島々で構成され、130万人余の人々が暮らしています。気候は、亜熱帯地域に属し、1年を通して温暖で、珊瑚礁の青い海、貴重な野生動植物が生息するなど、豊かな自然環境に恵まれ、健康長寿県、観光・リゾート地として知られています。また、温暖な気候を利用して、多くのプロ野球の球団がキャンプ地として利用しています。
このような中、本県では、「平和で安らぎと活力のある沖縄県」づくりを目指し、平成14年4月に施行された沖縄振興特別措置法に基づき策定された沖縄振興計画の実施計画として「沖縄振興推進計画」を作成し、自立型経済の構築に向けた産業の振興、雇用の安定と職業能力の開発、科学技術の振興と国際交流・協力の推進等、様々な振興施策を展開しています。
2、沖縄県の情報化施策の推進
本県では、高度情報化を本県の各分野における振興開発を行うための有力な手段として位置づけ、平成3年3月には「沖縄県高度情報化基本構想(インテリジェントアイランドおきなわ)」を策定、平成10年9月には、情報通信関連産業の集積・振興を図るため「沖縄県マルチメディア・アイランド構想」を策定、平成13年7月には、すべての県民が一体となって取り組む意志を内外に表明する「沖縄e-islnd宣言」を行い、そして平成15年3月には本県のe-islnd実現に向けて基本的な考え方及び施策を具体化する方向を示す
「沖縄e-islndチャレンジプラン」を策定した。
このチャレンジプランでは、「情報通信基盤の整備」、「人材の育成」、「産業の情報化」、「県民生活の情報化」、「電子自治体の実現」を重点プロジェクトに掲げ、今後10年間を期間として適宜見直しを行いつつ各種施策を推進していくこととしています。
3、沖縄県総合行政情報通信ネットワークの整備
本県では、従来の防災行政無線網の再整備に併せて、21世紀の高度情報通信ネットワーク社会に対応する高速大容量の情報通信網として「沖縄県総合行政情報通信ネットワーク」を総事業費約85億円をかけて整備し、平成15年4月から全面運用開始しました。
このネットワークは、県庁を中核に、中継局及び支部局を経由して、市町村、消防本部、県出先機関及び防災関係機関が接続されています。
(1)目的
このネットワークは、防災通信機能の拡充強化、行政情報伝送の効率化、地域からの情報発信の活性化等を図ることを目的とし、通信回線の高速大容量化、デジタル化、2ルート化を図り、伝送方式にATM技術を導入し、各種サービスクラスの設定や自動迂回機能により、回線の有効利用やセキュリティーの確保を図り、高い信頼性と安全性を確保しています。
(2)整備方針
このネットワークの整備に当たっては、本県の自立的な発展を図る次世代の通信インフラとして位置づけ、次の整備方針のもと整備しました。
ア 県民のためのネットワークであること。
イ 災害に強いネットワークであること。
ウ 高速大容量で低廉なネットワークであること。
エ 拡張性の高いネットワークであること。
オ 行政の情報化を支えるネットワークであること。
カ セキュリティーの確保が徹底されたネットワークであること。
(3)事業計画
本ネットワークは、次の年次計画に基づき整備しました。
ア 平成9年度:整備基本計画の策定
イ 平成10年度:衛星系の基本設計
ウ 平成11年度:地上系の基本及び実施設計
エ 平成12〜14年度:地上系の整備
オ 平成14年1月:一部運用開始
カ 平成14年度:衛星系の実施設計及び整備
キ 平成15年4月:地上系及び衛星系の全面運用開始
(4)ネットワーク構成
ネットワーク構成としては、無線系、有線系及び衛星系
で構成され、無線系は、
多重無線回線
で構成する幹線系と
MCA無線回線
で構成する端末系に分けられる。なお、MCA無線回線は、固定系と移動系に分けられ、移動系は、車載型と可搬型で構成。有線系は、県庁と支部を結ぶ自営光ケーブルの幹線系と支部と市町村等を電気通信事業者の専用線サービスで結ぶアクセス系で構成。なお、沖縄本島と宮古島間はマイクロ波による回線構成が困難であることから、海底光ケーブルで接続。衛星系は、全国の自治体相互間を結ぶ地域衛星通信ネットワークの第2世代システムとして全国に先駆けて整備しました。
無線局数としては、1県庁局、16中継局、5支部局、75端末局(市町村41、消防18、県出先11、防災関係機関5)、13基地局、73陸上移動局、5地球局合計188無線局とっています。
(5)回線容量
回線容量としては、次のとおり大容量化を図りました。
ア 多重無線回線は、離島の海上伝搬区間が52Mbps、その他の区間が104Mbps、MCA無線基地局までの間が3Mbpsとなっている。
イ 光ケーブル回線は、幹線系が155Mから622Mbps、アクセス系が1.5Mから5Mbpsとなっている。
ウ 衛星回線は、県庁局が3Mbps、支庁局が576Kbps、市町村局が672Kbpsとなっている。
(6)機能
機能としては、次のような機能を有しています。
ア ネットワーク構成機関相互間におけるダイヤル通話機能(電話の内線化)
イ 音声及びファクシミリによる一斉指令機能
ウ 統制及びホットライン機能
エ IPデータ伝送機能
オ 映像伝送機能
カ 衛星系は、個別通信(ダイヤル通話機能)、IPデータ伝送(住基ネット及びLGWANでも利用予定)、一斉指令及びデジタル映像の受信機能を有する。
(7)利活用計画
利活用計画としては、災害時における防災通信は勿論、平常時における行政情報交流の伝送路として利活用する計画であります。現在、ダイヤル通話機能のほか、次の情報システム等が稼働中であります。
ア 県本庁と各県出先機関を結ぶイントラネット
ウ 河川情報システム
エ 漁業無線通信ネットワーク
オ 映像配信システム(県本庁から支部局及び市町村への配信)
カ 住基ネット、LGWAN、国保ネット及び介護保健ネット
キ 気象情報のFAX自動配信システム
ク 防災情報システム
(8)事業効果
このネットワークの積極的な利活用により、次の効果が期待できます。
ア 災害に強いネットワークの構築により、防災対策の迅速・的確化等に寄与
イ 行政の高度情報化及び電子自治体の実現に寄与
ウ 行政事務の効率化、行政サービスの向上、通信費の節減によるコスト削減効果に寄与
エ 県民への情報提供やネットワークを利用した情報交流が活発化し、地域活動の活性化に寄与
オ 沖縄県マルチメディアアイランド構想を実現するための通信インフラとして産業振興に寄与
4、むすび
今後は、このネットワークの積極的な活用を図り、防災対策の迅速・的確化はもとより、行政情報の電子化・共有化による行政サービスの向上、行政事務の効率化、医療、福祉、教育における情報化の推進、そして県民生活の情報化等を推進していきたいと考えています。
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