「緑の中のまち」事例のひとつ。ドイツ(2)

沖縄県全体の産業振興をけん引する振興拠点ゾーンの形成に向け、

≪テーゲル空港跡地開発≫

カーボンニュートラルの取組

5000戸の住宅プロジェクト

大規模な緑空間の確保

空港資源の保全と活用

合意形成・情報発信

≪アドラースホーフ開発≫

大学・研究機関・企業との連携

住宅需要に応じた住宅開発

大規模な緑空間の確保

スタートアップ企業を支援する
コワーキングスペース

を「緑の中のまちづくり」の先進国でみてきました。

ベルリン市の場所

●ベルリン市

テーゲル空港跡地開発「Tegel Projekt」

テーゲル空港跡地開発の概要
テーゲル空港
  • 1948年に開港して以来、ベルリン市民に長年利用されてきたテーゲル空港は、ベルリン・ブランデンブルク国際空港の開港によって2020年11月の閉鎖・廃港。
  • テーゲル空港は、中心部から近くて交通の便が非常に良かったことが最大の特徴。そのため、想定の約5倍である、年間2500万人が利用する空港に成長した。
  • 市民に愛されたテーゲル空港の建物は建築物保護の対象となり、建物を再利用することを前提に跡地利用を計画。
テーゲル飛行場跡地全景(稼働当時) 飛行場ターミナル施設
■テーゲル空港跡地開発の概要(ベルリンTXL提供資料)
  • テーゲル空港跡地開発は、地区面積500haの大規模開発。
  • アーバンテックリパブリックは、地区の中心として重要な場所。(キャンパス39ha、商業ゾーン70ha、産業ゾーン80ha)
  • 空港設備の一部は再利用され、古いターミナルビルは研究用の商業スペース、新興企業のオフィスへと刷新。名門のベルリン工科大学が入るほか、オフィススペースには大小1000社が入居予定。
  • シューマッハ地区は、48haのベルリン市でも最大級の新たな住宅地区で、5,000戸の新たな集合住宅、公園、学校、商業施設などが誕生。
  • ベルリン州からBerlinTXLの開発と管理を委託されたテーゲルプロジェクト社に対し、2021年8月に土地を引き渡し。
土地利用ゾーニング図 テーゲル空港跡地開発完成予想図
カーボンニュートラルの取組
  • 地区内のあらゆる場所でカーボンニュートラルに取り組む
エネルギーコンセプト 雨水を利用したヒートアイランドの抑制 各ゾーンの緑化イメージ
5000戸の住宅プロジェクト≪シューマッハクォーター(46ha)≫
  • 5,000戸の住居を建てて1万人を居住させる。
  • 住宅供給計画

    2,500戸(50%):ベルリン州の開発公社(BWG)
    2,000戸(40%):民間
    500戸(10%):学生寮※公共が建設
  • 5,000戸の住宅は、全て木造集合住宅として建築。
  • 第1工区は2028年、第2工区を2040年までを目標に建設。

≪民間の2,000戸の建設スキーム≫

  • 地区のコンセプトに共感した住宅希望者がベルリン州の土地を定期借地(借地期間99年)として共同住宅を建設。1住棟当りの住戸数や希望者数に定めはなく、状況に応じて住棟を建設。
  • 建築家と住棟プランを計画し、建設のためのプレゼンテーションを行い、建築がスタート。

≪交通計画≫

  • 地区の縁辺部に駐車場とモビリティハブを設け、シェア自転車やシェアバイクを利用。

≪緑地計画≫

  • 公園整備はテーゲルプロジェクトが整備、人々が休日に憩うような空間を創出。
住宅棟 緑地空間 商業スペース モビリティハブ 集合住宅地シューマッハクウォーター 住宅地周辺に点在するモビリティハブ
大規模な緑空間の確保≪ランドスケープスペース189ha≫
  • 地区面積の約4割を占めるランドスケープスペース
  • 地区西側では羊を放牧
  • 滑走路は憩いの空間として活用予定
空港資源の保全と活用
  • 記念物として保全対象となっている空港施設や設備
  • 貨物倉庫をスタートアップ企業事務所に暫定活用
  • 飛行機格納庫跡はイベント等に暫定利用
  • 防音格納庫と自動運転実験場
大学キャンパスへのリニューアルが予定されている空港ターミナル施設 航空関連設備も保全対象
合意形成・情報発信(インフォセンター・ガイドツアー)

