III 具体的施策


1.全県を対象とした自由貿易地域制度の創設

 我が国唯一の沖縄自由貿易地域制度の運用実態を踏まえつつ、海外のフリートレ ードゾーンに準じた措置内容を参考としながら、関税法や輸出入を規制している関係法令などの適用除外を基本とした特例制度が必要である。
 これにより、沖縄県内に輸入される外国貨物について、関税の免除、IQ枠の撤廃などを図り、原材料及び生活用品価格等の大幅な引き下げを図る。
 また、自由貿易地域である沖縄県で原料が輸入され、加工された製品を本土地域に搬入するに際しては、原料課税あるいは製品課税のいずれか低い関税率が選択できる関税の課税の選択制を適用する。加えて、通関手続きの簡素化及び迅速化を図る。
 なお、全県自由貿易地域化については、当面、那覇地区の拡充強化等に向けた制度改正等について先行的に実施するものとする。

○関税の免除
○関税の課税の選択制
○IQ枠の撤廃等輸入の自由化
  ・IQ品目や食糧管理法などで制限されている品目の輸入の自由化
○通関手続きの簡素化
  ・輸出入許可、承認などの権限の一元化
  ・輸出入申告の事前受理・入港前許可
  ・輸出検査の省略
  ・輸出国審査の承認の適用


2.投資税額控除制度の創設等

 国内外からの企業立地の促進と県内における経済活動の活性化を図るため、沖縄県に限定した税制面の優遇策として投資税額控除制度を、自由貿易地域制度の実施に先立ち創設する。
 資本集約度の高い産業や設備更新期間の短い業種にとって当該制度の活用効果は高く、また、市場の動向や技術展開の方向性が見通しにくい先端業種では投資リスクの軽減となることから、立地コストの観点からみて非常に効果的である。
 これにより、投資意欲が高くて技術的にも最先端にある企業群が集積し、我が国の産業フロンティアが形成される可能性がある。さらに、これらの中核企業に関連した企業や研究機関などが、関連立地していくことも見込まれる。
 加えて、県及び市町村が事業税、不動産取得税及び固定資産税の課税免除又は不均一課税を行った場合、国はその減収分の一定割合を補てんするものとする。      
 なお、投資税額控除制度の創設とともに、沖縄県内に立地する企業に対し法人税率の引き下げを実施すべきとの意見もあるが、タックスヘブンとして濫用され、実質的な沖縄の産業振興に結びつかないことも懸念されることから、本委員会では、企業の投資行為に着目して、実質的な税負担を大幅に軽減する従来にない投資税額控除制度の創設を提案するものである。
○企業立地促進投資減税制度の創設
  ・投資額の50/100を、最長10年間にわたり法人税額から控除
  (控除限度額は当該年度法人税額の40/100)
○地方税の課税免除又は不均一課税に伴う減収補てん

3.運輸関連の規制緩和

 離島県である沖縄にとって、産業活動をはじめ県民生活に及ぼす運輸部門の影響は極めて大きく、今後国内外との人の交流や物流の拡大により産業・経済活動の活発化を図っていくためには、運賃コストの低減が重要な課題となる。
 我が国では、各輸送機関ごとに参入・価格面で各種の規制があることや、人件費、燃料費、関連施設の使用料等が諸外国に比べて割高となっていることから、輸送コストはかなり割高となっている。
 このため、以下の施策の実施により、運賃の低減とともに、海・空の交通ネットワークの拡充を図る。
○沖縄−本土間航路の外航扱い
○港湾運送事業の参入・価格規制の見直し
○港湾使用料の軽減
○運輸権つきの以遠権を認めるなどオープンスカイ政策の実施
○国際航空路線の那覇空港着陸に係る空港使用料の軽減

4.入国手続きの簡素・合理化

 観光、商談等を目的とした一時的滞在者に対しては、人的交流を促進するため、多くの国家間で相互に査証を免除する取り決めがなされており、現在我が国では、50数カ国と査証相互免除取り決めを結んでいる。
 しかし、アジア諸国に対しては諸般の事情から査証取得を義務づけているところが多く、沖縄の近隣諸国からの観光客誘致上、一つの隘路となっている。
 そのため、人的交流の促進を図る観点から、海外からの観光入域客の増加を図るため、入国手続きの簡素・合理化を推進する。
○入国手続きの簡素・合理化

5.関連インフラ整備の推進

 産業・経済の振興のためには、制度面の拡充とともに、空港・港湾のハブ化や高度情報化に対応したインフラ整備の重点化が不可欠である。
 現在、沖縄政策協議会において沖縄振興プロジェクトの推進が図られているところであるが、とりわけ以下の整備に向けて所要の予算確保が必要である。
○港湾の整備
  ・那覇港国際ハブ機能整備
  ・中城湾港国際ハブ機能整備
○空港の整備
  ・那覇空港国際ハブ機能整備
  ・那覇空港国際線ターミナルビルの整備
○情報通信基盤の整備
  ・アジア太平洋地域の情報通信ハブとしての整備
○観光施設の整備
  ・観光基盤施設の一体的整備

6.人材の育成

 沖縄県の産業振興のためには、起業家精神に富み、意欲や目標を持った自立できる人材が必要となってくる。
 また、情報化や国際化の進展等に対応して、高度な技術や幅広い知識、優れた国際感覚、語学力などコミュニケーション能力が重要となるとともに、ボランティア活動や地域活動等に参加する積極性が評価されるようになる。
 このような人材を育成し、かつ高度な専門性や技術の向上を図っていくため、大学や職業能力開発機関の充実等を図り、これら機関との連携や支援を行っていく体制を整備する必要がある。
 さらに、沖縄の次代を担う個性・創造性を備えた人材を養成するため、多様なカリキュラムや学習指導要領など独自の学校教育の実施や交換留学生の大幅増加に向け、検討を進めていくことも必要である。
 なお、当面の対応策として、以下の事項を提案する。
○マルチメディア産業大学の設置
○国立工業高等専門学校の設置
○職業能力開発大学校の設置
○国立観光総合大学の設置
○琉球大学における人材養成機能・研究機能の充実

7.その他

 これらの産業振興策に加え、豊かさを実感できる地域社会を実現していくためには、質の高い生活空間の形成や都市機能の整備等を図っていくことが重要である。
 また、外国との人やものの交流を推進する環境を総合的に整備するとともに、県民のボランティアやNGO活動など国際交流・協力活動を促進する必要がある。
 そのため、各種制度の拡充やインフラ整備の推進等とともに、以下の事項についても、一体として取り組む。                        
○返還軍用地跡地の一体的整備に向けた制度・手法の確立
○政府開発援助を活用した沖縄県とアジア各国との交流拡大
○国際貢献ボランティア活動への支援 等


次の項目へ
目次へ戻る