I 総 説
1.沖縄振興開発の経緯
沖縄の振興開発については、昭和47年の復帰以来、沖縄振興開発特別措置法に基づき策定された沖縄振興開発計画に沿って、所要の予算の確保をはじめ諸施策が推進されてきたところであり、現在は平成4年度から平成13年度を計画期間とする第3次沖縄振興開発計画に基づく諸施策の推進が図られている。
第1次ならびに第2次における沖縄振興開発計画の基本目標は、「沖縄の特性を生かしつつ、本土との格差是正を図り、自立的発展の基礎条件を整備する」こととされ、その基本方向として第1次では社会資本の整備、第2次では特色ある産業の振興に重点をおいた諸施策が推進されてきた。
しかしながら、第2次終了年次の平成3年における県民所得水準は、全国平均の72パーセントにとどまり、また完全失業率は7.6パーセント(全国は3.4パーセント)という全国一高い数値を示すなど、経済的自立への条件整備をさらに推進する必要性が明らかになった。
このような課題を踏まえ、第3次沖縄振興開発計画においては、これまでの基本目標に加え、「我が国の経済社会及び文化の発展に寄与する特色ある地域としての整備を図り、世界に開かれた個性豊かで文化の薫り高い地域社会の形成を目指す」という新たな目標が設定された。
具体的な方向として、沖縄の特性を生かした特色ある産業の振興や国際的観光・リゾート地の形成及び我が国の南の国際交流拠点の形成等により、特色ある地域として整備し、自立的発展を図ることとしている。
これは、それまでの本土並みという一元的な施策のみでは経済的自立は困難であるとの認識に立ち、本土の他地域にない沖縄の独自性・特性に着目した多元的な施策を加えることによって、社会経済活動の範囲を拡大し経済的な自立基盤を確立していこうとするものである。
第3次沖縄振興開発計画は計画策定からすでに5年が経過し、目標達成に向けた諸施策が推進されているところであるが、米軍基地の整理縮小をはじめ沖縄をめぐる状況が大きく変化するなか、沖縄らしさを鮮明に打ち出した将来像を展望するため、県民の主体的な取り組みにより、新たな可能性の追求や様々な課題への対応を図っていくことが、いま求められている。
2.国際都市形成構想
これまでの振興開発の経緯と今日の沖縄の現状を踏まえ、また、国際的な社会・経済環境の変化を展望し、沖縄県では平成8年11月に国際都市形成構想を策定した。
これは、第3次沖縄振興開発計画において打ち出された「我が国の南の交流拠点」の形成に向けた諸整備を今後の振興開発上の重要な戦略として位置づけ、人・もの・情報が行き交う国際都市の実現を図り、沖縄の自立的発展と我が国経済社会の発展に寄与する地域の形成を目指すものである。
グローバリゼーションの進展の下、世界経済の中で大きな地位を占める我が国は、世界の平和と発展のため、内外に開かれたシステムを構築し国際的調和を図るとともに、地球的課題の解決に向け諸外国との連携・協力を積極的に推進していくことが求められている。
また、こうした国際的な交流・連携は地域の活性化の原動力になり得ることから、それぞれの地域がその特性に応じた役割を担うことが期待されている。
沖縄は、我が国の南西端に位置し、豊かな自然と特有の文化を有するとともに、東南アジア諸国等との経済・文化等各面にわたる歴史的な交流の蓄積がある。
世界、とりわけアジア地域の中で、我が国の果たすべき役割が増大している今日、沖縄がこれらの地域特性や歴史的蓄積を生かして、経済、学術、文化等多方面にわたり、諸外国との交流を深め、信頼関係を構築していくことは、沖縄の自立的発展に寄与するばかりでなく、国際社会における我が国の地位を高めることにつながる。
こうした考え方に基づき策定された国際都市形成構想は、平和・共生・自立を基本理念に掲げ、平和交流、技術協力、経済・文化交流の3つの基本方針のもとに多様な国際交流・協力を展開し、アジア太平洋地域との交流ネットワークの形成を図るものである。このため、基本方針に沿って
- (1)南北交流の拠点形成
- (2)「環境共生モデル地域」の形成
- (3)21世紀にふさわしい新しい産業の創出と振興
- (4)魅力あるリゾート地の形成
- (5)質の高い潤いに満ちた生活空間の形成
- (6)人材の育成・確保
- (7)地域における国際化の推進
等の施策を展開することとし、その実現に向けては、交通ネットワークの整備、情報通信インフラの整備、国際的な交流の場の形成、研究機関等の設置等主要プロジェクトの推進や米軍基地の計画的・段階的返還と跡地整備を図るとともに、新たな仕組みや制度の導入等ソフト面の施策の推進が必要であるとしている。
特に、経済的自立に向けて新たな産業の創出と振興を図るためには、既存の法制度や規制の枠を越えた強力な支援制度の下に、戦略的な産業振興策を展開していくことが重要であると指摘されている。