≪インフォセンター≫

  • プロジェクトの計画に関するデジタルインタラクティブ展示や完成イメージ動画、パース、開発計画図等を展示

≪ガイドツアー≫

  • BERLIN TXLは、立入禁止となっているテーゲル空港跡地内を見学できるガイドツアーを実施
  • 模型にプロジェクターで投影
  • タブレットで操作
  • ツアーの集合場所
  • ガイドツアーのようす
テーゲル空港跡地開発の現地調査
  • ベルリンTXLからの説明
  • 模型とICTを組合せたインフォメーションシステム
  • 模型による分かりやすいプロジェクト説明
  • ヒアリング研修の様子
  • インフォセンター内喫茶コーナー
  • ベルリンTXLインフォセンター

アドラースホーフ開発「Adlershof」

アドラースホーフ開発地区の概要
■アドラースホーフ地区
  • かつてアドラースホーフは、航空関連の研究施設が集中。世界中から航空パイロットが集まり、50万人規模の航空イベントなども開催。
  • 1909年から産業、ビジネス、研究の場所として発展し、1945年まではドイツで最も重要な航空研究の地区となった。
  • 第二次世界大戦後のベルリン東西分断により、東ドイツ政府はアドラースホーフを自然科学の重要な研究拠点にすることを決定。宇宙探査、光学、太陽光発電、化学などの研究が行われ、当時は6000人の自然科学者が集まった。
  • 1989年の東西統一による東ドイツの社会主義統一体制の終焉によって、東ドイツから西ドイツに国民が流出し、東ドイツ経済は崩壊。工業生産の70%が消失し、アドラースホーフはほとんどの産業が閉鎖した。
  • 1990年以降のアドラースホーフは混沌とした状況にあったが、この広大な用地を放置しておくことはベルリン州にとって大きな課題であった。一方、ベルリン州では、新たなテクノロジーパークを建設する必要が生じており、1991年にベルリン州がアドラースホーフに建設することを決定。
  • 1991~1993年でテクノロジーパークの実現に向けたマスタープランを作成。事業後30年が経過しているが、一部の住宅用地が未利用。
アドラースホーフ地区(上空写真)
■アドラースホーフ地区マスタープラン(出典:WISTA Management GmbH)
アドラースホーフ地区マスタープラン
大学・研究機関・企業との連携
■アドラースホーフの協力体制

≪WISTA Management GmbH≫ 科学技術パークの開発・運営会社

  • 技術センターや不動産の建設、運営、賃貸および起業を支援

≪フンボルト大学≫ ドイツ国内エクセレンス・イニシアティブに指定された大学の一つ

  • 化学、地理学、コンピューター科学、数学、物理学、心理学の学部

≪IGAFA≫ アドラースホーフ内の大学以外の研究機関のイニシアティブ協会

  • 学際的協力の推進と科学に対する一般の理解の支援、国際的なゲストへのサポートやミーティングセンターの運営

≪TKA≫ アドラースホーフに拠点を置く技術志向の企業の利益を代表する共同体

  • 企業間、研究機関、フンボルト大学自然科学研究所との交流や協力を促進、支援
連携イメージ
■フンボルト大学キャンパスエリア(出典:WISTA Management GmbH)
  • フォーラムアドラースホーフ
  • ビジネスセンター
  • フンボルト大学キャンパス
■サイエンステクノロジーパーク(出典:WISTA Management GmbH)
  • センターフォトニクス・光技術
  • バイオテクノロジーセンター
  • 太陽光発電・再生可能エネルギーセンター
大規模な緑空間の確保
≪ヨハニスタール景観公園≫
  • 旧ヨハニスタール飛行場の跡地を緑地空間として、活用。
自然保護区 ヨハニスタール景観公園
住宅需要に応じた住宅開発
(段階的な住宅プロジェクト)
  • 住宅需要を鑑みながら、20年程度をかけて段階的に住宅開発を実施。
スタートアップ企業を支援するコワーキングスペース
  • WISTA がスタートアップ企業を支援するため、2017年11月にオープンしたコワーキングスペース(WISTAビル地下1階の約550㎡)
コワーキングスペース
地区内の現地調査
  • ヒアリング研修の様子(WISTA Management GmbH)
  • メイン通り(路面電車・車道・自転車道・歩道)
  • 路面電車
  • 保存建築物を再利用した学生食堂
  • 航空関連研究施設跡の観光利用
  • 居住エリアの歩行者専用道路
  • 地下浸透型水路
  • 従業者のための路上駐車スペース
  • 共同住宅エリアの緑化